電子書籍

国際図書館連盟(IFLA)、“Controlled Digital Lending(CDL)”を支持する声明を発表

2021年6月16日、国際図書館連盟(IFLA)は、図書館が蔵書をデジタル化し、電子的な複製物を「1部1ユーザー」の制限のもと貸し出す“Controlled Digital Lending(CDL)”に関する声明を発表しました。

発表の中では、CDLはコロナ禍およびポストコロナにおいて、蔵書へのアクセスを提供する自由を図書館に与えるものであり、IFLAはCDLを支持すると述べられています。同声明は、2021年5月にIFLAの運営理事会(Governing Board)において承認されたものであり、それぞれの国や地域における政策を考慮する必要があるとしつつ、CDLの概要、CDLに関する経済的・法的根拠等を示しています。

経済的根拠について、市場はデジタル資料へのアクセスを一貫して公正な形では提供できないこと等を挙げています。法的根拠については、収集・貸出の自由は図書館機能の核となる、デジタル資料の利用は少なくとも紙媒体の資料と同程度の柔軟性を持つべきである、複数の例外規定や権利制限を同時に適用することは許容できるものであるといった3点が、原則として挙げられています。

米・ニューヨーク州議会で、出版社に「合理的な条件」下で図書館への電子書籍ライセンス提供を求める法案が可決

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”の2021年6月11日付の記事で、米国のニューヨーク州の法案(S2890B/A5837B)が、州議会において全会一致で可決されたことが紹介されています。

同法は、一般向けに電子書籍のライセンス提供を行う出版者に対し、「合理的な条件」(reasonable terms)下での図書館へのライセンス提供を求める内容となっており、メリーランド州に続く2例目です。記事によると、州知事が法案へ署名してから19日後に発効します。なお、議会可決後10日の間に州知事が署名をしない又は拒否権を行使しなかった場合、法案は自動で法律となると述べられています。

また、記事の中では、米国出版協会(AAP)が、メリーランド州の法案に関して反対の意思を表明していたこと、ニューヨーク州ではニューヨーク図書館協会(NYLA)が同法案への賛成を議員に求める意見をSNS上で募集していたこと等に触れられています。

米・LYRASIS、電子書籍プラットフォームの提供等を行うBiblioLabs社を買収

2021年6月15日、米国の図書館等のネットワークLYRASISが、図書館向け電子書籍プラットフォームの提供等を行っているBiblioLabs社を買収したと発表しました。

発表の中では、今回の買収により、BiblioLabs社はミッション主導型(mission-driven)の非営利モデルに移行すること、既存の電子書籍サービスを強化する機会となること等が述べられています。また、BiblioLabs社はLYRASISの一部門として同じスタッフ、プログラム、名称で運営を継続し、LYRASISおよびBiblioLabs社が提供しているサービスの中断はないとあります。

オーストラリア図書館協会(ALIA)とCivica社、Civica Libraries Indexをもとにした、2020年度のオーストラリア・ニュージーランドの図書館での貸出傾向を公表

2021年5月18日、オーストラリア図書館協会(ALIA)とCivica社が、2020年度のオーストラリア・ニュージーランドの図書館での貸出の傾向に関する調査の結果を発表しました。

今回で6年目となる調査で、クラウドベースの図書館システムSpydusを提供しているCivica社とALIAが共同で作成したCivica Libraries Indexをもとに分析されたものです。Civica Libraries Indexは、同システムを導入している両国の104の地方や都市の図書館の、2020年4月1日から2021年3月31日までの貸出データ3,400万件もとに作成されています。

コロナ禍においてよく読まれた分野は、ジェーン・ハーパー、マイケル・ロボサム等といった作家による推理小説やホラー小説であったこと、オーストラリア人の作家による小説・伝記・絵本の人気が年々高まっていること、コロナ禍で電子書籍などの電子資料の貸出が増加したことが指摘されています。

Internet Archive(IA)、蔵書評価の結果除籍されることとなった演劇史に関するコレクションの寄贈をカナダ・ハミルトン公共図書館から受ける:デジタル化しオンライン公開へ

2021年5月26日、Internet Archive(IA)は、カナダ・オンタリオ州のハミルトン公共図書館(HPL)から、18世紀から19世紀にかけての演劇史に関する約1,000冊の図書の寄贈を受けたと発表しています。

同コレクションは、HPLが、演劇文化史に関心を抱いた地元の大学の演劇学の教授から、1984年に寄贈を受けたもので、照明や演出といった演劇の技術的な詳細、演劇界のさまざまな俳優は劇作家、英国や米国の様々な種類の劇場の建築、旅回りの劇団の歴史といった図書が含まれます。

近年、HPLが定期的な蔵書評価を行った際に、米国や英国に関する資料である同コレクションは、ハミルトン地区の作品を重視する同館の業務にそぐわないとされ、同館では、いくつかの大学図書館や劇場アーカイブに問い合わせを行いましたが、多くの人に利用されるとしてIAに寄贈することとなったものです。

同コレクションは、IAでデジタル化しオンラインで公開されることとなっており、デジタル化公開後、図書は長期保存され、デジタル化資料は“Controlled Digital Lending(CDL)”のもとで提供されます。

株式会社Lentrance・凸版印刷株式会社・株式会社紀伊國屋書店、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業

2021年6月2日、株式会社Lentranceと凸版印刷株式会社、株式会社紀伊國屋書店が、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業を開始したと発表しました。

背景として、これまで専門書籍は電子化が進まず、高等教育現場での要求度は高くはなかった一方、新型コロナウイルス感染症感染拡大によるオンライン講義の増加や、文部科学省の「GIGAスクール構想」等の教育におけるデジタル化推進に伴い、電子書籍・デジタル教科書へのニーズが拡大したことを挙げています。

発表の中では、日本の高等教育におけるデジタル教科書の導入を各方面から推進し、発展させることを企図していると述べられています。

Lentrance、凸版印刷及び紀伊國屋書店、大学向けデジタル教科書・教材の供給体制構築に向けて協業を開始(株式会社Lentrance, 2021/6/2)
https://www.lentrance.com/news/1217/

米・メリーランド州で、出版社に「合理的な条件」下で図書館への電子書籍ライセンス提供を求める法律が成立

Library Journal誌の2021年6月1日付け記事で、米・メリーランド州の法案(House Bill 518 /(SB432))が6月1日に成立し、2022年1月から施行されることが紹介されています。

同法は、一般向けに電子書籍(electronic literary product)のライセンス提供を行う出版社に対し、同州の図書館が利用者に当該電子書籍へのアクセスを提供できるよう、「合理的な条件」(reasonable terms)下での図書館へのライセンス提供を求める内容となっています。記事では、同様の法案は米・ニューヨーク州やロードアイランド州でも提出されているものの、州法として成立したのは初めてのことと述べています。

記事では、米国出版協会(AAP)が2021年3月に、同法案が米連邦著作権法や合衆国憲法に抵触する可能性に言及したことに触れ、今後法廷での課題に直面する可能性があることも紹介しています。

韓国・ソウル特別市西大門区、一人暮らしの高齢者や福祉施設利用者にオーディオブック端末や電子書籍端末の貸出を行う「訪問型電子図書館事業」を開始

2021年5月31日、韓国・ソウル特別市西大門区が、6月から、一人暮らしの高齢者や、福祉施設の利用者を対象に、オーディオブック端末や電子書籍端末の貸出を行う「訪問型電子図書館事業」を実施すると発表しています。

一人暮らしの高齢者には、健康・文学・歴史分野のコンテンツが収録されたオーディオブック端末100台が貸出されます。高齢者でも使いやすい機器となっており、また、読み上げ機能もあるため、視覚障害者の利用も想定されています。

区内9つの福祉施設(高齢者・障害者・多文化支援)には電子書籍端末100台の貸出が行われます。端末搭載のコンテンツに加え、西大門区立図書館が提供する電子書籍も利用できます。文字を拡大しての利用も想定されています。

端末の貸出期間等の詳細な運営規定は参加機関が決定します。また、一人暮らしの高齢者や福祉施設利用者を対象とした端末の利用方法に関する講座を開催するほか、端末の利用状況を監視して効果を分析しサービスの改善も推進するとしています。

鎌倉市(神奈川県)、出版社らと読書支援活動と実証実験についての協定を締結

2021年5月21日付のプレスリリースで、鎌倉市教育委員会が、詩集・児童書の出版者である株式会社銀の鈴社、システム開発を行う株式会社エスペラントシステムと、読書支援活動と実証実験についての協定を締結したと発表しました。

電子書籍の読書支援サービスである「読書館」を用いた実証実験や、筆者・編集者との交流等が行われます。また、発表では、GIGAスクール構想における端末等を用いた電子書籍の読書が実証実験中に可能となると述べられています。

鎌倉市教育委員会、銀の鈴社、エスペラントシステムの3者が読書支援活動と実証実験についての協定を締結します(鎌倉市, 2021/5/24)
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kisya/data/2021/20210524.html

経済産業省、「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」に関する報告書を公表

2021年5月21日、経済産業省が、「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」の報告書を公表しました。

経済産業省の令和2年度委託事業として、「視覚障害者等の読者環境の整備の推進に関する法律」で求められている、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の製作および販売等の促進、出版者からのテキストデータ提供の促進について、出版者に対するアンケート調査・ヒアリング調査と海外事例の調査が行われました。

同報告書には、調査結果や、調査結果を踏まえた出版者・有識者等による検討会での意見、課題整理、課題解決に向けた「ロードマップ」と「アクションプラン」等がまとめられています。

「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査」に関する報告書を公表しました(経済産業省, 2021/5/21)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/2021dokubarireport.html

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