2016年1月9日,大阪学院大学で日本図書館研究会情報組織化研究グループ主催の「東アジア地域における書誌コントロールの動向に関する国際フォーラム」が開催された。同フォーラムでは,日中韓における書誌コントロールの現状について,Linked Open Data(LOD;CA1746参照)やBIBFRAME(E1386参照),RDA(CA1767参照)などを切り口に,夏翠娟氏(上海図書館システム・ネットワークセンター),朴志英氏(漢城大学),渡邊隆弘氏(日本図書館協会目録委員長・帝塚山学院大学)が発表を行ったのち,木村麻衣子氏(学習院女子大学)をコメンテータに迎えてパネルディスカッションが行われた。以下,その内容を報告する。
京都の図書館司書の自己学習グループ「ししょまろはん」による、Linked Open Dataに関する取組み(「Web NDL Authorities」の利活用事例紹介)や、7月24日にNDL関西館で、8月21日にNDL東京本館で開催された「全国書誌データ・レファレンス協同データベース利活用研修会」の報告記事などを掲載しているほか、本号から「世界のRDAの取組みのいま」の連載を開始しています。
ベトナムの図書館に関して、日本語ではGiem Trinh(1)、黒古(2)、Nguyen Hoa Binh(CA1615参照)、松村(3)などにより散発的に短い報告がなされてきたものの、依然としてよく知られていないのが実情である。特に、目録作成に際してどのような目録規則や分類表が用いられているのか、現状を報告する文献はほとんど見当たらない。筆者は、漢字文化圏の典拠コントロールについて研究を進めていることから、2014年4月に、ベトナム国家図書館(The National Library of Vietnam: NLV)および国立科学技術図書館(National Library for Science & Technology)に対して、目録作成の状況に関する訪問調査を行い、通訳を介してそれぞれ3時間程度のインタビューを行った(4)。さらに2014年10月に、ホーチミン市総合科学図書館に対して質問紙調査を行い、回答を得た。その概要を、ベトナムの図書館における目録作成ツールに関するいくつかの先行研究とともにここに報告する。