2021年1月5日付で、米国科学アカデミー(NAS)の機関誌“Proceedings of the National Academy of Sciences”(PNAS)は、2021年に同誌コンテンツの公開プラットフォームがWiley社傘下Atyponの“Literatum”へ移行することを発表しました。
移行の対象には、1915年まで遡るPNAS誌の全てのアーカイブコンテンツに加えて、専門外の人々を含む幅広い読者層向けの科学記事等を掲載する“PNAS Front Matter”や、科学的なテーマに関する研究者らの談話を収録した“Science Sessions podcast”なども含まれています。
学術雑誌の購読料の高騰,研究成果の迅速かつ自由な共有の実現,社会への説明責任といったことを背景としてオープンアクセス(OA)が推進されてきており,2000年以降掲載論文を無料でウェブ上に公開するOAジャーナルが広まりを見せている。しかし,OAジャーナルを巡っては論文処理費用(APC)の高騰,捕食ジャーナル(CA1960参照)の興隆といった様々な課題が指摘されている。2020年8月27日付でarXivにて公開された“Open is not forever: a study of vanished open access journals”と題されたプレプリント(以下「プレプリント」)では,OAジャーナルの保存という課題について調査が実施されている。著者はフィンランド・ハンケン経済大学のMikael Laakso氏ら3人である。本稿ではプレプリント(9月3日付公開のVersion 3)に基づき,この課題の調査結果と,OAジャーナルの長期的な保存とアクセスを実現するための取り組みについて報告する。
同調査は、学会系出版社による即時OAへ移行するための契約締結を支援するプロジェクト“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”の結果を受けて、同プロジェクトのフォローアップ調査プロジェクトとして取り組まれます。プレスリリースでは、プロジェクトの主要な目標として以下の3点を挙げています。