知的自由

国際図書館連盟(IFLA)、虚偽の情報への対策に関する国際連合の意見募集に回答

2021年2月23日、国際図書館連盟(IFLA)は、虚偽の情報(disinformation)対策に関して、国際連合が実施した意見募集への回答を公開したことを発表しました。

意見募集は、意見および表現の自由の促進と保護に関する国連の特別報告者により行われました。回答では、メディアリテラシーおよび情報リテラシーが、表現の自由をはじめとした人権を制限することなく、虚偽の情報や誤った情報(misinformation)へ対応する上で有効であるということが主張されています。

その他、虚偽の情報に関する課題や対応、メディアや情報のエコシステム、対象者に合わせたアプローチ、メディアリテラシーと情報リテラシーの影響と有効性等に言及されています

Media and Information Literacy as a Reponse to Disinformation(IFLA, 2021/2/23)
https://www.ifla.org/node/93654

国際図書館連盟(IFLA)、ミャンマー国軍のインターネット遮断による情報アクセス制限に対して会長・事務局長名で深い憂慮を表明

2021年2月9日、国際図書館連盟(IFLA)は、ミャンマー国内でインターネット遮断などの情報アクセス制限が行われているという報道を受けて、マッケンジー(Christine Mackenzie)会長とライトナー(Gerald Leitner)事務局長の連名で深い憂慮を示した声明を発表しました。

声明では、情報アクセスは権利と発展の原動力であるという確信が図書館活動の根底にあり、これを制限することは、短期的な弊害を生み出すとともに、長期的にも傷跡を残し進歩を遅延させるとして、深刻な問題であることを指摘しています。その上で、インターネット遮断による情報アクセス制限は、図書館が自らの使命を果たすための機能を阻害し、経済・社会・文化・市民参加に著しい制限をかける措置であるとして、ミャンマー国内の図書館の国際的な基準に沿った自由な運営と、図書館利用者の情報アクセス権の行使の支援について、ミャンマー政府がこれを保証するように要求しています。また、ミャンマー国民の情報に関わる権利行使の保証に、最大限の努力が図られることを求めています。

報道等によると、2021年2月1日にクーデターで政権を掌握したミャンマー国軍は、市民による抗議活動の組織化の阻止のため、2月6日から7日にかけて国内のインターネット接続の遮断を実施しました。

知識への公平なアクセス権を擁護する非営利団体“Library Futures Institute”が立ち上げられる

米国の非営利団体Internet Archive(IA)による2021年1月26日付けのブログ記事で、知識への公平なアクセス権を擁護する非営利団体“Library Futures Institute”が新たに立ち上げられ、1月25日にウェブサイトを公開したことを紹介しています。

“Library Futures Institute”には、IA、SPARC、クリエイティブ・コモンズ、米・ボストン公共図書館など複数の機関が“Coalition Partners”として協力しています。

“Library Futures Institute”のウェブサイトによれば、デジタル環境における図書館の持続可能な未来の保障に取り組むとしています。同ウェブサイト内の“Our Principles”のページでは同団体の基本方針が示されており、情報への公平なアクセス、著作権に配慮した「制御されたデジタル貸出」(controlled digital lending)の擁護等を提唱するほか、図書館ではこれまで扱ってきた印刷物と同様にデジタルコンテンツも購入・保存・貸出・寄贈が可能となるべき、と主張しています。

トランスジェンダーの研究者の著者名表記変更に関する5つの基本原則(記事紹介)

2021年1月13日付で、出版倫理委員会(COPE)は、学術出版におけるトランスジェンダーの研究者の著者名表記の変更について、5つの基本原則の提案やこのようなパラダイムシフトの意味を考察する記事として、“A vision for a more trans-inclusive publishing world: guest article”を公開しました。

同記事では、トランスジェンダーの研究者が自身の研究成果に対する正当な評価を得るために、過去に使用していた名称を現在の名称へ変更しようとする際に、出版社との煩雑な手続きが必要となるだけでなく、手続きの過程で自身の私的なアイデンティティに関わる問題を開示して交渉を強いられる現状を指摘しています。このような現状の改善のため、記事では出版社等に対して著者名表記変更について、次の5つの基本原則を提案しています。

総務省、インターネット上の海賊版対策に係る同省の政策メニューを公表

2020年12月25日、総務省は、資料「インターネット上の海賊版対策に係る総務省の政策メニュー」を公表しました。

2021年1月1日施行の改正著作権法において、違法にアップロードされた著作物(漫画・書籍等)のダウンロードが違法化されることを踏まえ、同省が関係省庁・関係団体及び事業者と連携しつつ実施する取組について政策メニューを取りまとめたものです。

公表資料では、次の4つの取組が挙げられています。

1.ユーザに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動
2.セキュリティ対策ソフトによるアクセス抑止方策の促進
3.発信者情報開示に関する取組
4.海賊版対策に向けた国際連携の推進

インターネット上の海賊版対策に係る総務省の政策メニューの公表(総務省, 2020/12/25)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000108.html

札幌弁護士会、会長名で「捜査関係事項照会に対する公立図書館等の対応に関する意見」を公表

2020年12月23日、札幌弁護士会は、会長名で「捜査関係事項照会に対する公立図書館等の対応に関する意見」を公表しました。

図書館の利用に関する照会は利用者のプライバシー権に関わる重要な問題とし、捜査機関に対し、図書の貸出・閲覧情報等の照会に当たっては刑事訴訟法218条に基づく捜索差押等の手続を取ることを求めています。また、公立図書館・大学図書館に対しては、令状を伴わない照会に応じ利用者に関するこのような情報を提供しないよう求めています。

札幌弁護士会では、2020年3月、札幌弁護士会管内の市町村の基幹図書館及び大学図書館計102館を対象に、令状によらない捜査関係事項照会を受けたことがあるかを尋ねるアンケート調査を行いました。回答があった43館のうち10館が「受けたことがある」と回答し、その内5館は照会事項に対して回答していました。今回の意見はこの調査結果を踏まえて公表されました。

捜査関係事項照会に対する公立図書館等の対応に関する意見(札幌弁護士会, 2020/12/23付け)
https://satsuben.or.jp/statement/2020/12/23/239/

LIS Newsが選ぶ2020年の図書館・図書館情報学関連の10大ニュース(米国)

2020年12月15日、図書館や図書館情報学に関するニュースを掲載している米国のブログLIS Newsが、同ブログが選ぶ2020年を形作った10大ニュースを発表しています。

1.いくつかの例外を除き、職員や利用者の健康を守るための図書館の閉鎖が遅く、閉鎖される前に図書館の閉鎖に関するキャンペーンが広がる

2.誤った情報が生命や民主主義を危険にさらしているが、悪い情報と戦う上での図書館員の役割は不明確のまま

3.地域の書店を支援するために設立されたオンライン書店BookshopによるAmazonへの挑戦

4.知的財産権の問題をはらむ新型コロナウイルスワクチンの探究

5.インターネットアーカイブ(IA)によるNational Emergency Library

6.コロナ禍でのオンライン試験の拡大とオンライン試験監視ソフトウェアによる監視方法の問題

米国図書館協会(ALA)、人種と性のステレオタイプに関する大統領令に対して批判声明を発表

2020年10月29日、米国図書館協会(ALA)は、9月22日付で発令された人種と性のステレオタイプに関する大統領令“Executive Order on Combating Race and Sex Stereotyping”に対する声明を発表しました。

この大統領令は、連邦政府の職員・政府からの契約を請け負った事業者・助成金の受領者に対して、批判的人種理論や白人優位主義に関する議論・検討を禁止し、ダイバーシティに関する教育・研修を中止することを求めています。ALAは発表した声明の中で、この大統領令がダイバーシティに関する教育・研修は人種差別や性差別を再生産するという悪意に満ちた誤りの主張に基づいているとして、否定する立場を明らかにしています。

ALAは、図書館・図書館員が、黒人・先住民・有色人種の人々を抑圧・排除し、女性への機会平等を否定するシステムに加担してきたことを認識し、平等な権利と機会を保障する国家の義務を果たすためには、痛ましく残酷な歴史に学ぶことが不可欠であると主張しています。また、助成金交付の中止を恐れてプログラムの中止を決めた機関が確認され、ホットラインを設置して違反の報告が奨励されていることについて、「マッカーシズム」による検閲を想起させるものとして懸念しています。

米国図書館協会(ALA)、「2010年代に最も禁書とされ批判を受けた図書100タイトル」を発表

2020年9月27日、米国図書館協会(ALA)の知的自由部(OIF)は、過去10年間に最も禁書とされ批判を受けた図書100タイトルのリストとして、“Top 100 Most Banned and Challenged Books: 2010-2019”を発表しました。

同リストは、合衆国憲法修正第1条の擁護や読書の自由の重要性を訴えるための「禁書週間(Banned Books Week)」の開始を告げるものとして発表されました。LGBTQIA+・性的な描写・宗教的な視点・人種差別や警察による残虐行為・冒涜的な内容など、様々な理由で批判を受けた図書が含まれ、第1位にはシャーマン・アレクシー(Sherman Alexie)の『はみだしインディアンのホントにホントの物語(The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian)』が選出されています。

米・法律図書館マイクロフォームコンソーシアム(LLMC)、市民権・人権に関する情報提供ハブとして機能するポータルサイト“RIGHTS! portal”を公開

2020年9月1日、米国の法律図書館マイクロフォームコンソーシアム(Law Library Microform Consortium:LLMC)は、市民権・人権に関する情報提供ハブとして機能する無料でアクセスの可能なポータルサイト“RIGHTS! portal”の公開を発表しました。

LLMCは市民権・法の支配が重大な脅威に晒されている状況に触発されて、“RIGHTS! portal”の構築を進めました。ポータルサイトの構築は、有色人種をはじめとする周縁化された人々が直面する不正義への対応であり、そのような人々にとっての貴重な情報源としての役割を果たす意図があると説明しています。

“RIGHTS! portal”は、国レベルから地域レベルまで、憲法、人権・市民権を規定した法律、司法当局、人権・市民権に関する委員会に関連した主要なオンライン情報源や、擁護団体を含むNGOのウェブサイトへのリンク、関連文書等へのリンクについて、最新情報を提供しています。主に米国に関する資料が提供されていますが、米国外や国際機関の資料も含まれています。また運営に当たって、資料の評価や外部からの意見・依頼等へ対応するため、専門家で構成する諮問委員会が設置されています。

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