視聴覚資料

英・電子情報保存連合(DPC)、視聴覚資料のデジタル保存に関するレポート“Pragmatic Audiovisual Preservation”を公開

2021年2月23日、英・電子情報保存連合(DPC)は、視聴覚資料のデジタル保存に関するレポート“Pragmatic Audiovisual Preservation”の公開を発表しました。著者は映像資料やデジタル保存ワークフローの専門家であり、現在はデジタル保存に関するソフトウェア開発やコンサルティング等を行うカナダの企業Artefactualに勤務するAshley Blewer氏です。

同レポートは、デジタル保存の概念やアーカイブ作業の実務に関する基礎知識を有し、かつ視聴覚資料に関する専門知識を有さない実務者を対象とした実践的ガイダンスと位置付けられています。内容としては、視聴覚資料のメディアやファイル構造に関する解説、デジタル保存におけるベストプラクティス、課題の整理、各種ファイルフォーマットの解説、3機関を対象としたケーススタディー、組織タイプ別の保存シナリオ、参考文献等が含まれています。

世界の言語遺産を保存するアーカイブプロジェクト“collection Pangloss”(記事紹介)

2021年1月15日、フランス国立科学研究センター(CNRS)が、消滅の危機に瀕し、記録されていない言語の音声アーカイブプロジェクト“collection Pangloss”に関する記事を掲載しました。

同プロジェクトは、言語多様性等に関するCNRS内の研究ユニット“Langues et civilisations à tradition orale(LACITO)”により1995年から開始され、2012年に“collection Pangloss”という名称がつけられました。

記事によると、現地調査時に収集された170以上の言語の、ドキュメント、音声、ビデオ3,600件以上がコレクションに含まれています。また、提供されている録音は、全体で約780時間であり、半分近くに内容のテキストや注釈が付与されています。

また、記事の中では、専門家のニーズに応えること、より多くの人がアクセスしやすくすることを目的に、2021年1月にインターフェースを改善したウェブサイトを公開したことに触れています。その他、FAIR原則に則ったデータの提供や、2020年10月以降行っているドキュメントへのDOI付与をはじめとした、オープンサイエンスに関する取組等について述べられています。

Wiley社、視聴覚資料の著作権侵害問題に取り組む企業の連合団体“Audiovisual Anti-Piracy Alliance”(AAPA)へ国際的出版社として初めて加盟

2020年12月7日、Wiley社は、視聴覚資料の著作権侵害問題等に取り組む企業の連合団体“Audiovisual Anti-Piracy Alliance”(AAPA)へ国際的出版社として初めて加盟したことを発表しました。

AAPAは、欧州・中東を主な活動拠点とし、ロビー活動・執行機関への協力・海賊版防止のための連携関係の構築等を通して、視聴覚資料の著作権侵害問題へ主導的に対抗することを使命とする企業の連合団体です。

Wiley社はAAPAへの加盟について、同社が世界の知的財産権の保護に継続的に取り組んでいることを示すものであり、米国内では米国出版協会(AAP)と緊密に連携していることを説明しています。

米・Illinois Open Publishing Network(IOPN)、オープンアクセスの査読誌“Journal of Anime and Manga Studies”の創刊号を公開

2020年10月14日、米・Illinois Open Publishing Network(IOPN)が、オープンアクセスの査読誌“Journal of Anime and Manga Studies”の創刊号公開を発表していました。アニメ・マンガ・コスプレ・ファンダムに関する研究や書評を扱う学術誌であり、創刊号には米国におけるアニメの普及等に関する論文5本及び書評1本が含まれています。

IOPNは、米・イリノイ大学図書館の学術コミュニケーション・出版ユニットが運営するデジタル出版サービスであり、“Journal of Anime and Manga Studies”の編集長は、同大学情報学大学院(iSchool)の卒業生で米・エモリ―大学の法律図書館員であるBilly Tringali氏が務めています。

オーストラリア国立公文書館(NAA)、2025年までに再生できなくなる可能性が高い視聴覚記録のデジタル化保存のため300万ドルを拠出すると発表

2020年10月27日、オーストラリア国立公文書館(NAA)が、視聴覚記録のデジタル化保存のため300万オーストラリアドルを拠出すると発表しました。5年計画の最初の1年分の作業の資金となります。

予算が逼迫するなかでも、今後5年間で、技術や機器の入手が困難となり、また、媒体自体も劣化することで、再生できなくなる可能性が高い磁気メディアの記録の保存を重視して決定したもので、この拠出により、同館のデジタル化された視聴覚資料は12万アイテムを超えるまで増加し、最も重大な危機にさらされている資料のほぼ半分がデジタル化保存されることになります。

NAAが所蔵する視聴覚記録には、先住民(アボリジニとトレス海峡諸島民)の言語・物語・オーラルヒストリー、同国の南極観測基地への遠征隊、オーストラリア郵便公社の広告、ウーメラ試験場から発射されたロケット、スノーウィーマウンテンズ水力発電計画による建設に関する記録があると紹介されています。

米・テキサス大学オースティン校、アンドリュー W.メロン財団の助成金を活用して視聴覚資料のデジタル保存・アクセス向上を目的としたプロジェクトを実施

2020年10月7日、米・テキサス大学(UT)は、同大学オースティン校英語学部(Department of English)のクレメント(Tanya Clement)准教授の代表する研究チームが、アンドリュー W.メロン財団による45万ドルの助成金を活用して、視聴覚資料のデジタル保存・アクセス向上を目的としたプロジェクトを実施することを発表しました。

クレメント准教授によるプロジェクト“AudiAnnotate Audiovisual Extensible Workflow(AWE)”は、人文科学分野における重要なデジタル視聴覚コレクションについて、アクセス促進・研究や教育における利用の拡大・理解の増進等を目的として取り組まれます。クレメント准教授はお知らせの中で、視聴覚資料へのアノテーションの付与とオンライン共有がプロジェクトの基本的な取り組みであり、デジタル人文学専門のコンサルタント会社Brumfield Labsや、ソフトウェア開発会社のAVP等と提携し、オープンソースのツールを用いて作成・共有を容易に進めるワークフローの開発を計画していることなどを説明しています。

関西大学図書館、多彩なアプローチからSDGsの達成に貢献する「KU Library thinks SDGs 2020」を実施

2020年9月17日、関西大学図書館は、多彩なアプローチからSDGsの達成に貢献する「KU Library thinks SDGs 2020」を、2020年9月21日から2021年1月30日の期間に実施することを発表しました。

発表では、以下の7つのアプローチが挙げられています。

1.【Academic】教員推薦図書の展示
2020年9月21日から2021年1月30日
同大学の学部横断型科目「SDGs入門」担当教員による推薦図書等、17の目標を達成するためのヒントとなる本の展示が行われます。

2.【Librarian】企画展『向きあう、広がる、新学期:Sustainable Development Goals』
2020年9月21日から2021年1月30日
「ウイズコロナ時代のキャンパスライフ」に参考となる本の展示が行われます。

3.【Audiovisual】視聴覚資料の展示『SDGs audiovisual selection』
10月1日から12月26日
SDGsに対する理解を深められるような視聴覚資料を展示します。

視聴覚コレクションへの相互運用可能なアクセス:“Avalon Media System”について(記事紹介)

europeana proの2020年8月3日付の記事“Interoperable access for audiovisual collections - exploring Avalon Media System”で、デジタルの音声・動画コレクションへのアクセスを管理、提供するためのオープンソースのシステム“Avalon Media System”が紹介されています。

記事によると、同ウェブサイトの2020年6月12日付の記事で紹介されたEuropeanaの新しいメディアプレーヤーは、同システムおよびIIIFの成果をもとに構築されています。

同システムは、米・インディアナ大学と米・ノースウェスタン大学によって2011年に共同開発が開始され、同記事の執筆時点では少なくとも12の機関で利用されています。音声・動画コレクションへの柔軟なアクセスを提供するものであり、HTMLのiframe(インラインフレーム)を用いて他のウェブサイトにメディアプレーヤーを埋め込むことが可能です。

American Archive of Public Broadcasting、1968年から1977年までに放送されたテレビ番組“Black Journal”の59エピソードをオンライン公開

米国議会図書館(LC)とボストンの公共放送局であるWGBHが共同で運営する、米国の公共放送の歴史的コレクションを提供するデータベース“American Archive of Public Broadcasting(AAPB)”は、2020年7月8日付けのブログ記事において、1968年から1977年までに放送されたテレビ番組“Black Journal”の59エピソードをオンライン公開したことを発表しました。

“Black Journal”は、アフリカ系米国人が自らのために自ら製作した初めての全国放送のテレビ番組であり、主に米国黒人社会の公共問題を取り扱っています。放送当初は、米国の公共放送サービス(PBS)の前身に当たる“National Educational Television(NET)”が製作し、後にニューヨークの系列局WNETへ製作が引き継がれました。

特定非営利活動法人映画保存協会、令和2年7月豪雨により水損被害を受けた視聴覚資料の洗浄に関する相談を受け付け

2020年7月8日、特定非営利活動法人映画保存協会が、同会の災害対策部において、令和2年7月豪雨により水に濡れたり土砂をかぶったりした8mmフィルムやビデオテープ等の視聴覚資料の洗浄に関する相談を受け付けると発表しています。

[災害対策部]2020 九州豪雨の被害について(映画保存協会,2020/7/8)
http://filmpres.org/whatsnew/11630/

参考:
天草市(熊本県)、ウェブサイトに「歴史資料保全のお願い」を掲載し、古い記録・美術工芸品等を捨てないよう呼びかけ
Posted 2020年7月13日
https://current.ndl.go.jp/node/41491

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