知的自由

国際図書館連盟(IFLA)、改正EU著作権指令の「アップロードフィルター条項」実施ガイドライン草案を広く共有することを求めた書簡に署名

2020年1月19日、国際図書館連盟(IFLA)は、欧州の40以上の市民社会組織とともに、2019年4月に成立した改正EU著作権指令「デジタル単一市場における著作権指令(the Directive on Copyright in the Digital Single Market)」で定められた「アップロードフィルター条項」実施ガイドライン草案を広く共有することを求めた書簡に署名したことを発表しました。

改正EU著作権指令の第17条では、著作権を侵害するコンテンツのアップロードを防ぐために、オンラインコンテンツ共有サービスのプロバイダが講じるべき措置に言及した「アップロードフィルター条項」が定められ、2021年6月までに加盟国は国内法化を完了する必要があります。しかし、第17条にはプラットフォームに対してユーザのアップロードした全てのコンテンツを監視する技術の利用を義務付けていると読み取れる条項と監視の義務は存在しないと宣言した条項が併存するなど、多くの矛盾した内容が指摘されています。IFLAは図書館分野からの唯一の代表として、EU加盟国の利害関係者間で行われている同条項への懸念に対処を目的とした、実施ガイドライン作成のための対話に積極的に参加しています。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」を開催する図書館を支援するためイベント開催の様子を撮影した写真送付を呼びかけ:ブリスベン・スクエア図書館で発生した中傷による妨害への対抗として

2020年1月13日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、クイーンズランド州のブリスベン・スクエア図書館で前日12日に発生した「ドラァグクイーンによる読み聞かせ(Drag Queen Storytime)」イベントの中傷による妨害に触れ、このような図書館のイベントへの妨害を非難し、図書館が主催する「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」を全面的に支持する声明を発表しました。

ALIA会長のナイト(Robert Knight)氏は、「図書館の蔵書・プログラム・サービスはコミュニティに所属する全ての多様なメンバーを対象としたものである。オーストラリア国内の多数の図書館が社会包摂プログラムへの関与の一環として、「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」を実施しており、偏見に基づいて図書館活動が妨害されることは全く受け入れられない」とコメントしています。

ALIAは「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」が図書館で広く支持されていることを示すため、「ドラァグクイーンによる読み聞かせ」の様子を撮影した写真をALIA宛にメール送信することを国内の図書館に依頼しています。

プロジェクト・インフォメーションリテラシー、大手IT企業の使用するアルゴリズムが支配的な時代の情報リテラシーと大学生に関する報告書を公開(米国)

2020年1月14日、米国の成人の情報リテラシーに関する調査を進めているプロジェクト・インフォメーションリテラシー(Project Information Literacy:PIL)が、Google、YouTube、Instagram、Facebookといった大手IT企業の使用するアルゴリズムが支配的な時代における、情報リテラシーと大学生に関する報告書の公開を発表しました。

同報告書は大学生が絶えず変化するオンライン情報の全体像をどのように概念化しているか、コンテンツの形成・フィルタリングのためアルゴリズムの採用を進め不安定だが人気のあるプラットフォームからどのようにオンライン情報を利用しているのか、に関する知見を提供したものです。全国8大学103人の学生を対象とした16件のフォーカス・グループ・インタビュー、37人の教員へのインタビューから収集された質的なデータに基づいて報告書が作成されました。

米国のランド研究所、難民及び難民支援組織のデジタル技術の活用・ニーズ・欠落状況等を分析した調査報告書を公開

2019年12月17日、米国に拠点を置く公共政策課題の解決策開発等に取り組む非営利の研究組織・ランド研究所(RAND Corporation)は、調査報告書“Crossing the Digital Divide: Applying Technology to the Global Refugee Crisis”を公開しました。

強制退去により難民となることを余儀なくされた人々は2018年には7,100万人に達し20年前の約2倍に増加しています。この深刻化する危機の中で、デジタル情報技術は難民や難民の支援組織にとって重要なリソースであり、また人道上の問題解決において重要な役割を果たすものと考えられています。

こうしたことを背景に、公開された報告書では、デジタル情報技術の活用・ニーズ・欠落状況や、難民を支援し難民支援組織の役割を向上させるためのよりよいデジタル情報技術活用のための機会に関する分析が行われています。また難民問題特有の倫理・セキュリティ・プライバシーに関する考慮事項の検討やデジタル情報技術導入にあたっての障壁の調査、デジタル情報技術の展開に関するシステマティックなアプローチを構築するためのツールの紹介なども扱っています。

LIS Newsが選ぶ2019年の図書館・図書館情報学関連の10大ニュース(米国)

2019年12月15日、図書館や図書館情報学に関するニュースを掲載している米国のブログLIS Newsが、同ブログが選ぶ2019年の10大ニュースを発表しています。

1. 図書館の延滞料金徴収廃止の動き

2. 出版社への抵抗(カルフォルニア大学とElsevier社の交渉決裂、ニューヨーク公共図書館による動画配信サービスKanopyへの無料アクセス提供中止、Macmillan社・Pearson社による図書館向け電子書籍提供モデル変更への反対、Plan Sの緩やかな前進)

3. 論争を引き起こす講演者によるイベントの中止問題

4. ディスカバリーサービスとアルゴリズムバイアスの問題

5.プライバシーの問題(LinkedIn Learning、FaceApp、顔認識ソフト、2020年国勢調査での市民権に関する質問)

6.フロリダ州の郡政委員会による図書館からのニューヨークタイムズへのアクセス遮断、及び、アイダホ州の図書館利用者による反トランプ資料の書架からの除去

7.ゲーム番組「ジェパディ!」での図書館員エマ・ブッチャーの勝利

8.無神経な建築家(階段でないと利用できない場所に本棚を設置したクイーンズ公共図書館の分館、盗撮されやすい構造のコーネル大学図書館)

北米の都市図書館協議会(ULC)の電子書籍への公平なパブリック・アクセスの必要性に関する声明に対して北米の市・郡の公選役職者77人が署名

2019年11月7日、北米の都市図書館協議会(ULC)は、電子書籍への公平なパブリック・アクセスの必要性に関する声明“Statement on Equitable Public Access to E-Books”に対して、北米地域の市長や郡長官等の公選役職者77人が署名したことを発表しました。ULCは署名者が所属する自治体の住民数を合計すると4,400万人以上に上ることを発表しています。

総務省、フェイクニュース対策についてFacebook、Google、Yahoo!、LINEら「プラットフォーマー」と検討の方針

フェイクニュース拡散の問題をめぐって、総務省がFacebookやGoogleなどの「プラットフォーマー」と対策を検討する方針であることが報じられています。

フェイクニュースについて、総務省は有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」を開催し、対応を議論しています。報道によれば、Facebook、GoogleのほかYahoo!、LINEといった国内外のプラットフォーマー、およびファクトチェックを行う民間の団体などに呼びかけ、対策を検討する方針であるとのことです。一方で報道では、表現の自由侵害の懸念から、法律による規制ではなく、プラットフォーマーによる自主的対策が想定されている、ともされています。

有識者会議による最終的な提言は2019年内にまとめられるとのことです。

“フェイクニュース”対策に本腰 総務省 大手IT企業と連携(NHK、2019/11/17付け)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191117/k10012180111000.html

国際図書館連盟(IFLA)、改正EU著作権指令に関する図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事を掲載

2019年11月6日、国際図書館連盟(IFLA)は、2019年6月に施行された改正EU著作権指令について、図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事として、“European Copyright Directive Implementation Advances: How Can You Get Involved?”を掲載しました。

改正EU著作権指令の発効後、オランダ・ドイツでは図書館を含む様々な利害関係者の提言を集めるためにすでに公開協議が開催され、フィンランド・ハンガリー・アイルランドでは、図書館の専門家がそれぞれの政府と協議を開始するなど、実施に向けた準備が進んでいます。IFLAは改正EU著作権指令に含まれる内容と図書館員の関与の重要性、関与のために踏むべき手順等を同記事の中で解説しています。

大手出版社Macmillan社、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施:米国図書館協会(ALA)は継続して反対キャンペーンを展開

2019年11月1日、米国の大手出版社Macmillan社は、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施しました。新刊書の購入を各図書館1冊までに制限し2冊目以降の購入に8週間のエンバーゴを設けるという内容です。

米国図書館協会(ALA)は同日付のお知らせで、方針撤回を求める強固な世論が存在するにもかかわらず、同社はモデル変更の実施を行った、としています。ALAは同社の決定を受けて、今後も2019年9月11日からオンライン上で展開している同社への抗議キャンペーン“eBooksForAll.org”で、同社の方針への反対署名を募りながら電子書籍の購入制限がコミュニティへ与える影響に関するエピソードを収集する予定です。また、議会への働きかけをさらに強めることも表明しています。

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