トリニティ・カレッジ・ダブリン旧図書館は、巨大な閲覧室「ロングルーム」や『ケルズの書(The Book of Kells)』をはじめとする貴重な写本のコレクション等で著名なアイルランドを代表する図書館・文化施設です。同館は400年以上にわたって、所蔵する貴重コレクションを管理してきましたが、環境汚染や埃の堆積が建物の構造に影響を与えていること、施設の環境制御システムや防火対策が不十分であることなど、コレクションの保存と保存のための建物環境に関する課題を抱えています。また、近年、世界の文化施設で発生している火災の報道も同館の懸念を深刻なものにしています。
英国文化財保存修復学会(The Institute of Conservation:ICON)による2020年10月2日付けの記事で、文化遺産保全のための知識を学ぶ教育用カードゲーム“The Game of Heritage Destruction”が紹介されています。
“The Game of Heritage Destruction”は、英・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の「芸術・遺産・考古学における科学と工学」課程で講師を務めるJosep Grau-Bove博士が2017年に作成したゲームであり、新型コロナウイルス感染症による英国のロックダウン期間中にさらなる改善が行われました。