著作権

オランダ・ILP Lab、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関するポリシーペーパーを公開:収集における法的課題や複数国の法制度等を調査

2020年8月28日、オランダのThe Glushko & Samuelson Information Law and Policy Lab(ILP Lab)は、ポリシーペーパー“Web harvesting by cultural heritage institutions”の公開を発表しました。

ILP Labは、オランダ・アムステルダム大学情報法研究所(Institute for Information Law)に属しており、学生が運営するイニシアチブです。欧州の情報法分野において、基本的な権利と自由の保護を踏まえた政策解決の発展・促進に携わっています。

このポリシーペーパーは、ILP Labがオランダ国立図書館及びオランダ視聴覚研究所との協力のもと作成したものであり、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関する法制度を策定する際に考慮すべき事項を論じています。作成の背景として、オランダには文化遺産機関がウェブサイト収集を許諾なしに行うための法制度がないためオンラインの文化遺産が収集されず日々失われつつあることを、作成の目的として、現在オランダで進められている法制度導入の検討に資することを挙げています。

【イベント】DAPCONシンポジウム「Out-of-commerceコンテンツをビジネス活用する―公共利用を基盤として―」(9/25・オンライン)

2020年9月25日、デジタルアーカイブ推進コンソーシアム(DAPCON)が主催するシンポジウム「Out-of-commerceコンテンツをビジネス活用する―公共利用を基盤として―」がオンラインで開催されます。

同シンポジウムでは、DAPCONが2018年11月に設置した「テキストデータ再活用推進検討会」での検討結果の報告とともに、今後の日本におけるテキストデータ再活用のあり方についての議論が行われます。聴講は無料ですが事前の申込みが必要です。

当日のプログラムは以下のとおりです。

・趣旨説明
長丁光則氏(DAPCON事務局長)

・テキストデータ再活用推進検討会報告概要
植村八潮氏(専修大学教授、検討会座長)

・絶版等資料の再活用に関わる法的整備の状況
福井健策氏(弁護士、デジタルアーカイブ学会法制度部会長)

・パネルディスカッション「公共利用の拡大とビジネス機会の創出」
討論者:赤松健氏(漫画家)、生貝直人氏(東洋大学准教授)、植村八潮氏(司会を担当)、庄司昌彦氏(武蔵大学教授)、福井健策氏

中国版権協会が著作物の著作権保護に関する委員会を設置

新華網による2020年8月30日付け記事で、8月29日、中国版権協会が著作物の著作権保護に関する委員会である「文字版権工作委員会」を設立したことを報じています。設立は同協会を主管する中国国家版権局の指導の下で行われました。

記事では、今回の設立は著作権保護メカニズムの改善と著作権者の合法的権利・利益の保護に役立つものである、という専門家の意見を掲載しています。また、中国のオンライン文学産業が海賊版により多大な損害を被っていること、2020年の立法計画によれば著作権法改正案の草案にオンラインコンテンツの著作権保護強化が加えられる予定であることも述べられています。

China sets up committee for written works copyright protection(新華網, 2020/8/30)
http://www.xinhuanet.com/english/2020-08/30/c_139327928.htm

【イベント】公開コロキウム「著作権法50周年に諸外国の改正動向を考える ~デジタルアーカイブ、拡大集中許諾制度、孤児著作物対策~」(9/16・オンライン)

2020年9月16日、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)が主催する公開コロキウム「著作権法50周年に諸外国の改正動向を考える ~デジタルアーカイブ、拡大集中許諾制度、孤児著作物対策~」が開催されます。

Zoomを用いたオンライン開催であり、拡大集中許諾制度や孤児著作物対策における欧米・韓国の最新動向の紹介、日本における対応策の模索が行われます。

参加費は無料ですが、事前の申込みが必要です。当日のプログラムは以下のとおりです。

〇主催者挨拶
松山良一氏(国際大学GLOCOM所長)

〇基調講演1
山田太郎氏(参議院議員、自由民主党 知的財産戦略調査会 デジタル社会実現に向けての知財活用小委員会 事務局長)

〇基調講演2
福井健策氏(弁護士・ニューヨーク州弁護士、日本大学芸術学部・神戸大学大学院客員教授)

文化庁、令和元年度⽂化庁委託事業「研究目的に係る著作物の利用に関する調査研究」の報告書を公開

文化庁が、令和元年度⽂化庁委託事業「研究目的に係る著作物の利用に関する調査研究」の報告書(令和2年3月付け)を公開していました。文化庁の委託業務として、一般財団法人ソフトウェア情報センターが2019年12 月 25 日から2020年3月31日にかけて実施した調査研究の成果をまとめたものです。

同事業では、研究目的に係る権利制限規定の創設についての検討に資するため、研究目的に係る著作物の利用実態や利用ニーズ等についての調査研究を行うとともに、検討の基礎となる課題等の整理が行われました。

著作権各種報告(懇談会・検討会議・調査研究)(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/chosakuken/
※「調査研究等」の欄に、「研究目的に係る著作物の利用に関する調査研究報告書(令和2年3月)」へのリンクが掲載されています。

オーストラリア政府、著作権法を改正予定であることを発表:デジタル環境での資料へのアクセス支援のため

2020年8月13日、オーストラリア・インフラ・運輸・地方開発・通信省が、著作権法を改正予定であることを発表しました。

発表によると、今回の改正では、オーストラリアの国民および公共機関のデジタル環境での資料へのアクセスを支援することが目的とされています。また、新型コロナウイルス感染症感染拡大により、著作権の改正へのニーズがより高まったことに触れています。

改正草案は2020年の後半に公開する予定であり、改正予定の項目として次の5点が挙げられています。

1.オーファンワークスの利用に関する枠組み
調査が行われたものの著作者が不明であり、著作が著者に帰属していることが明確な著作物の利用を許可する項目の追加。

2.非営利目的の引用に関するフェアディーリングの例外規定
非営利目的の引用またはサービスや製品にとって商品的価値を持たない引用であり、文化・教育・政府機関、公益や個人的研究に関わる個人により、引用に関する公正な慣習に従って行われるものに対するフェアディーリングの例外規定の追加。

3.図書館および公文書館に関する例外規定の改正
図書館および公文書館に関して定められている例外規定について、全ての著作物に適用され、技術的に中立となるように簡略化、更新を行う。

米国議会図書館(LC)、1790年から1870年にかけて著作権申請時に提出された標題紙のデジタルコレクションを公開:1870年著作権法150周年

2020年8月13日、米国議会図書館(LC)が、現代的な著作権法が成立した1870年著作権法の150周年を記念し、1790年の著作権法制定から1870年までの期間に、著作権申請で使用された標題紙のデジタルコレクションを公開したと発表しました。

同コレクションは、1790年著作権法および1831年著作権法に則って、著者や出版者から送付された標題紙の画像約5万件で構成され、コメディや演劇、ハウツー本等が含まれています。また、絶版となっている資料や、著作権申請が出版の前に行われていたために実際に出版された著作とは異なるものがあるとしています。

記事の中では、初期の著作権申請に関する資料はワシントンD.C.の連邦地方裁判所や政府機関に保管されていましたが、1870年の著作権改正時にまとめてLCに移管されたということが述べられています。

次のフェーズとしては、政府職員により作成、維持管理されていた手書きの著作権台帳のデジタル化が挙げられています。

ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方:文字起こし、アノテーション、字幕等(記事紹介)

Europeana Proに掲載された2020年8月12日付け記事で、ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方が紹介されています。筆者はEuropeana財団のJunior Policy AdvisorであるAriadna Matas氏です。

Europeanaが、クラウドソーシングのプロジェクト等を通じてユーザーによるコンテンツの文字起こし、アノテーション付与、エンリッチメントを進めてきたことに触れつつ、これらのユーザー作成コンテンツの著作権をどう扱うかについてEuropeanaとしての考え方を示しています。

アノテーションとエンリッチメントについては、Europeanaのデータパートナーから提供されるメタデータと同じ扱いとし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC0での提供とすべきとしています。一方、文字起こしと字幕については、それらが基づくコンテンツの知的財産権を尊重し、データパートナーがコンテンツに設定した権利ステートメントと同条件での提供としています。

大学図書館員による学生向け著作権教育:多段階的アプローチ(文献紹介)

2020年7月30日付で刊行された“Journal of Librarianship and Scholarly Communication”に、大学院生の著作権教育に関する論文“Copyright Education for Graduate Students: A Multi-Stage Approach”が掲載されました。

同論文では、著作権教育に関する先行文献のレビューや、米国のテキサスM&A大学の図書館員らによる大学院生を対象とした著作権教育プログラムの説明、今後の展望についてまとめられています。

同館のプログラムは、対象とする大学院生の状況に合わせて、以下の3段階に分かれています。

・移行段階:オンライントレーニング
著作権の基本的内容や適用範囲、大学院生に適用される大学の知的財産に関する規定等について、同大学の大学院教育に関する組織Office of Graduate and Professional Studies(OGAPS)によりオンラインで公開されている教材を用いて学ぶものです。

Internet Archive(IA)、大手出版社4社の著作権侵害訴訟に対する答弁書を提出:“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の適法性を主張

Internet Archive(IA)は2020年7月29日付で公開したブログ記事において、商業出版社4社がIAの“Controlled Digital Lending(CDL)”による電子書籍貸出の停止を求めて提起した著作権侵害訴訟への答弁書(Response)を、前日28日に提出したことを発表しました。

図書館の所蔵する冊子体資料をデジタル化して、ファイルの再配布に制限を付けて行われるCDLを通した電子書籍貸出は、9年以上実施され広く米国の図書館界に普及していることなどを挙げ、米国著作権法は図書館が所蔵する資料をデジタル化し、管理された方法で利用者に貸出する権利を阻んでいないとして、IAはCDLによる電子書籍貸出の適法性を主張しています。

ブログ記事では、作家の利益促進のために活動する米国の非営利団体“Authors Alliance”がCDLによる電子書籍貸出をフェア・ユースとして支持する見解を表明したことや、多くの教育機関が公衆衛生上の懸念から資料へのアクセスを厳しく制限する中で行われるこの訴訟は、学習者への情報アクセスを維持するために取り組む図書館等の試みを阻害するものであることにも言及しています。

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