電子書籍

株式会社Lentrance・凸版印刷株式会社・株式会社紀伊國屋書店、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業

2021年6月2日、株式会社Lentranceと凸版印刷株式会社、株式会社紀伊國屋書店が、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業を開始したと発表しました。

背景として、これまで専門書籍は電子化が進まず、高等教育現場での要求度は高くはなかった一方、新型コロナウイルス感染症感染拡大によるオンライン講義の増加や、文部科学省の「GIGAスクール構想」等の教育におけるデジタル化推進に伴い、電子書籍・デジタル教科書へのニーズが拡大したことを挙げています。

発表の中では、日本の高等教育におけるデジタル教科書の導入を各方面から推進し、発展させることを企図していると述べられています。

Lentrance、凸版印刷及び紀伊國屋書店、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業を開始(株式会社Lentrance, 2021/6/2)
https://www.lentrance.com/news/1217/

米・メリーランド州で、出版社に「合理的な条件」下で図書館への電子書籍ライセンス提供を求める法律が成立

Library Journal誌の2021年6月1日付け記事で、米・メリーランド州の法案(House Bill 518 /(SB432))が6月1日に成立し、2022年1月から施行されることが紹介されています。

同法は、一般向けに電子書籍(electronic literary product)のライセンス提供を行う出版社に対し、同州の図書館が利用者に当該電子書籍へのアクセスを提供できるよう、「合理的な条件」(reasonable terms)下での図書館へのライセンス提供を求める内容となっています。記事では、同様の法案は米・ニューヨーク州やロードアイランド州でも提出されているものの、州法として成立したのは初めてのことと述べています。

記事では、米国出版協会(AAP)が2021年3月に、同法案が米連邦著作権法や合衆国憲法に抵触する可能性に言及したことに触れ、今後法廷での課題に直面する可能性があることも紹介しています。

韓国・ソウル特別市西大門区、一人暮らしの高齢者や福祉施設利用者にオーディオブック端末や電子書籍端末の貸出を行う「訪問型電子図書館事業」を開始

2021年5月31日、韓国・ソウル特別市西大門区が、6月から、一人暮らしの高齢者や、福祉施設の利用者を対象に、オーディオブック端末や電子書籍端末の貸出を行う「訪問型電子図書館事業」を実施すると発表しています。

一人暮らしの高齢者には、健康・文学・歴史分野のコンテンツが収録されたオーディオブック端末100台が貸出されます。高齢者でも使いやすい機器となっており、また、読み上げ機能もあるため、視覚障害者の利用も想定されています。

区内9つの福祉施設(高齢者・障害者・多文化支援)には電子書籍端末100台の貸出が行われます。端末搭載のコンテンツに加え、西大門区立図書館が提供する電子書籍も利用できます。文字を拡大しての利用も想定されています。

端末の貸出期間等の詳細な運営規定は参加機関が決定します。また、一人暮らしの高齢者や福祉施設利用者を対象とした端末の利用方法に関する講座を開催するほか、端末の利用状況を監視して効果を分析しサービスの改善も推進するとしています。

鎌倉市(神奈川県)、出版社らと読書支援活動と実証実験についての協定を締結

2021年5月21日付のプレスリリースで、鎌倉市教育委員会が、詩集・児童書の出版者である株式会社銀の鈴社、システム開発を行う株式会社エスペラントシステムと、読書支援活動と実証実験についての協定を締結したと発表しました。

電子書籍の読書支援サービスである「読書館」を用いた実証実験や、筆者・編集者との交流等が行われます。また、発表では、GIGAスクール構想における端末等を用いた電子書籍の読書が実証実験中に可能となると述べられています。

鎌倉市教育委員会、銀の鈴社、エスペラントシステムの3者が読書支援活動と実証実験についての協定を締結します(鎌倉市, 2021/5/24)
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kisya/data/2021/20210524.html

経済産業省、「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」に関する報告書を公表

2021年5月21日、経済産業省が、「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」の報告書を公表しました。

経済産業省の令和2年度委託事業として、「視覚障害者等の読者環境の整備の推進に関する法律」で求められている、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の製作および販売等の促進、出版者からのテキストデータ提供の促進について、出版者に対するアンケート調査・ヒアリング調査と海外事例の調査が行われました。

同報告書には、調査結果や、調査結果を踏まえた出版者・有識者等による検討会での意見、課題整理、課題解決に向けた「ロードマップ」と「アクションプラン」等がまとめられています。

「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」に関する報告書を公表しました(経済産業省, 2021/5/21)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/2021dokubarireport.html

イタリア・ローマ、公共交通機関利用者を対象とした電子図書館プロジェクト“+Viaggi +Leggi”を実施

2021年5月11日、イタリアのローマ市が、公共交通機関利用者を対象とした電子図書館プロジェクト“+Viaggi +Leggi”の開始を発表しました。

イタリアのニュースを英語で発信する月刊誌“Wanted in Rome”に5月13日付で掲載された記事によると、読書人口を拡大し、文化を全ての人にとってよりアクセス・利用しやすくすることを目的としています。

市内のバス・トラム・地下鉄の乗り場等での待ち時間や乗車中に、電子図書館のアクセスポイントとして発行された計1万8,000以上のQRコードから、無料で数量制限なく利用できると述べられています。数百タイトルの電子書籍やオーディオブック、音楽が提供されており、6か月後に入れ替えが行われます。

米国デジタル公共図書館(DPLA)、Amazon Publishingとの契約締結を発表:同社の電子書籍・オーディオブックが図書館で提供可能に

2021年5月18日、米国デジタル公共図書館(DPLA)は、Amazon Publishingとの契約締結を発表しました。図書館のための電子書籍市場“DPLA Exchange”を通じて、Amazon Publishingの電子書籍・オーディオブック(約1万点)全てを図書館で提供可能とする契約です。

Amazon Publishingのタイトルが図書館向けに提供されるのは、今回が初めてです。2021年夏に4種類のライセンスモデルの下で提供が開始され、2021年末には全タイトルの提供が行われる予定です。図書館利用者は、米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)が開発に携わった電子書籍アプリ“SimplyE”を通じ、Amazon Publishingのタイトルにアクセスできるようになります。

図書館向けの電子書籍貸出モデルに関し、より多くの選択肢・柔軟性の確保のためにDPLAは複数の出版社と協力しており、Amazon Publishingもその中の一社です。DPLAの発表では、協力関係にある他の出版社と同様に、Amazon側では利用者データを受け取らない仕組みになっていると述べています。

フィンランドの「公共図書館におけるデジタルメディアのサービスコンセプト」に係るプロジェクト:電子サービスを調整する単一の運営体の設置を推奨(記事紹介)

オンラインサービスへのアクセスを図書館ネットワークとして提供するフィンランドのLibraries.fiが、2021年4月28日付の記事において、フィンランドの教育文化省からの助成を受けて行っている「公共図書館におけるデジタルメディアのサービスコンセプト」に係るプロジェクトの紹介を行っています。

同プロジェクトは、現在の図書館の電子資料の利用可能性は自治体によって異なっており、利用者にとっても職員にとっても利用が難しいという課題認識のもと行われています。

広告会社WPPのコンサルティング部門Kantar TNSが、2021年1月22日から2月4日にかけて実施した調査では、図書館の電子サービスにおいて利用者が重視するのは「質」や「使いやすさ」であるものの、回答者の56%が図書館のオンラインサービスに全く、もしくは、あまり関心がないと回答する等、図書館の提供している電子サービスが時代に追い付いていないとし、第1段階まで終了した同プロジェクトでは、より幅広い資料にアクセスできるよう、全ての関係者(出版社、フィンランド出版協会、作家団体)と協力し、電子サービスを調整する単一の運営体を設置することを推奨しています。

日本DAISYコンソーシアム、EPUBの縦組・横組、ルビ、分かち書き等のアクセシビリティメタデータの提案仕様を公開

2021年5月13日、日本DAISYコンソーシアム技術委員会が、EPUBの縦組・横組、ルビ、分かち書き等のアクセシビリティメタデータに関する提案仕様11件を公開しました。

発表の中では、今後、実証実験を行いつつ、World Wide Web Consortium(W3C)をはじめとした関連団体への提案を行うとしています。

EPUBの縦組・横組、ルビ、分かち書き等のアクセシビリティメタデータの提案仕様を公開(日本DAISYコンソーシアム, 2021/5/13)
https://blog.normanet.ne.jp/jdc/?q=node/8

参考:
日本DAISYコンソーシアム、「EPUB アクセシビリティ 1.1」および「達成方法集 1.1」の日本語訳を公開
Posted 2021年4月12日
https://current.ndl.go.jp/node/43779

米国・英国・オーストラリアにおける公共図書館のサービスに関する調査報告書(記事紹介)

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”に、2021年5月6日付で、公共図書館のサービス状況に関する調査報告書についての記事“Report Urges Library Leaders to Address Decline in Public Library Usage Stats”が掲載されました。

英国の書店の元最高経営責任者であるTim Coates氏による調査報告書“Freckle Report 2021”の内容が紹介されています。記事によると、同報告書は、米国・英国・オーストラリアにおける公共図書館のサービスに焦点を当てており、図書館に関係する政府機関等が発表したデータや2021年4月に実施された調査の結果をまとめています。

公共図書館の来館利用は、米国では2018年までの8年間で31%、英国では2000年以降70%、オーストラリアでは10年間で22%減少したと述べられています。また、新型コロナウイルス感染症感染拡大の読書行動に対する影響について、全ての年齢層で読書量が増えたこと、デジタルコンテンツの提供・利用が増えた一方、紙媒体の資料の利用が減少したこと等を挙げています。

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