動向レビュー

CA1702 - 動向レビュー:Google Book Searchクラスアクション(集合代表訴訟)和解の動向とわが国の著作権制度の課題 / 鳥澤孝之

1. Google Book Searchの衝撃 2008年10月、Googleと米国の作家団体・出版団体等との間で争われた、Google Book Search(Googleブック検索)をめぐる著作権侵害訴訟の和解案が世界中の出版社・作家を揺るがせた。この和解案が裁判所にそのまま承認された場合、和解に異議を申し立てなかった著作権者はGoogleに書籍等をデジタル化され、ウェブ上に提供される可能性があったからである。...

CA1696 - 動向レビュー:デジタル情報資源の管理・保存にいくらかかるのか?-ライフサイクルコストを算出する試み“LIFE” / 村上浩介

図書館が電子資料やデジタル形式の録音・映像資料を蔵書とし、また図書館の活動の中に所蔵資料のデジタル化やウェブ上の情報の収集・蓄積などを加えるようになってから、短くはない年月が経過した。この時の経過につれて、このようなデジタル情報資源を長期に保存し、また利用に供していくことに関する、紙の資料とは異質の多くの課題が顕在化してきている。たとえば、多くの図書館が所蔵しているであろうレーザーディスク(LD)の場合、再生装置の生産が2009年に終了した(1)。また、かつてのワープロ専用機で作成された文書の場合、今日の標準的なパソコンの環境ではもはや読むことができない、と言った具合に。...

CA1695 - 動向レビュー:データ分析による『カレントアウェアネス』レビュー / 芳鐘冬樹

はじめに 前号をもって本誌『カレントアウェアネス』(以下、CA)は300号を数え、そして、1979年8月の創刊から30年が経過した。途中、頒布範囲の拡大(1989年6月に国立国会図書館(以下、NDL)外への頒布を開始)や刊行頻度の変更(2002年6月に月刊から季刊に変更)を経て、掲載記事を充実させながら「図書館に関する最新情報の速報による提供」を続けている(1)

CA1694 - 動向レビュー:今日のトップ・ニュース「米国の新聞が絶滅危惧種に指定されました!?」 / 水野剛也

はじめに 本稿の目的は、最近の米国新聞界の動向、とくに現在ある「新聞」という形式の媒体が深刻な危機に直面している現状を、いくつかの具体的事例やデータにもとづき、できるだけ簡素に報告することである。

 現状報告(本稿執筆時は2009年6月末)であるため、普遍性のある学術的知見を示すことはできないが、それでも米国における新聞産業の苦境を本誌で紹介する意義はけっして小さくない。それは、大きく以下の3つの理由による。...

CA1693 - 動向レビュー:オープンアクセスは被引用数を増加させるのか? / 三根慎二

1. オープンアクセス効果は神話か オープンアクセス(以下、OA)を支持・推進する論拠の一つとして、「OA論文は非OA論文よりも頻繁に引用される」というものがある。つまり、インターネットに接続可能であれば誰でも読むことができる論文は、オンライン上に無いあるいは契約上読むことができない論文よりも頻繁に読まれ引用される、という主張である(ここでは、これを「オープンアクセス効果(以下、OA効果)」と呼ぶことにする)。分野に関わらず研究者が電子ジャーナル(以下、EJ)で学術雑誌論文を入手するようになったこと(1)、EJの閲読可能性は所属機関の図書館の契約状況に依存しかつ機関間格差があることを考慮すれば、この主張は一見理にかなっているように思われる。...

CA1690 - 動向レビュー:デジタルリポジトリにおけるメタデータ交換の動向 / 栗山正光

1. はじめに 近年、大学図書館を中心に、デジタル化された学術論文や研究資料を蓄積・保存し、インターネットで公開を行う、いわゆるデジタルリポジトリの構築が盛んである。こうしたリポジトリは、収録コンテンツを自機関の成果物に限定するものを機関リポジトリ、特定主題分野に収集対象を定めるものをサブジェクトリポジトリなどと呼びならわしている。…

CA1685 - 動向レビュー:総合的図書館ポータルへの足跡―オーストラリア国立図書館の目録政策とシステム構築 / 那須雅熙

はじめに 情報環境が激変するなかで、どの図書館もその変化に的確に対応し、書誌コントロールの見直しを図らないと、十全な図書館サービスが遂行できない局面におかれている。OPACや総合目録を通じて書誌情報を利用者に提供するだけではもはや不十分であり、文化的、学術的活動の所産としてのネットワーク情報資源も含む多様なメディアを総合的に提供するサービス(総合的ポータルの構築)が求められている。…

CA1686 - 動向レビュー:RDA全体草案とその前後 / 古川肇

1. 経過 『英米目録規則第2版』(以下AACR2)に代わるRDA: Resource Description and Accessの全体草案かつ最終草案が、漸く2008年11月に公開された(1)。目次だけで113ページ(PDF形式)に及ぶ膨大なものである。 AACR2見直しの出発点としては、1997年に開催された「AACRの原則と将来の展開に関する国際会議」が重要である(CA1480参照)。だが、改訂の主体である英米目録規則改訂合同運営委員会(その後改称。以下JSC)が作業の発進を告げた正式の表明は、2003年9月の“New Edition Planned”であった(E134参照)。…

CA1679 - 動向レビュー:「Bibliothek 2012」~ドイツの図書館振興の現在~ / 伊藤白

2008年9月、ドイツの図書館振興のためのパンフレット『図書館が良い21の理由』(21 gute Gründe für guten Bibliotheken)が公表された(1)。これは、公益団体「ドイツの図書館と情報」(BID;Bibliothek & Information Deutschland)の主宰する図書館振興プロジェクト「Bibliothek(図書館)2012」の一環で、主に政治家および地方自治体等の図書館設置者へのメッセージとして作成されたものである。…

CA1667 - 動向レビュー:日本の学術情報流通政策を考えるために / 小西和信

1. 学術情報流通と学術情報流通政策 まずは用語の整理から始めたい(1)。「学術情報流通」は、Scholarly CommunicationやScientific Communicationに相当する言葉と思われるが、最近よく使用される「学術コミュニケーション」が、学術情報の生産から利用に至るまでの全プロセスや研究者間のコミュニケーションに重心があるのに対し、「学術情報流通」は流通という側面に力点があるように見える。このようなニュアンスはあるものの現実的には同義語と受け止めて差し支えない。…

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