BL(英国図書館)

E2369 - 英国図書館ビジネス・知的財産センターの概要と近年の動向

英国図書館(BL)のビジネス・知的財産センター(Business & IP Centre:BIPC)がパイロットプロジェクトを経て2006年に正式にサービスを開始(E464参照)して10数年が経過した。BIPCは,ロンドン開発庁による中小企業や起業家の支援のための情報センターの構想を契機に, BLの一部門として設置され,政府支出の他,自己収益,外部資金等により運営されてきた。BLでの設置には,当時の米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)のビジネス支援サービスの影響もあった。

英国の研究プロジェクト“Living With Machines”開発のツール“Press Picker”のソースコードが公開:英国図書館(BL)所蔵新聞コレクションの概要をタイトル変遷・資料フォーマットの相違に対応して可視化

2021年3月8日、英国図書館(BL)及び英国内の大学・研究機関による共同研究プロジェクト“Living With Machines”は、プロジェクトで開発したツール“Press Picker”のソースコードを公開したことを発表しました。

“Living With Machines”は、第一次産業革命が19世紀を中心に人々へ与えた影響を、データサイエンス・人工知能(AI)・デジタル人文学の方法論を活用して探求する研究プロジェクトとして、2018年に開始しました。英国研究イノベーション機構(UKRI)による5年間の助成の下、BL、及びデータサイエンスとAIの研究機関としてBL内に本部が設置されているアラン・チューリング研究所が中心に取り組んでいます。

同プロジェクトは、BLが所蔵する当時の新聞資料について、デジタル化が未完了の資料群のデジタル化を計画していますが、分量が非常に多い上に、発行時期による頻繁なタイトルの変遷や、資料フォーマット(原紙またはマイクロフィルム)の相違が、全体像の把握を困難としています。“Press Picker”はこのような背景の下、効率的な新聞資料のデジタル化を進めるために、BLの新聞コレクションの概要を把握するツールとして開発されました。

コロナ禍と英国図書館(BL)によるラジオアーカイブ

2021年3月9日付の英国図書館(BL)の視聴覚資料に関するブログ“Sound and vision blog”に、英国図書館(BL)が行っているラジオアーカイブのコロナ禍での状況を紹介する記事“A Covid-19 radio archive”が掲載されています。

BLでは、以前から1920年代に遡るラジオ番組のコレクションがあり、1960年代からは放送から直接録音をしていましたが、これまで地方やコミュニティーのラジオ放送が対象となっていませんでした。そこで、その偏りを是正するため、2019年9月から、BLの音声記録の保存プロジェクト“Save our Sounds”の一環として、“National Radio Archive”プロジェクト(2年間)を開始し、国内7,000以上のラジオ局から選択的に常時50局を選んでアーカイブしています。

英国図書館(BL)、国家プロジェクト“Towards a National Collection”のうち、同館が関わるプロジェクトの中間報告が公開されたことを発表

2021年2月17日、英国図書館(BL)は、英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)が主導する国家プログラム“Towards a National Collection”のうち、同館が関わる以下の3プロジェクトの中間報告が公開されたことを発表しました。

・Persistent Identifiers as IRO Infrastructure
遺産コレクションにおける、永続的識別子の利活用を増進することを目的としたプロジェクト

・Locating a National Collection
文化遺産機関による、コレクションの作成地をはじめとした位置に関する情報の活用を支援するプロジェクト

・Practical Applications of IIIF as a Building Block Towards a Digital National Collection
高品質かつ双方向的な画像リソースとツールを作成するための方法として、IIIFの活用を試みるプロジェクト

E2345 - 英国の国家プログラム“Towards a National Collection”

本稿で紹介するTowards a National Collection(TaNC)は,英国の世界的に著名な博物館・美術館や文書館,図書館に対し,2020年2月から2025年1月にかけての5年間で1,890万ポンドもの大規模な投資を行う,英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)が主導する国家プログラムである。TaNCは,研究者や一般の人々が英国の文化遺産にアクセスする上で障害となっている,オンライン上の異なるコレクション間の隔絶を無くすことを企図しており,統合されたバーチャルな「国家コレクション」の創設に向けた最初の一歩として位置づけられている。そして,これまでにない新しい研究課題の設定を可能としたり,各文化施設の訪問者数を増加させたり,英国の文化遺産へのオンライン上のアクセスを劇的に拡大・多様化させたりするほか,経済や社会、健康への好影響を英国に広くもたらすことが期待されている。さらには,イノベーションを促し,デジタル人文学における英国の世界的リーダーシップを維持し,この分野における世界標準を築くという。

英国図書館(BL)、17世紀に作成された詩人ジョン・ダンによる『メルフォード・ホール手稿』を蔵書として受入:デジタル化画像の公開も実施

2020年12月7日、英国図書館(BL)は、チューダー朝からスチュアート朝初期の英国における代表的な詩人ジョン・ダンによる130点以上の作品を収録した『メルフォード・ホール手稿(Melford Hall Manuscript)』を同館蔵書として受入したことを発表しました。

『メルフォード・ホール手稿』は、2018年にサフォーク州のメルフォード・ホールで発見された資料です。17世紀初めに作成されたことが推定され、約400ページ相当の手稿には、ダンの代表的な詩が収録される一方、これまで十分な研究が進められていない作品も多数含まれ、英国の文化遺産として重要な価値を持っていることを紹介しています。

2019年に英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は、約46万ポンドで競売にかけられていた同資料について、英国内で保存する必要性から海外への輸出を一時的に禁止する通告を発表しています。BLによる同資料の受入は、National Heritage Memorial Fund(NHMF)等の基金による資金援助の結果として実現しました。

『メルフォード・ホール手稿』の内容はデジタル化され、BLがオンライン上で公開しています。また、2021年には閲覧室で研究者が現物を利用可能となる予定です。

英国図書館(BL)、2023年までのコンテンツ戦略“Enabling access for everyone”を公表:1945年以降の出版物が対象

2020年11月30日、英国図書館(BL)は、2020年から2023年までのコンテンツ戦略“Enabling access for everyone: the British Library’s content strategy 2020-2023”を公表しました。

同戦略は、1945年以降の紙・デジタルの出版物(contemporary published content)を対象とした、BLのコレクション構築に関する主な方針と実践を示しています。納本制度に依拠した収集に留まらない積極的な収集に焦点を当てており、他機関との接続(connect)による他機関所蔵コンテンツの利用も同戦略の対象範囲に含んでいます。

同戦略が定める内容として、以下の3点を挙げています。

・どのようなコンテンツを対象として収集や接続を行うのか
・そのコンテンツがどのように取得・保管、またはリンクされるか
・そのコンテンツが短期・長期的にどのように利用可能となるか

英国図書館(BL)、イギリス東インド会社のアーカイブに保存されたウィリアム・アダムス(三浦按針)の手紙をオンラインで公開

英国図書館(BL)によるブログ“Untold lives”の2020年11月17日付け記事で、ウィリアム・アダムス(三浦按針)の手紙をオンラインで公開したことが紹介されています。原本は同館が所蔵するイギリス東インド会社のアーカイブで保存されています。

乗船していた商船リーフデ号が1600年に日本に漂着した後、ウィリアム・アダムスは日本での生活の中でイギリス・オランダの東インド会社の手助けを行っています。そのような経緯から、イギリス東インド会社のアーカイブにはウィリアム・アダムスが日本から同社やその関係者宛てに送った手紙が含まれています。

英国図書館(BL)、同館の研究活動に関する報告書“British Library Research Report”の2018-2019年版を公開

2020年11月18日、英国図書館(BL)は、同館の研究活動に関する報告書“British Library Research Report”の2018-2019年版を公開したことを発表しました。

「2016-2017年版」、「2017-2018年版」に続く3度目の刊行となり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、初めてオンライン版が印刷版に先行して刊行されました。今回刊行された「2018-2019年版」は2018年10月から2019年9月までの期間を報告対象としています。

“British Library Research Report”は、博士課程の学生による3か月間の研究から複数年にわたる共同プロジェクトまで、BLの研究活動支援の取り組みを幅広く紹介する報告書です。「2018-2019年版」では特に国際研究プロジェクトに焦点を当てています。また、UK Research and Innovation(UKRI)の助成の下、アラン・チューリング研究所や国内の研究者と共同して実施中の5年間の研究プロジェクト“Living with Machines”の紹介も行われています。

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