著作権

Elsevierの電子ジャーナルからもSci-Hubへのリンクが存在することが指摘される

英ロンドン大学教授Martin Paul Eve氏のブログで、Elsevier社の電子ジャーナルプラットフォーム、ScienceDirectからも、Sci-Hubへのリンクが存在している、という指摘がなされています。

この指摘は2019年8月3日付けの記事でなされたもので、Elsevier社がSci-Hubにリンクしているサービスに対し、法的手段を取るとする通知を送った、という話題を契機としています。

これに対しEve氏は、そもそもElsevier社のScienceDirect中にも、参考文献記述の中でリンク先としてSci-Hubがあがっている例が複数あることを示しています(現在は指摘された論文のリンク先は修正されたようです)。Eve氏はElsevierが自身のサイト上の著作権侵害を真剣にはチェックしていないことの証左であるとし、他者を訴えるよりまず自身のことから手を付けるべきではないかとしています。

北米研究図書館協会(ARL)と米・バージニア大学(UVA)図書館、公民権法と著作権法の調和の下でのアクセシブルなテキスト提供方法を検討したホワイトペーパーを公開

2019年7月22日、北米研究図書館協会(ARL)と米・バージニア大学(UVA)図書館はホワイトペーパー“The Law and Accessible Texts: Reconciling Civil Rights and Copyrights”の公開を発表しました。

このホワイトペーパーはアンドリュー・W・メロン財団から助成を受けたプロジェクトの一環として作成されたものです。障害者の公民権保護のために、研究・学習教材へのアクセスを確保することが不可欠であるという背景から、高等教育研究機関が現在の法的枠組みの中でいかに全ての学生に情報への公平なアクセス機会を提供するという使命を果たしているかが分析されています。

特に高等教育研究機関によるアクセシブルなテキスト制作と配布を求める公民権法としばしば公平なアクセス提供の障壁とみなされる著作権法に焦点が当てられており、著作権法の制限と例外を利用して、アクセシブルなテキストを制作・配布して障害者の権利に関する法律を順守し、研究・学習教材への公平なアクセスを提供するという組織の使命を支援する方法に関する議論が展開されています。

欧州研究図書館協会(LIBER)、2018/2019年の年次報告書を公開

2019年6月5日、欧州研究図書館協会(LIBER)は2018/2019年の年次報告書である“LIBER:2018-2019 Annual Report”の公開を発表しました。LIBERによる年次報告書の公開は今回が初めてとなり、2018年6月から2019年5月の主な出来事、2018-2022年の戦略計画の進捗状況、関与した国際的なプロジェクト、年次大会や季刊誌“LIBER Quarterly”に関するデータ、会計状況等が報告されています。

年次報告書では対象期間の主な出来事として、EU著作権指令改正におけるテキスト・データ・マイニング(TDM)を例外とするための働きかけ、オープンサイエンスに関するロードマップの作成・配布、研究図書館のための学術指標の提言をまとめた報告書の公開、研究データリポジトリやデジタル人文学等に関する調査、Plan Sの実現にかかる手引き改善のための声明発表、“A Library Manifesto for Europe”への支持などを挙げています。

カナダ研究図書館協会(CARL)、研究者向けに出版社との著作物の共有・再利用のための権利交渉に関するガイド等を公開

2019年5月14日、カナダ研究図書館協会(CARL)は著作物の共有や再利用にあたって出版社と権利交渉を行うことを検討する研究者向けに3種類の文書を公開しました。

1つ目の文書は、改訂された“Canadian Author Addendum to Publication Agreement”です。リポジトリを通してオープンアクセス(OA)化するなど、著作物の共有・再利用に関して出版社と権利交渉を行う際に、研究者が契約書の添付書類(Addendum)として利用できるものです。主要な改訂のポイントは、OAポリシー等による研究者の所属機関、助成機関への事前の非独占的な権利付与を認める条項を盛り込んだこと、権利交渉の対象を論文だけでなく図書の章単位に拡大したことです。

2つ目の文書は、“CARL Guide to Using the Canadian Author Addendum”です。上述の添付書類の使い方を案内したガイドで、出版社との契約締結にあたって、具体的にどのような権利への影響を考慮すべきか、添付書類をどのような形で作成し出版社へ提出すればよいかなどについて説明しています。

マラケシュ条約が米国内で発効

2019年5月8日、米国内でマラケシュ条約が発効しました。世界知的所有権機関(WIPO)の発表によると、同日、マーシャル諸島共和国内でも発効しています。

@WIPO(Twitter,2019/5/8)
https://twitter.com/WIPO/status/1126125273613836288

@CopyrightOffice(Twitter,2019/5/8)
https://twitter.com/CopyrightOffice/status/1126115917430181888

EU理事会(Council of the EU)、EU著作権指令改正案を承認

2019年4月15日、EU理事会(Council of the EU)は、デジタルかつ越境的な環境のための著作権の例外規定・制限規定の採用、クリエイティブ・コンテンツへの広範なアクセスを確保するための権利処理に関する改正、著作権の正しく機能する市場の達成等を内容とする、EU著作権指令改正案を承認しました。

EU加盟国は、欧州議会議長と欧州理事会議長の署名及びEU官報(the Official Journal of the EU)での公表後、24か月以内にこの新しい著作権指令を国内法化する必要があります。

EU adjusts copyright rules to the digital age(Council of the EU,2019/4/15)
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2019/04/15/eu-adjusts-copyright-rules-to-the-digital-age/

【イベント】第27回大図研オープンカレッジ「デジタルコンテンツから考える著作権―デジタルアーカイブ、電子教材を中心に―」(5/18・名古屋)

2019年5月18日、愛知大学名古屋キャンパスにおいて、大学図書館問題研究会(大図研)オープンカレッジ実行委員会主催、大図研東海地域グループと大図研地域文化研究グループ共催のイベント「デジタルコンテンツから考える著作権―デジタルアーカイブ、電子教材を中心に―」が開催されます。

同イベントでは和知剛氏(郡山女子大学短期大学部講師)による講演「改正著作権と大学図書館」に加えて、大村明美氏(京都大学附属図書館)「京都大学貴重資料デジタルアーカイブについて」、山里敬也氏(名古屋大学 教養教育院 教養教育推進室教授)「デジタル教科書の包括ライセンス利用による教育効果改善の可能性について」の2件の事例報告が行われるとのことです。

第27回大図研オープンカレッジ(DOC)は東海地域(名古屋)で開催します!(大図研オープンカレッジ、2019/4/12付け)
https://dtk-doc.hatenablog.com/entry/2019/04/12/160739

LIBER、EU著作権指令改正案可決へのコメントを発表:改正の意義を評価しつつ一部条項に懸念を表明

2019年3月26日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、同日に欧州議会で可決されたEU著作権指令改正案(New European Copyright Directive)について、改正の意義を評価しつつ、一部の条項に懸念を示したコメント“LIBER Cautiously Welcomes Copyright Improvements for Libraries”を発表しました。

同記事では、人工知能の基礎を形成するテキスト・データ・マイニング(TDM)が著作権の例外になったこと、著作権保護期間内でも商業的な利用のない作品を大規模にデジタル化可能になったこと等を挙げて、ヨーロッパの図書館、教育・研究コミュニティに有意義な改正であったと評価しています。

一方、第11条(「リンク税」)に定められた著作権の適用範囲が明確でなく、自由な情報流通を阻害する可能性があること、第13条でオンラインコンテンツ共有サービスの提供者(学術機関リポジトリは除外)に新たな義務が課されコンテンツの共有と再利用に影響を与える恐れがあることについては懸念を示しています。

米国著作権局、2019年から2023年までの戦略計画“COPYRIGHT:THE ENGINE OF FREE EXPRESSION”を公表

2019年4月5日、米国著作権局が、2019年から2023年までの戦略計画“COPYRIGHT:THE ENGINE OF FREE EXPRESSION”を公表しました。

同局の使命を果たすための目標として設定されている「情報技術の現代化」「業務プロセスの最適化」「機構改革のマネジメント」「教育とエンゲージメント」「著作権法や著作権政策に関する公平な専門知識」「達成度の評価」の6分野が同計画にも反映されているほか、米国議会図書館(LC)の戦略の枠組みとも一致していると説明されています。

Copyright Office Launches Strategic Plan 2019-2023(Copyright Office,2019/4/5)
https://www.copyright.gov/newsnet/2019/760.html

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