動向レビュー

CA1752 - 動向レビュー:学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から- / 桑田てるみ

近年の学校教育における読書活動を考えるためには、新学習指導要領(1)を押さえておく必要がある。新学習指導要領には、「思考力・判断力・表現力等」を育むことを目的とした言語活動の充実が盛り込まれ、それを支える条件として、読書活動の推進、学校図書館の活用や学校における言語環境の整備の必要性が示された(2)。言語活動の充実が設定された理由の一つには、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)によって、日本の子どもたちには「思考力・判断力・表現力等」を問う読解力問題に課題があると判明したことが挙げられる。いわゆるPISA型読解力(3)CA1671CA1703CA1722参照)に課題があったことの影響は大きい。そのため、学校現場ではPISA型読解力の育成への関心が高い。...

CA1751 - 動向レビュー:「エンベディッド・ライブラリアン」:図書館サービスモデルの米国における動向 / 鎌田 均

あるものをなにかに埋め込む、という意味を持つ“embed”という語を用いた、エンベディッド・ライブラリアン(embedded librarians)と呼ばれる図書館司書、またはエンベディッド・ライブラリーサービスというサービス提供の形態が、近年米国の図書館界で一つの潮流となっている。このテーマについては論文に加え、米国カトリック大学(Catholic University of America)図書館情報学准教授のシュメイカー(David Shumaker)氏といった人物がブログでも積極的に発信している(1)。この呼称は、2003年のイラク戦争で広く知られるようになった、エンベディッド・ジャーナリスト(embedded journalists)に由来している(2)。これらのジャーナリストは、戦闘部隊と行動をともにし、進行中の事件の内部から取材活動を行い、自らをこのように呼ぶようになったとされている(3)。彼らは自らを部隊に「埋め込んだ」ことによって、事件のストーリーに直接アクセスできることができた(4)。このことから、エンベディッド・ライブラリアンとは、日常の業務において、図書館を離れ、利用者が活動している場から、利用者と活動をともにしつつ情報サービスを提供している図書館司書を指す。...

CA1748 - 動向レビュー:デジタル教科書をめぐって / 澤田大祐

 2009年度の補正予算以後、小中学校において「電子黒板」(1)は、すっかり有名なものとなった。この次の世代の教材として注目されるのが、「デジタル教科書」(2)である。現在、「デジタル教科書」として市販されているものは、教員が「電子黒板」上に投影して、児童・生徒に提示することを目的とするものである。これに対して、導入に向けての検討が進められているのは、児童・生徒が1人につき1台の端末を使い、教科書やノートと同様に使うことのできる、「学習者用デジタル教科書」である。1人1台のノートパソコンの使用は、2000年代初めから導入事例はあった(3)が、本格的な議論になったのは最近1-2年のことだ。...

CA1747 - 動向レビュー:ONIX:書籍流通における出版社のメタデータ標準化 / 吉野知義

 書籍をはじめとする図書館資料は、著者による執筆を起点に、利用者がそれを閲覧するまでの一連で流通され、次々に提供される。その中には、出版社、書籍取次、書店、図書館のそれぞれの役割が存在している。各場面において、書籍を流通させ、管理し、探すためには、その書籍を表す何らかのデータ(メタデータ)が必要であることは言うまでもない。...

CA1746 - 動向レビュー:Linked Dataの動向 / 武田英明

 Linked Dataはデータの共有の新しい方法として近年認知されつつある。特にデータのオープン化(オープンデータ)の標準的方法として使われるようになっている。図書館の世界においても所蔵データや件名標目表をLinked Dataとして公開する図書館が相次いでいる。...

CA1742 - 動向レビュー:ライブラリー・グッズの可能性-ミュージアム、米・英の国立図書館の事例を通して / 渡辺由利子

 このところ、大学図書館を中心にライブラリー・グッズへの関心が高まっている(1)。図書館における広報活動へ関心が寄せられると同時に、広報の一手段としてのグッズも徐々に注目を集めるようになってきたということが一因として考えられる。しかしながら、米国及び英国を中心として、図書館内の店舗でのグッズ販売やオンライン・ショップへの展開など活発な動きが見られるのに対し、日本の図書館でのグッズ制作・販売は、比較にならないほど小規模にとどまっている。...

CA1741 - 動向レビュー:人文学研究と電子アーカイブ / 神崎正英

 14世紀英国の物語詩『農夫ピアズの夢』(“Piers Plowman”)には3つの稿と十指にあまる写本がある。各バージョンを合わせると60以上の基礎資料が存在し、手稿のページ数は1万にのぼる(1)。...

CA1740 - 動向レビュー:著者の名寄せと研究者識別子ORCID / 蔵川 圭

 学術研究成果の多くは論文として出版され公表される。論文は、すでに存在する論文を引用しながら、それが表す知識の体系を位置づける。そのような知識の体系を構成することに、誰が貢献したか、どのような組織が貢献したかがわかるように、内容とともに著者の名前や所属組織名が明記される。助成機関に対して謝辞を加えることも多い。ある研究者がどのくらい知識の体系化に貢献したかを測ってみたいとき、その研究者の論文を並べてみればよい。それがいわゆる業績リストである。著者本人の申告だけでなく、より客観性を帯びた形でリスト化されればより正確な評価が可能となるであろう。今では、論文や業績リストがWeb上に公開されるようになり、瞬時にそのような情報を得ることが可能となった。出版者の論文検索システム、機関リポジトリ、出版者や機関の研究者ディレクトリなどから直接、または大手の検索サービスを介して取得可能である。...

CA1733 - 動向レビュー:ウェブアーカイブの課題と海外の取組み / 中島美奈

 今日、ウェブはごく身近な情報源として一般的に利用されている。印刷された本や雑誌の形での発行が停止され、ウェブ上でのみ公開されるようになった刊行物も多い。今後、インターネットを利用しないと得られない情報は増加していくだろう。しかし、その速報性と更新のしやすさから、ウェブ上の情報は増加していくと同時に消失している。情報が載っていたページ自体が消失してしまうこともあるし、新しい情報が上書きされて古い情報が消失していることもある。ウェブ上のページにアクセスしようとして、「404 Not Found」というエラー画面を目にしたことも少なくないはずである。...

CA1732 - 動向レビュー:高齢者向けの図書館サービス / 堀 薫夫

 今日、社会の高齢化、とくに団塊世代の高齢化の問題は、図書館の世界にも大きな波紋を投げかけている。ここでは「図書館における高齢者サービス」について、従来のサービスと21世紀以降出てきた新しい論点を概観するなかで、高齢者問題から照射した新しい図書館サービスのあり方を考えていく。...

ページ