電子書籍

図書館流通センター(TRC)が提供する電子図書館サービスの2020年5月貸出実績が前年同月比526%に増加:新型コロナウイルス感染症拡大による公共図書館の休館等の影響

2020年6月16日、図書館流通センター(TRC)は、TRC電子図書館サービスの2020年5月貸出実績が前年対比526%に増加したと発表しました。

発表では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による公共図書館の臨時休館、小中学校や高校の休校、外出自粛の継続等により、自宅から利用できる電子図書館サービスの利用が増えたとしています。なお、新型コロナウイルス感染症の影響で利用が増えていた4月との前月比では126%に増加しています。

国内導入実績No.1のTRC電子図書館サービス5月貸出実績は前年同月比526%! 3ヶ月連続大幅増(TRC, 2020/6/16)[PDF:2ページ]
https://www.trc.co.jp/information/pdf/20200616_TRCrelease.pdf

楽天株式会社、同社傘下で図書館向け電子書籍サービスを手掛けるOverDrive Holdingsの全株式譲渡完了を発表

2020年6月10日、楽天株式会社は、同社の完全子会社Rakuten USA, Inc.の完全子会社であり、図書館や教育機関などを対象にした電子書籍サービスを手掛けるOverDrive Holdings, Inc.の全株式について、Aragorn Parent Corporationへの譲渡が完了したことを発表しました。

2020 年12 月期第2四半期連結会計期間において、本件株式譲渡に伴う譲渡益を約390億円計上する予定としています。

OverDrive Holdings, Inc.の全株式譲渡完了のお知らせ(楽天株式会社, 2020/6/10)
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2020/0610_01.html

Internet Archive(IA)、“National Emergency Library”の終了を早めることを発表

2020年6月10日、Internet Archive(IA)は、“National Emergency Library”事業の終了日を、当初予定されていた2020年6月30日から6月16日に変更し、同日以降は従来の方法で電子書籍の貸出を行うことを発表しました。

同事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による図書館・学校・大学の閉鎖を受けて、遠隔授業、調査・研究活動等を支援するため、従来の電子書籍貸出においてこれまで設定していた同時アクセス制限を一時的に解除したものであり、2020年3月24日に開始されました。発表の中で、今回の終了日の変更は、出版社による6月1日の著作権侵害訴訟の提訴が背景にあるとしています。

また、訴訟の対象には“National Emergency Library”事業だけでなく、従来の電子書籍貸出も含まれていますが、こちらは、同時アクセス制限を用いた、著作権の専門家により構築された合法的枠組みで実施している、と述べています。

飛鳥未来プロジェクト実行委員会(奈良県)、飛鳥地域の本好きな子どもにオンライン読書を提供するためのクラウドファンディングを実施中:同地域の図書館の司書とも連携

2020年6月11日、飛鳥未来プロジェクト実行委員会(奈良県)が、飛鳥地域の本好きな子どもにオンライン読書を提供するためのクラウドファンディングを開始しました。

新型コロナウイルスの感染拡大のため、子どもの図書館利用にも制限があることから、その課題を解消するために行われるものです。文部科学省のGIGAスクール構想により、飛鳥全地域の小・中学生にタブレット端末が付与される機運が高まっていることをうけ、そのタブレットで利用可能なKindleアプリを利用しKindle Unlimitedとの契約を行なって、約1年間のオンライン読書環境を提供します。利用者は、クラウドファンディングの実行後、小・中学生を対象に募集を行なって決定されます。

飛鳥未来プロジェクトは、飛鳥地域(橿原市、三宅町、田原本町、高取町、明日香村)に係るプロジェクトで、田原本町・橿原市・明日香村が後援しています。同事業は同地域の図書館の司書と連携して行うとし、司書は、子どもの興味関心や、今後読んでいったらより良い書籍の推薦などを行います。また1年間のプロジェクト終了時には発表機会(ビブリオバトルやプレゼンテーションなど)が設けられます。

目標金額は100万円で期限は6月30日です。

Project MUSE、米国における人種差別に関する書籍・論文のリスト“MUSE in Focus: Confronting Structural Racism”を公開:一時的に無料アクセス可能となっているコンテンツから選定

人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEは、2020年6月6日付けのTwitterにおいて、書籍・論文のリスト“MUSE in Focus: Confronting Structural Racism”を公開したことを発表しています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、Project MUSEの参加出版社は一時的に全て又は一部のコンテンツを無料で利用可能とする取組を行っており、同リストでは、それらの中から米国における人種差別に関するコンテンツを選定し掲載しています。

@ProjectMUSE(Twitter, 2020/6/6)
https://twitter.com/ProjectMUSE/status/1268934421018804225

オーストラリア図書館協会(ALIA)、公共図書館における電子書籍貸出に関するアンケート調査の結果を公表

2020年6月3日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、公共図書館における電子書籍貸出に関するアンケート調査の結果をまとめたレポート“A snapshot of eLending in public libraries”を公表しました。

アンケート調査はALAの書籍産業及び電子書籍貸出諮問委員会(Book Industry and eLending Advisory Committee)により2019年8月にオンラインで実施され、オーストラリア国内の図書館から398の回答を得ました。レポートでは、電子書籍プロバイダーが提供する資料タイトルやサービスへの満足度、電子書籍プロバイダーの提供サービスに対し改善を求める点等について集計結果を掲載しています。回答者の83%は、プロバイダーの提供する電子書籍の品揃えに「満足している」あるいは「非常に満足している」と回答している一方、91%はライセンス条件とコストに関し「満足とはいえない」あるいは「満足していない」と回答しています。

ALIAは、COVID-19によるロックダウンの期間中、2019年の同時期と比べて公共図書館における電子書籍貸出が倍増した一方で、今回の調査が明らかにしたように電子書籍の利用可能性、ライセンス条件、コストにおける問題は依然として存在する、と指摘しています。

米・ミネソタ大学出版局、電子書籍のコレクション「人種正義のための読書」を期間限定でオンライン公開

2020年6月3日、米・ミネソタ大学出版局は、ミネソタ州ミネアポリスで発生した警察官による黒人男性フロイド(George Floyd)氏の暴行死を受けて、人種差別反対主義者らによる電子書籍のコレクション「人種正義のための読書」(Reading for Racial Justice collection)を、2020年8月31日までの期間限定でオンライン公開したことを発表しました。

これらの書籍は著者との協力により公開に至ったものです。広く読まれることにより、“Twin Cities”(ミネソタ州のミネアポリス・セントポール都市圏)及び米国が今取り組まねばならない、必要かつ長く先延ばしになっていた対話に寄与することを望むとあります。

オランダ科学研究機構(NWO)、同機構の研究助成により刊行された単行書のオープンアクセス(OA)化を支援するプロジェクト“Open Access Books”を開始

2020年6月2日、オランダ科学研究機構(NWO)は、同機構の研究助成により刊行された単行書のオープンアクセス(OA)化を支援するプロジェクト“Open Access Books”の実施を発表しました。

学術論文のOA化は一般的となり、NWOの助成した研究成果物としての学術論文は、60から70%がOAで利用可能になっていますが、学術単行書のOAへの転換の動きは学術論文に比べると遅れています。このため、NWOは同機構の研究助成により刊行された単行書のOA化に向けた取り組みを強化するプロジェクトとして、“Open Access Books”が実施されます。

同プロジェクトには年間50万ユーロの予算が用意され、2020年6月1日からNWOから助成を受けた研究プロジェクトのプロジェクトリーダー等は、1刊行物当たり1万ユーロを上限としてOA出版のための費用を申請することができます。同プロジェクトにはNWOの予算が続く限り申請を行うことが可能で、当面2022年まで申請が受付されています。

アイルランド政府、公共図書館のオンラインサービス需要の大幅増への対応として図書館による電子書籍・オーディオブック整備に20万ユーロの追加支援を実施

2020年5月31日、アイルランドの農村・コミュニティ開発省(Department of Rural and Community Development)のMichael Ring大臣は、公共図書館の電子書籍・オーディオブック整備に20万ユーロの支援を実施することを発表しました。

この政府による支援は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に増加した公共図書館のオンラインサービス需要への対応として行われ、感染症拡大初期の2020年3月に行われた20万ユーロの支援への追加として実施されます。また、アクセシブルな電子書籍再生用ソフトウェア“EasyReader”向けコレクションの充実へ2万ユーロの支援を行うことも併せて発表されています。

アイルランド政府は、新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限の撤廃に向けた計画として、“Roadmap for reopening society and business”を発表しており、公共図書館は2020年6月8日に開始予定の第2段階において、人数制限・ソーシャルディスタンシングの確保・厳格な手指消毒等の条件の下で、再開館する見込みです。

米国の複数の大手出版社がInternet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴

2020年6月1日、米国出版協会(AAP)は、会員企業のHachette Book Group・HarperCollins社・Wiley社・Penguin Random House社が、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所へ非営利団体Internet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴したことを発表しました。

この訴訟は、IAの運営する電子書籍貸出プログラム“Open Library”、及び2020年3月に開始した“National Emergency Library”事業において行われる、文学作品全体への大規模なスキャニング・公衆への公開・配布等についてその差し止めを裁判所に求めるものです。原告の出版社は、IAが最新作・フィクション・ノンフィクション・スリラー・児童書等を含む約130万点の書籍について違法な複製を行っている、と訴状の中で訴えています。また、IAのこれらの事業は、図書館や教育上の例外、フェア・ユースなど米国著作権法上のいかなる規定にも該当せず、IAの「盗難行為」を支持する著作権法上の根拠は存在しない、と主張しています。

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