カレントアウェアネス・ポータル
Published on カレントアウェアネス・ポータル (https://current.ndl.go.jp)

ホーム > 図書館調査研究リポート > No.2 電子情報環境下における科学技術情報の蓄積・流通の在り方に関する調査研究(平成15年度調査研究)

No.2 電子情報環境下における科学技術情報の蓄積・流通の在り方に関する調査研究(平成15年度調査研究)

  • 参照(79221)

 電子情報環境下における我が国の科学技術情報の資源配置の全体像を明らかにし,科学技術情報の収集整備において,今後国立国会図書館が果たすべき役割及び関係機関との連携協力の方向性を明確化することを目的に実施した調査の結果をまとめたものである。
 本書では,まず1章で調査の概要を示した後,2章で学術雑誌の全国的な配置状況について,大学図書館及び国公私立の研究機関等における学術雑誌の収集状況を,冊子体及び電子ジャーナルの両面から調査した資源配置調査の結果を報告している。3章では,電子ジャーナル導入のためのコンソーシアムの現状と課題について,国立大学図書館協議会など4つのコンソーシアムへのインタービュー調査の結果をまとめている。4章では,オープンアクセス型アーカイブと図書館の役割について,e-print archiveなど新たな科学技術情報流通システムの概要と図書館との関わりを整理した。

PDF版はこちら [1][約6MB]

図書館調査研究リポート [2]

はしがき

  • 参照(19232)

はしがき


 国立国会図書館では、図書館及び図書館情報学分野の調査研究を行い、その成果を広く共有するため、平成15年度から「図書館調査研究リポート」として刊行しています。

 平成15年度は、「電子情報環境下における科学技術情報の蓄積・流通の在り方」として、最近のインターネット等情報通信技術の発展により、大きく変化している我が国の科学技術情報の資源配置の現状と問題点、新たな情報発信の動き等を調査しました。本報告書は、その成果をまとめたものです。

 調査は株式会社シィー・ディー・アイに委託しましたが、実施にあたっては、歳森敦筑波大学図書館情報学系助教授を主査とした以下のメンバーによる研究会が担当しました。本報告書は、各メンバーが分担執筆しています。


  主査: 歳森 敦(筑波大学図書館情報学系助教授 第1,2章担当)

  委員: 宇陀 則彦(筑波大学図書館情報学系助教授 第3章担当)

      坂井 華奈子(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)

      松林 麻実子(筑波大学図書館情報学系講師 第4章担当)

      村上 泰子(梅花女子大学文学部助教授)

  アドバイザー:

      永田 治樹(筑波大学図書館情報学系教授)(以上敬称略 所属は当時)


 本調査にご協力いただいた委員各位、また、質問紙調査及びインタビュー調査にご協力いただいた国内外の図書館及び関係機関の皆様にお礼申し上げます。

 調査は2年計画で、実施していますので、平成16年度の成果は改めて本シリーズにて刊行する予定です。

 本シリーズは、今後も当館が行った調査研究の成果を公表するため、随時刊行していきます。関係各位の率直なご意見とともに、ご支援、ご協力をお願いいたします。


 平成16年7月 


関西館事業部図書館協力課長


児玉 史子


要旨

  • 参照(17712)

要 旨


本調査研究は,電子情報環境下における我が国の科学技術情報の資源配置の全体像を明らかにし,科学技術情報の収集整備において,今後国立国会図書館が果たすべき役割及び関係機関との連携協力の方向性を明らかにすることを目標としている。そのため,国内における学術雑誌の資源配置状況を明らかにすることを目的とした資源配置調査,大学図書館における電子ジャーナルの導入状況に影響を及ぼしている電子ジャーナル・コンソーシアムの現状とそれらコンソーシアムが国立国会図書館に抱いている期待についてのインタビュー調査,電子情報環境下の新たな学術情報のメディアとして注目されているオープンアクセス型アーカイブの現状と各国国立図書館の対応状況調査を行った。


2章では,学術雑誌の全国的な配置状況について,大学図書館,国公私立の研究機関等における学術雑誌の収集状況(タイトル数,資料購入費等)を冊子体及び電子ジャーナルの両面から調査して明らかにした資源配置調査の結果を報告する。ここでは,近年の価格上昇と電子ジャーナルの導入により,学術雑誌の配置状況に生じている変化を示すとともに,館外文献複写の利用状況を調査し,現在の日本において国立国会図書館の情報資源がどのような位置づけを占めるかを検討した。具体的には,以下の点が明らかとなった。


(1) 科学・工学・医学系分野(STM分野)を収集対象とする大学においては冊子体雑誌のおよそ5割をSTM雑誌が占め,最もタイトル数が多い大学で5,000から6,000タイトル程度を収集している。このうち洋雑誌は3,500から5,000タイトルを占めている。雑誌のタイトル数は減少傾向にあるが,その半分はSTM雑誌の減少であり,洋雑誌が減少分のほとんどを占めている。


(2) 国立国会図書館は国内雑誌については納本制度によって包括的に収集できているものの,STM洋雑誌のタイトル数に見るように,冊子体の外国雑誌に関しては国内最大規模の大学と同程度かあるいはやや劣る程度の量である。


(3) 国立大では大学の規模に関わらず意欲的に電子ジャーナルが導入されているが,公・私立においては一部の大規模校で大量導入されているものの,中小規模校ではあまり導入が進んでいない。


(4) 公立大・私立大では電子ジャーナルのタイトル数が少ない大学が半数を占め,冊子体に比べて電子ジャーナルではタイトル数の面で上位校と下位校の格差が拡大している。


(5) 大学規模に応じた価格づけが行われる電子ジャーナルは,中小規模校が相対的に低価格で導入が可能であり,そのメリットを活かした国立大では,冊子体と較べて電子ジャーナルでの上位校と下位校の格差が縮まった。


(6) 国立大では程度の差こそあれ全ての大学で電子ジャーナルの導入が進んでおり,これは国立大学図書館協議会電子ジャーナルタスクフォースによるコンソーシアム形成の効果と考えられる。


(7) アーカイビングなどの共同事業への期待は薄く,現に電子ジャーナルを大量に導入している大学にあっても,コンソーシアムの任務は価格と情報収集であると位置づけている。


(8) 館外文献複写の実績においては,大学図書館における情報要求はほとんどが大学図書館内で完結して処理されていること,専門情報機関においても科学技術振興機構や外国への依頼が多く国立国会図書館の占めるシェアは多くないことが示された。ただし,都道府県立図書館においては国立国会図書館の利用が最も多く,その優先順位も1位とする館が多かった。


(9) 機関レポジトリの整備状況としては,1割程度の大学図書館で提供が行われている。むしろ専門情報機関における提供が多く2割程度の機関がレポジトリを提供している。提供内は大学においては紀要や学位論文,専門情報機関にあっては報告書,テクニカルレポートが多く掲載されている。


3章では電子ジャーナル導入のためのコンソーシアムの現状と課題について,日本国内で形成されているコンソーシアムの状況を整理した。対象とするのは,国立大学図書館協議会(現・国立大学図書館協会),日本医学図書館協会,日本薬学図書館協議会,関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)によってそれぞれ取り組まれているコンソーシアムで,各コンソーシアムの事務局計8名に対してインタビュー調査を実施し,コンソーシアムの現状を概観するとともに,コンソーシアム形成の効果と各コンソーシアムと国立国会図書館との関係・期待される役割について論じた。ここでは以下の点が明らかとなった。


(1) コンソーシアム設立にあたっては,学術雑誌の価格高騰と電子ジャーナルの有料化への対応,電子ジャーナルの重要性に関する認識の高まりの二点が共通する契機であった。


(2) コンソーシアムの始動期にあっては,出版社とコンソーシアムが相互の要求を理解し,日本の大学事情に合致した契約条件を整えることに多くの努力が費やされた。


(3) 日本におけるコンソーシアムの特徴は交渉と契約の分離にあり,交渉はコンソーシアムが行うが,契約は機関ごとに個別に行っている。


(4) コンソーシアムの活動にもかかわらず,電子ジャーナルの価格上昇は継続している。コンソーシアムを通じて参加機関は相対的に安価な契約条件を得ているが,当初期待されたような価格高騰問題の全面解決には至っていない。


(5) 日本のコンソーシアムは緩やかに結びついた組織であるという特徴を備えており,複数のコンソーシアムがある程度重複しながら活動を行っている。他コンソーシアムの存在は意識されているが,相互の連携は必ずしも簡単でないとの認識がある。


(6) 個々のコンソーシアムが国立国会図書館に対して抱く認識や距離感はそれぞれ異なっている。一般的にコンソーシアムの内部で持ち得ない機能を,外部に求める際に国立国会図書館への期待が生じており,いわゆる「最後の砦」論は共通した認識である。


4章ではオープンアクセス型アーカイブと図書館の役割と題してe-print archive,PubMed Central,Public Library of Science,機関レポジトリなど,新たな科学技術情報流通システムの概要と評価,図書館との関わり(特に各国の国立図書館との関係)を整理する。それぞれのシステムの概要および評価に関しては,紙文献及びウェブサイト等から収集した情報に基づいて分析・考察を行った。国立図書館との関係を考えるために,諸外国の科学技術文献取り扱い機関20館に対して質問紙調査を行った。結果として,12館から回答を得ることができた。ここでは以下の点が明らかとなった。


(1) 本章で取り上げたメディアは,どれもオープンアクセスを可能にしているという点において,新奇性を持つものである。


(2) 本章で取り上げたメディアは,新しいものであるがゆえに,一般利用者に対する知名度がそれほど高くない。したがって,科学技術情報の提供を行う国立国会図書館がその存在を積極的にアナウンスしていく必要性がある。


(3) 学術雑誌との内容の重複という側面から見たとき,e-print archiveとPubMed Central,Public Library of Scienceと機関レポジトリという2つのカテゴリに分類可能である。アーカイビングの意義が認められるのは,学術雑誌との内容的重複がない後者である。


(4) オープンアクセス型アーカイブに対する関与の方向性として,自国の学術情報をコンテンツとしたアーカイブの作成が考えられる。雑誌記事索引データベースを提供している国立国会図書館であれば,効果的なサービス展開が期待できる。


1. 調査の概要 / 歳森 敦

  • 参照(18800)

1. 調査の概要


情報通信技術の発展によって,科学技術情報の電子化が急速に進展しており,科学技術研究の形態も大きな変化を遂げている。科学技術情報の収集基盤を整備するとともに,世界への科学技術情報の発信力を強化することが科学技術創造立国を掲げる日本にとっての課題であるが,その両面において電子化への対応の遅れが目立ち,欧米その他諸外国との格差が拡大していると言われている。


国立国会図書館は国の科学技術振興政策の一環として,設立後間もない時期から,内外の科学技術文献の大規模な収集及び利用体制の整備を図ってきたことから,電子化への対応は同館にとっても緊急かつ重要な課題となっている。


そこで,電子情報環境に対応した科学技術情報の収集・流通・発信体制の整備において,我が国が直面している問題と課題を明らかにし,新たな体制への移行に向けた将来展望を確立するとともに,その中で国立国会図書館が果たすべき役割また関係機関との連携協力の方向性を明確にすることによって,今後の同館の科学技術情報の収集整備及び科学技術情報サービスのあり方の検討に資することを目的に本調査研究は企画された。


調査としては,電子情報環境下における我が国の科学技術情報の資源配置の全体像を明らかにし,科学技術情報の収集整備において今後国立国会図書館が果たすべき役割及び関係機関との連携協力の方向性を展望することが具体的な課題として設定されており,全体としては以下のように構成した。


2章では学術雑誌の全国的な配置状況について,大学図書館,国公私立の研究機関等における学術雑誌の収集状況(タイトル数,資料購入費等)を冊子体及び電子ジャーナルの両面から調査して明らかにした結果を報告する。近年の価格上昇と電子ジャーナルの導入により,学術雑誌,特に科学・工学・医学分野の雑誌の配置状況に生じている変化を示すとともに,館外文献複写の利用状況を調査し,現在の日本において国立国会図書館の情報資源がどのような位置づけを占めるかを検討する。


3章では電子ジャーナル導入のためのコンソーシアムの現状と課題について,日本国内で形成されているコンソーシアムの状況を整理する。対象とするのは,国立大学図書館協議会(現・国立大学図書館協会),日本医学図書館協会,日本薬学図書館協議会,関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)によってそれぞれ取り組まれているコンソーシアムで,各コンソーシアムの事務局計8名に対してインタビュー調査を実施する。そして,コンソーシアムの現状を概観するとともに,コンソーシアム形成の効果と各コンソーシアムと国立国会図書館との関係・期待される役割について考察する。


4章ではオープンアクセス型アーカイブと図書館の役割と題してe-print archive,PubMed Central,Public Library of Science,機関レポジトリなど,新たな科学技術情報流通システムの概要と評価,図書館との関わり(特に各国の国立図書館との関係)を整理する。それぞれのシステムの概要および評価に関しては,紙文献及びウェブサイト等から収集した情報に基づいて分析・考察を行った。国立図書館との関係を考えるために,諸外国の科学技術文献取り扱い機関20館に対して質問紙調査を行い,12館から回答を得て,これら各館がどのように対応しているかを整理・考察した。


2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.1-2.5) / 歳森 敦

  • 参照(14994)

2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.1-2.5)

2.1 はじめに

本章では学術雑誌の全国的な配置状況について,大学図書館,研究機関等におけるタイトル数,購入費等の学術雑誌の収集状況を冊子体及び電子ジャーナルの両面から明らかにすべく実施した資源配置調査の結果を報告する。

本調査の前提として,洋雑誌価格の推移,大学図書館における資料費の推移,購入雑誌数の推移,電子ジャーナル数の推移についての既知の事項を整理しておく。Association of Research Libraries (ARL) の統計によれば,学術誌のタイトルあたり費用(unit cost)の中央値は1986年の89.77ドルから2000年の303.19ドルまで14年で3.4倍に上昇した(同期間の平均上昇率は年率9%)。2000年から2003年までは上昇・下降が交互に起こる不安定な傾向を示し,現時点(2003年)では283.08ドルとピーク時よりやや下落している。ARLの報告 1)では費用低下の要因は不明としながらも,電子ジャーナルの導入,特に冊子体から電子版のみへの移行に伴う価格の下落とSPARCの活動などに伴う低廉な学術雑誌の出現を費用下落要因として示唆している。

転じて日本国内においては,文部科学省の大学図書館実態調査によれば,図書館資料費の総額は1999年度から2002年度の間に836億円から748億円へと10.6%の減少,大学あたりに換算すると1億2,900万円から1億700万円へと16.8%減少しており,雑誌価格の上昇と相まって大学図書館における雑誌数の減少を招いている。購入雑誌受入種類数の減少は資料費が減少を始める以前より起きており,購入雑誌全体では1991年度,洋雑誌は1990年度を境に10年以上にわたって減少を続けている。購入雑誌受入種類数は1991年の1校あたり1,319種類が2002年には1,001種類へとおよそ3/4の水準に,洋雑誌についても1990年の774種類が486種類へとピーク時の6割の水準に落ち込んでいる。購入雑誌の減少量の大半が洋雑誌の減少によって説明できるという構造は,大学設置者によらず共通であり,国立大学では同じ期間に1,852種類から1,355種類へと500種類弱の洋雑誌が減少しているが,この間和雑誌は1,046種類が1,013種類に減少したのみであり,雑誌数の減少幅こそ小さいものの洋雑誌が減少しているという点に違いはない。

一方,同じ大学図書館実態調査において,電子ジャーナル所蔵種類数については,2002年3月末現在で大学あたり平均所蔵種類数が853種類,設置者別には国立大3,505種類,公立大361種類,私立大436種類であることが示されている。前年比で1.8倍(国立2.0倍,公立4.2倍,私立1.6倍)と1997年の調査項目の新設以来毎年前年比2〜3倍前後の非常に高い伸び率を維持している。

以上からは,日本の大学図書館においては,洋雑誌の価格高騰が続く中で資料費も減少し,結果的に洋雑誌の購読数が最盛期の6割,国立大では7割程度の水準に落ち込んだこと,一方,電子ジャーナルの導入が近年急速に進んでいることが,学術雑誌をとりまく現在の状況であるとまとめることができる。

以上を背景として,資源配置調査では,既存の統計で明らかではない科学・工学・医学系分野(以下,STM分野とよぶ)の冊子体学術雑誌タイトル数の状況を明らかにすること,機関ごとに電子ジャーナルの導入状況にどの程度の差が生じているかという資源配置の格差を明らかにすることを中核におき,冊子体・電子ジャーナル両面から学術雑誌の収集状況についての質問をおこなった。日本の学術情報流通において国立国会図書館の情報資源がどのような位置づけを占めるかを検討するため,館外文献複写の利用状況についての質問もおこなった。また,3章・4章の主題に関する基礎的資料として,電子ジャーナルコンソーシアムへの参加状況,機関レポジトリの整備状況についての質問をおこなった。実際の調査票は巻末の付録Aを参照のこと。

2.2 標本の設計

学術雑誌の利用・収集の中核として大学図書館,専門図書館を調査対象とした。都道府県立図書館は一般論として学術雑誌を積極的に収集しているとは考えにくいが,逆に必ずしも十分でない資源をどのように外部機関に依存しているかを明らかにするために調査対象に加えた。

大学図書館,都道府県立図書館は日本図書館協会による「日本の図書館 統計と名簿 2002」(2002年4月1日現在)を元に,都道府県立は全数(64館),大学図書館は一部(1,251館中737館)を調査対象とした。大学図書館からの調査対象館の選定にあたっては,国公立大学図書館の中央館と5学部以上の私立大学(大学図書館実態調査におけるA, Bカテゴリに相当)中央館の全数,5学部未満の私立大学(同C, Dカテゴリに相当)の中央館半数を調査対象とした。分館・部局図書館(室)にあっては,冊子体学術雑誌の把握を目的に,全591館・室のうち雑誌購入費合計500万円以上(雑誌購入費の明らかでない機関にあっては資料費1,000万円以上,不詳は対象外とする)の300館・室の全てを調査対象とした。

専門図書館は専門図書館協議会による「専門情報機関総覧2003」を元に,主題分野別索引のうち「H 工学・工業」「I 理学」「J 医学・薬学」に分類されている機関から,公共・大学図書館,国立国会図書館支部図書館,博物館・科学館,文庫,「旅の図書館・すまいの図書館等,研究機関に属さない図書館」,私立病院図書館を除いた369機関から資料情報費e(500万円)以上,資料情報費が未詳の場合にあっては購読洋雑誌数300誌以上の全館(186館)を対象とした。

調査票は2004年1月14日(水)に発送し2月6日(金)を回答の締切とした。2月18日までに到着した736通(有効回収率74.6%)を集計の対象とした。

表2.1 調査票の配布・回収状況

館種

区分

母集団

抽出率

調査館数

回収数

回収率

大学図書館

国立大AB中央館

31

全数

31

30

96.8%

国立大CD中央館

56

56

43

76.8%

公立大AB中央館

6

6

6

100.0%

公立大CD中央館

68

68

62

91.2%

私立大AB中央館

57

57

43

75.4%

私立大CD中央館

441

無作為50%

219

170

77.6%

中央館の小計

660

437

354

80.8%

国立大分館・分室

212

有意抽出

147

115

78.2%

公立大分館・分室

34

14

9

64.3%

私立大分館・分室

345

139

102

73.4%

分館・分室の小計

591

300

226

75.3%

専門図書館

369

有意抽出

186

101

54.3%

都道府県立図書館中央館

47

全数

47

40

85.1%

都道府県立図書館分館

17

全数

17

15

88.2%

合計

987

736

74.6%

2003年10月1日に統合した国立10大学の中央館は分館と分類した。

放送大学は私立CDに含めた。

2.3 回答館の概要

2.3.1 収集対象(問1)

資料収集にあたって人文科学,社会科学,理学,工学,生物・医学の各学問分野のいずれを収集対象としているかを質問し,中央館または分館・分室のいずれかが「対象としている」と回答した場合を,回答機関がその領域を収集対象としている場合と判定し,設置者・大学の学部数規模別に集計した(表2.2)。なお,「f. 特に決まっていない」という選択肢は,都道府県立図書館のために設けたが,大学図書館・専門情報機関がこれを選択した場合(41例)は,5分野の全てを選択したものと修正をおこなった上で集計している。

学部数の多い国立大学図書館は全ての分野を網羅的に収集対象としていること,学部数の多い公私立大学図書館及び学部数が少ない国立大学,専門情報機関では理学,工学,生物・医学の全てではなくその一部だけが収集対象であることが多い。このように,学部数は収集すべき分野の多様さ(ひいては必要な雑誌の種類の多さ)と結びつくことが多いため,本章では大学図書館実態調査のカテゴリを援用して,5学部以上(ABカテゴリ)と5学部未満(CDカテゴリ)に大学図書館を二分して集計する。

本章においては,STM分野の収集に関わる集計では,理学,工学,生物・医学のいずれか1分野以上を収集対象であると回答した機関のみを集計対象としている。当該条件に適合する機関数を表2.2のSTM欄に示しており,大学図書館においては7割,専門情報機関においてはほぼ全機関,都道府県立図書館においては4割がこれに相当する。参考のために,人文科学あるいは社会科学のいずれか一方または両方を収集対象であると回答した機関数をSSH欄に示した。

表2.2 回答館の収集対象分野

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

a.人文科学

30

(100%)

30

(69.8%)

6

(100%)

28

(45.2%)

42

(97.7%)

119

(70.4%)

225

(72.2%)

14

(14.1%)

16

(40.0%)

285

(57.9%)

b.社会科学

30

(100%)

28

(65.1%)

6

(100%)

36

(58.1%)

43

(100%)

128

(75.7%)

271

(76.8%)

29

(29.3%)

17

(42.5%)

317

(64.4%)

c.理学

30

(100%)

28

(65.1%)

3

(50.0%)

16

(25.8%)

27

(62.8%)

38

(22.5%)

142

(40.2%)

59

(59.6%)

14

(35.0%)

215

(43.7%)

d.工学

29

(96.7%)

31

(72.1%)

4

(66.7%)

14

(22.6%)

28

(65.1%)

44

(26.0%)

150

(42.5%)

64

(64.6%)

16

(40.0%)

230

(46.7%)

e.生物・医学

28

(93.3%)

31

(72.1%)

5

(83.3%)

41

(66.1%)

27

(62.8%)

74

(43.8%)

206

(58.4%)

65

(65.7%)

14

(35.0%)

285

(57.9%)

f.特に決まっていない

-

-

-

-

-

-

-

-

27

(67.5%)

27

(5.5%)

(SSH * )

30

(100%)

31

(72.1%)

6

(100%)

40

(64.5%)

43

(100%)

138

(81.7%)

288

(81.6%)

32

(32.3%)

17

(42.5%)

337

(68.5%)

(STM ** )

30

(100%)

37

(86.0%)

6

(100%)

47

(75.8%)

35

(81.4%)

91

(53.8%)

246

(69.7%)

98

(99.0%)

16

(40.0%)

360

(73.2%)

有効回答数

30

43

6

62

43

169

353

99

40

492

* a, bのいずれかを収集対象としたもの,** c〜eのいずれかを収集対象としたもの

2.4 冊子体学術雑誌の現状

2.4.1 購入雑誌タイトル数・購入額(問3)

問3においては2002年度に購入していた雑誌のタイトル数(バックナンバーを含まない)とその総額を質問した。分館・分室からの回答を中央館の回答に加えた,大学・都道府県単位での集計結果を本節では示している。専門情報機関については一組織で複数館が調査対象になっている例が実際にはほとんどなかったため,調査票単位での集計をおこなった。中央館からの回答がなく,分館のみから回答があった場合は欠損として処理した。一方,分館の一部から回答がなくても回答分だけを集計に含めた。

購入雑誌タイトル数の大学全体の平均は1,269タイトル,大学図書館実態調査による2002年度の同じ値の平均が1,001タイトルであり,この差は私立大CDが半数しか含まれていない標本の歪みと,国立大より私立大の回収率が低いことの影響と考えられる。本調査における大学全体の平均値には過大な値が現れると考えておくべきだろう。カテゴリごとに平均値を見ると,国立大ABが最も多く4,464タイトル,私立大AB 3,140タイトル,公立大AB 1,735タイトルである。一方,専門情報機関は230タイトル,都道府県立図書館は470タイトル(質問は学術雑誌であることを要求していない)であった。また,国立大でも私立大でも12,000タイトル弱がタイトル数の最大値であり,専門情報機関は2,000タイトル弱,都道府県立では1,000タイトル強であった。

雑誌購入額の平均は大学全体で6,300万円,カテゴリ別には国立大ABが2億6,500万円,私立大ABは1億4,400万円,専門情報機関は2,500万円であった。一方,都道府県立図書館の平均は670万円と最も少額であり,その他の機関とは雑誌の種類が異なることを示唆している。雑誌購入額の最大値は国立大では7億5,000万円弱,私立大では8億円弱であった。

実際には,図2.1と図2.2に示すように,タイトル数,購入額とも著しく歪んだ分布形状を示しており,上記で示したような平均値の水準はタイトル数や購入額の分布を「良く」代表した値とは言えない。本章ではいくつかの集計で第1四分位点,中央値,第3四分位点を示した。

表2.3 購入雑誌タイトル数

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

2,417

675

684

234

1,756

198

276

80

217

212

中央値

3,885

1,000

1,138

340

2,755

385

594

167

344

417

第3四分位点

5,800

1,707

2,387

546

3,829

688

1,365

280

674

1,000

最大値

11,933

5,207

4,882

1,163

11,479

5,537

11,933

1,989

1,287

11,933

平均値

4,464

1,282

1,735

398

3,140

530

1,269

230

470

996

有効回答数

30

43

6

62

43

170

354

99

40

493

表2.4 雑誌購入額

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

12,725

3,036

4,971

579

6,243

553

785

505

261

620

中央値

18,754

4,570

5,756

1,035

10,442

1,207

2,428

1,200

503

1,722

第3四分位点

39,637

8,032

14,021

2,257

19,128

3,022

7,065

2,800

1,123

5,146

最大値

74,927

18,169

26,496

22,440

79,793

15,970

79,793

55,080

2,200

79,793

平均値

26,493

5,811

9,496

1,985

14,366

2,305

6,324

2,508

669

5,130

有効回答数

30

42

6

62

43

169

352

94

39

485

(単位:万円)

図2.1 購入雑誌タイトル数の頻度分布     図2.2 雑誌購入額の頻度分布

2.4.2 STM雑誌のタイトル数と購入総額(問4)

前項の購入雑誌数のうち,科学・工学・医学系学術雑誌のタイトル数とその購入額を質問した。学術雑誌の範囲,科学・工学・医学の範囲には厳密な定義を与えず,「回答者がおおまかに判断」するように委ねたため,判断基準は統一されておらず,結果は概数とみなすべきである。なお,STM雑誌のタイトル数を数え上げるのではなく,購入雑誌全体に占める百分率として回答した場合は,前項の購入雑誌タイトル数に百分率を乗じてタイトル数の推定値を得た上で,集計に加えている。なお,元来当該分野を収集対象としない機関を集計から除くため,問1において理学,工学,生物・医学のいずれかの分野を収集対象として回答した機関のみを対象に集計をおこなった。

大学全体では平均678タイトル,国立大ABは2,118タイトル,私立大ABは1,153タイトルであった。専門情報機関は購入雑誌数とほぼ同じ205タイトル,都道府県立図書館では145タイトルを購入している。専門情報機関はそもそもSTM分野の機関を調査対象としているので,ある意味,この結果は当然である。購入雑誌数に対する比率としては大学では5割前後,専門情報機関8割強,都道府県立図書館では2割である。最大値を見ると,大学では5,000から6,000タイトル,専門情報機関では2,000タイトル程度がSTM雑誌の収集における一機関としての最大規模と考えられる。

平均購入額は大学全体で3,600万円,国立大ABが1億5,000万円,私立ABが5,000万円,専門情報機関が2,500万円程度であった。

表2.5 STM雑誌タイトル数

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

810

276

242

132

446

62

145

65

39

106

中央値

1,699

482

297

226

761

178

308

160

109

249

第3四分位点

2,557

726

1,131

367

1,370

404

767

247

270

525

最大値

5,191

1,383

1,200

819

6,475

2,047

6,475

1,989

469

6,475

平均値

2,118

525

533

252

1,153

301

678

205

145

524

構成比 (対雑誌)

.46

.51

.30

.68

.33

.54

.52

.84

.19

.59

有効回答数

30

36

6

47

35

89

243

98

16

357

表2.6 STM雑誌購入総額

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

6,400

1,754

1,898

183

1,168

20

78

300

19

82

中央値

11,350

3,000

3,476

571

3,896

130

910

1,023

43

690

第3四分位点

21,855

4,500

10,000

1,992

6,113

1,460

4,309

2,350

148

3,553

最大値

52,635

11,919

16,964

22,438

16,966

15,860

52,635

55,080

904

55,080

平均値

15,361

3,759

5,908

1,935

5,069

1,406

3,561

2,448

160

3,017

構成比 (対雑誌)

.49

.54

.52

.63

.38

.37

.44

.86

.17

.51

有効回答数

22

19

6

29

24

62

162

77

13

252

(単位:万円)

2.4.3 STM洋雑誌のタイトル数と購入総額(問5)

前項の科学・技術・医学系学術雑誌タイトル数のうち,洋雑誌のみのタイトル数を聞いた。なお前項同様に,問1において理学,工学,生物・医学のいずれかの分野を収集対象として回答した機関のみを対象に集計をおこなっている。

大学全体では平均404タイトル,国立大ABは1,277タイトル,私立大ABは752タイトルであった。専門情報機関は購入雑誌数とほぼ同じ124タイトル,都道府県立図書館では少数のタイトルのみを購入しており平均5タイトルである。購入雑誌数に対する比率としては大学では3割弱,専門情報機関5割である。最大値を見ると,大学では3,500から5,000タイトル,専門情報機関では1,500タイトル程度がSTM洋雑誌の収集における一機関としての最大規模と考えられる。

平均購入額は大学全体で3,400万円,国立大ABが1億4,000万円,私立ABが6,500万円,専門情報機関が2,100万円程度であった。(最大値がSTM雑誌と比べて整合がとれない箇所があるが,これはSTM雑誌の購入額のみ欠損が生じているケースがあったためである。)

表2.7 STM 洋雑誌タイトル数

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

494

154

140

53

285

18

68

25

0

37

中央値

1,089

242

195

96

472

89

163

86

4

124

第3四分位点

1,684

355

800

187

935

195

454

159

6

320

最大値

3,590

905

1,021

548

4,708

817

4,708

1,551

16

4,708

平均値

1,277

290

387

131

752

164

404

124

5

310

構成比 (対雑誌)

.27

.28

.19

.35

.21

.28

.28

.50

.01

.33

有効回答数

30

36

6

47

34

87

240

97

15

352

表2.8 STM洋雑誌購入総額

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

第1四分位点

6,771

664

1,691

156

1,069

10

68

137

0

31

中央値

10,100

2,500

3,286

458

4,123

99

694

700

0

470

第3四分位点

20,503

4,100

8,200

1,170

9,406

1,218

4,026

1,900

17

3,172

最大値

50,718

10,578

16,720

22,024

31,197

10,384

50,718

52,500

450

52,500

平均値

14,068

3,443

5,477

1,651

6,444

1,226

3,373

2,122

23

2,780

構成比 (対雑誌)

.48

.48

.49

.49

.39

.32

.39

.65

.02

.41

有効回答数

23

22

6

33

24

66

174

77

13

264

(単位:万円)

2.4.4 購入雑誌数の増減(問6,問7)

問6では2003年1月から2003年12月の間に新規に購入を開始した雑誌のタイトル数を,問7では同期間に購入を中止した雑誌のタイトル数を質問した。表2.9は新規タイトル数と中止タイトル数,その差である購入雑誌タイトル数の増減のそれぞれ平均値を示している。なお,新規タイトル数あるいは中止タイトル数のいずれか片方しか回答しなかった機関は集計から除いた。

都道府県立図書館を除くすべての分類で雑誌タイトル数の純減が観測され,全般的な傾向として雑誌タイトル数の減少が起きている。その規模は大学全体の平均で年間30タイトル弱である。

表2.9 購入雑誌タイトル数の増減

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

新規

172.9

35.6

26.8

14.2

46.1

10.0

32.8

5.3

30.8

27.1

中止

308.8

79.9

156.8

19.5

77.4

16.0

60.1

10.2

18.2

46.6

増減

-135.9

-44.3

-130.0

-5.3

-31.3

-6.0

-27.3

-4.9

12.6

-19.5

有効回答数

30

43

6

61

40

161

341

96

39

476

2.4.5 STM雑誌・STM洋雑誌の増減

前項と同様,問6・問7で質問した科学・工学・医学系学術雑誌と同洋雑誌のタイトル数の増減について,その平均値をまとめた。なお,2.4.2項,2.4.3項と同様に,問1において理学,工学,生物・医学のいずれかの分野を収集対象として回答した機関のみを対象に集計をおこなっている。また,比較のためにSTM新規タイトル数,STM中止タイトル数,STM洋雑誌新規タイトル数,STM洋雑誌中止タイトル数の4項目全てに回答した機関のみを集計対象とした。共に大学全体の平均で年間20タイトル程度減少している。

表2.10 STM雑誌タイトル数の増減

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

新規

114.4

14.8

12.7

13.9

18.0

11.3

26.5

3.9

10.5

19.8

中止

180.9

44.3

84.7

17.1

43.8

14.2

47.3

8.8

8.5

35.3

増減

-66.5

-29.6

-72.0

-3.3

-25.8

-2.9

-20.7

-4.9

2.0

-15.5

有効回答数

28

35

6

41

33

76

219

84

15

318

表2.11 STM洋雑誌タイトル数の増減

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

新規

78.8

8.1

12.0

6.3

9.4

5.8

16.3

2.4

.2

11.9

中止

122.0

32.2

81.8

11.2

35.2

11.9

34.5

6.3

.4

25.5

増減

-43.2

-24.1

-69.8

-5.0

-25.9

-6.1

-18.2

-4.0

-.2

-13.6

有効回答数

28

35

6

41

33

76

219

84

15

318

STM分野を収集対象とする機関において,雑誌タイトル数の増減に占めるSTM誌の割合を求めると表2.12のようになる。雑誌タイトル数の増減については,本項の集計対象とした318機関についての平均値を示しているので,表2.9で示した476機関を対象とする平均値とは異なることに注意されたい。大学図書館全体では雑誌タイトル数減少の47%がSTM洋雑誌によって占められており,和雑誌を含めたSTM雑誌全体では53%を占めている。現時点において雑誌タイトル数の減少のおよそ半分がSTM分野で起きていると言えよう。この減少の大部分が洋雑誌の減少として起きていることは,過去の統計と同様である。

表2.12 雑誌の増減に占めるSTM誌の割合

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県立

合計

雑誌増減

-141.5

-49.4

-130.0

-8.4

-34.5

-7.1

-38.8

-5.4

10.3

-27.7

うちSTM

-66.5

-29.6

-72.0

-3.3

-25.8

-2.9

-20.7

-4.9

2.0

-15.5

(対雑誌比)

(47.0%)

(59.9%)

(55.4%)

(39.0%)

(74.8%)

(40.7%)

(53.4%)

(90.5%)

(19.5%)

(55.9%)

うちSTM洋

-43.2

-24.1

-69.8

-5.0

-25.9

-6.1

-18.2

-4.0

-0.2

-13.6

(対雑誌比)

(30.5%)

(48.9%)

(53.7%)

(59.0%)

(74.9%)

(85.6%)

(47.0%)

(73.9%)

(-1.9%)

(49.3%)

有効回答数

28

35

6

41

33

76

219

84

15

318

2.4.6 国立国会図書館及びJSTの収集状況

国立国会図書館における冊子体雑誌の収集状況は表2.13のとおりである。納本制度によって収集されている国内雑誌47,381タイトルに,外国雑誌5,286タイトルが現時点で収集されている雑誌のタイトル数である。このうち,科学・工学・医学系学術雑誌は国内6,822タイトルと外国雑誌2,919タイトルの合計である9,741タイトルである。

購入費の面では国内雑誌は納本制度による収集であり,外国雑誌の購入費は6億1,334万円である。このうち5億1,070万円が科学・工学・医学系学術雑誌の購入費に充てられている。

ここまでで示された他機関の結果と照合すると,国内雑誌に関しては納本制度によって非常に多数のタイトルを収集していること,STM分野の洋雑誌についてはタイトル数では最大規模の大学よりはやや少なく,購入額では最大規模の大学と同等であることがわかる。

JSTについては今回の調査に協力を得られなかった。少し過去の数値になるが平成12年版の科学技術文献速報の収録誌数として,外国雑誌4,304タイトル,国内雑誌7,957タイトルという値が公表されている 2) 。また,2003年(平成15年度)の実績として,外国資料4,675タイトル,国内資料12,022タイトルという数値も同機構のWebサイトに掲載されているが,ここには技術レポートや会議資料も含まれている 3) 。

表2.13 国立国会図書館の学術雑誌タイトル数

(関西館事業部図書館協力課調べ)

タイトル数

購入費

外国雑誌(冊子体,2003年度購入分)

5,286タイトル (1)

61,334万円

 うち,STM系学術雑誌

2,919タイトル (4)

51,070万円

国内雑誌(冊子体)

47,381タイトル (2)

――――

 うち,STM系学術雑誌

6,822タイトル (3)

――――

   (1) 購入データから算出したタイトル数であるため,国立国会図書館の書誌データ上のタイトル数とは一致しない。

   (2) リブタイトル数

   (3) 「日本科学技術関係逐次刊行物総覧」に採録されている雑誌のうち,原著論文,研究報告,会議録(除抄録)等を掲載した雑誌タイトル


2.5 電子ジャーナル導入の現状

2.5.1 電子ジャーナルの契約タイトル数・契約額(問8)

問8では国外の出版社・学協会から提供されている電子ジャーナルについての購入タイトル数・契約額を質問した。冊子体の購入によって無償で提供される電子ジャーナルはタイトル数には含めて,契約額は0円と計上するように依頼した。

しかし,タイトル数について,実際の回答と問9で得た主要な電子ジャーナルごとの契約状況を対照すると,同一の契約内容でもタイトル総数の回答に大幅な相違が生じた。電話での再質問によって,全文が提供されるタイトル数を回答した機関と抄録のみのタイトル数も含めて回答している機関が混在していることが確認できたこと,同じく学術雑誌だけでなく新聞の紙数や法令・判例の件数などを含めた回答があったこと等を鑑み,問8の回答そのままを用いるよりも,問9の回答からタイトル数を積み上げて総数を推定する方が,計測基準の統一という点で優れていると判断し,ここでは問9から機関ごとの電子ジャーナル契約タイトル数を推定して集計したものを示す。計測の手順・判断ルールについては付録Bに記したが,全文が参照可能な雑誌のうち,査読誌(あるいは学術誌)だけを数えることを原則とした。契約額については問8の回答をそのまま集計した。

都道府県立図書館については提供しているとの回答を得たのが35館中1館(5タイトル;額は0円)のみであり,少なくとも現時点では電子ジャーナルの提供状況を集団として集計する状況にはないため,以下の集計から除外している。

冊子体の雑誌タイトル数や購読額の分布と同様に,電子ジャーナルのタイトル数や契約額も図2.3のように原点側に歪んでおり,少数のタイトル数・契約額の大きな機関が全体の平均を押し上げている。

国立大ABにおける電子ジャーナルの平均タイトル数は4,194タイトル,国立大CDは2,394タイトルであり,これに対して私立大ABの平均値は1,742タイトルであった。大学図書館実態調査の集計値から国立大ABの平均値を求めると5,481タイトル,国立大CDが2,577タイトル,私立大ABが1,729タイトルであるので,私立大の回収率の低さが平均タイトル数を押し上げる方向に働くことを考えると,大学図書館実態調査が2003年3月末時点の数値であるにもかかわらず,2003年12月末時点の本調査によるタイトル数の方が明らかに小さな値を示している。これは国内で提供される電子ジャーナルを除外したことと,本調査では全文が提供される査読誌のタイトル数に限って集計したことの効果と考えられる。

電子ジャーナルの導入状況は大学設置者によって顕著な違いが生じており,国立大では全ての館で多数の電子ジャーナルが導入されており,契約タイトル数が1,000タイトル未満の大学は73大学中4大学に過ぎないのに対して,公・私立大では学部数の多い大学でも1,000タイトル未満の大学が少なからず存在している上,0タイトルの大学が199大学中89大学と電子ジャーナルを全く利用できない大学が半数近い。ただし,公・私立大の中でも電子ジャーナル導入に積極的な大学は少数ながら存在し,7大学が3,000タイトル以上を契約している。すなわち,電子ジャーナルの導入が進まない公・私立大(特に学部数の少ない小規模校)と,一部の私立大と大半の国立大からなる電子ジャーナルの導入に積極的な大学との間に,大きな格差が生じていることが読み取れる。

専門情報機関では4割弱の機関で電子ジャーナルが全く提供されておらず,平均218タイトルと決してタイトル数は多くない。タイトル数では大学においては8,000タイトル前後が現時点における最大規模であり,専門情報機関では2,500タイトル強が最大である。

表2.14. 電子ジャーナルのタイトル数(推定値)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

合計

0誌

0

0

0

31

1

57

89

23

112

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(67.4%)

(2.6%)

(51.8%)

(32.7%)

(36.5%)

(33.4%)

1〜99誌

0

0

0

4

0

12

16

23

39

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(8.7%)

(.0%)

(10.9%)

(5.9%)

(36.5%)

(11.6%)

100〜999誌

0

4

1

8

11

24

48

13

61

(0.0%)

(9.3%)

(25.0%)

(17.4%)

(28.2%)

(21.8%)

(17.6%)

(20.6%)

(18.2%)

1,000〜2,999誌

8

24

1

3

22

17

75

4

79

(26.7%)

(55.8%)

(25.0%)

(6.5%)

(56.4%)

(15.5%)

(27.6%)

(6.3%)

(23.6%)

3,000〜4,999誌

13

14

2

0

4

0

33

0

33

(43.3%)

(32.6%)

(50.0%)

(0.0%)

(10.3%)

(0.0%)

(12.1%)

(0.0%)

(9.9%)

5,000誌〜

9

1

0

0

1

0

11

0

11

(30.0%)

(2.3%)

(0.0%)

(0.0%)

(2.6%)

(0.0%)

(4.0%)

(0.0%)

(3.3%)

第1四分位点

2,845

1,652

-

0

996

0

0

0

0

中央値

4,317

2,426

-

0

1,489

0

793

21

280

第3四分位点

5,364

3,211

-

83

2,091

590

2,059

112

1,851

最大値

8,310

5,688

4,662

2,067

7,609

2,986

8,310

2,661

8,310

平均値

4,194

2,394

2,528

215

1,742

418

1,333

218

1,123

有効回答数

30

43

4

46

39

110

272

63

335

図2.3. 電子ジャーナルタイトル数の頻度分布(全回答館)

図2.4. 電子ジャーナルタイトル数の頻度分布(左:国立大,右:国立大以外)

国立大においては4学部以下の比較的小規模な大学においても例外なく電子ジャーナルの導入が進んでおり,単科大学でも平均2,026タイトル,最大3,249タイトルが,2〜4学部の大学では平均2,744タイトル,最大5,810タイトルが提供されている。公立大では35校(70%)私立大では70校(47%)が100タイトル未満である状況と比べると,明白な差異が生じていると言える。図2.4に示すように,国立大学ではタイトル数の分布が他機関とは明らかに異なっており,その評価については2.10節で改めて分析を行う。

電子ジャーナルの契約額は大学全体で平均666万円,専門情報機関では397万円である。大学では1億5,000万円,専門情報機関では5,500万円程度が契約額の面での最大規模である。

表2.16は電子ジャーナルとして提供されているSTM雑誌のタイトル数の推定値である。問9で回答があった電子ジャーナルパッケージのうち,STM分野の主題に特化したパッケージについてはその全タイトル,主題を持たないパッケージについては収録雑誌のタイトルリストにおいて雑誌名ごとに付与された主題を用いてSTM分野のタイトル数を数え上げた(詳細は付録B参照)。冊子体と同様にSTM分野を収集対象としている大学のみで集計をおこなった。

表2.15 電子ジャーナル契約額

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

合計

0円

0

0

0

41

5

78

124

31

155

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(78.8%)

(12.2%)

(55.3%)

(39.7%)

(44.9%)

(40.7%)

100万円未満

0

5

1

6

1

21

34

13

47

(0.0%)

(11.6%)

(16.7%)

(11.5%)

(2.4%)

(14.9%)

(10.9%)

(18.8%)

(12.3%)

100〜500万円

1

14

2

4

17

29

67

17

84

(3.4%)

(32.6%)

(33.3%)

(7.7%)

(41.5%)

(20.6%)

(21.5%)

(24.6%)

(22.0%)

500〜3,000

万円

18

22

3

1

12

13

69

4

73

(62.1%)

(51.2%)

(50.0%)

(1.9%)

(29.3%)

(9.2%)

(22.1%)

(5.8%)

(19.2%)

3000〜5,000万円

7

1

0

0

2

0

10

2

12

(24.1%)

(2.3%)

(0.0%)

(0.0%)

(4.9%)

(0.0%)

(3.2%)

(2.9%)

(3.1%)

5,000万円〜

3

1

0

0

4

0

8

2

10

(10.3%)

(2.3%)

(0.0%)

(0.0%)

(9.8%)

(0.0%)

(2.6%)

(2.9%)

(2.6%)

第1四分位点

1,170

258

-

0

220

0

0

0

0

中央値

1,648

571

-

0

449

0

92

15

77

第3四分位点

4,100

1,038

-

0

895

200

597

227

492

最大値

13,722

5,810

1,945

900

14,873

2,500

14,873

5,500

14,873

平均値

2,798

867

646

40

1,491

158

666

397

617

有効回答数

29

43

6

52

41

141

312

69

381

(単位:万円)

表2.16 STM電子ジャーナルのタイトル数(推定値)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

合計

0誌

0

1

0

21

4

27

53

21

74

(0.0%)

(2.8%)

(0.0%)

(63.6%)

(12.5%)

(48.2%)

(27.9%)

(34.4%)

(29.5%)

1〜99誌

0

1

0

4

7

12

24

24

48

(0.0%)

(2.8%)

(0.0%)

(12.1%)

(21.9%)

(21.4%)

(12.6%)

(39.3%)

(19.1%)

100〜999誌

6

11

2

6

16

12

53

12

65

(20.7%)

(30.6%)

(50.0%)

(18.2%)

(50.0%)

(21.4%)

(27.9%)

(19.7%)

(25.9%)

1,000〜1,999誌

3

14

1

2

3

4

27

0

27

(10.3%)

(38.9%)

(25.0%)

(6.1%)

(9.4%)

(7.1%)

(14.2%)

(0.0%)

(10.8%)

2,000〜2,999誌

9

8

0

0

2

1

20

4

24

(31.0%)

(22.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(6.3%)

(1.8%)

(10.5%)

(6.6%)

(9.6%)

3,000誌〜

11

1

1

0

0

0

13

0

13

(37.9%)

(2.8%)

(25.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(6.8%)

(0.0%)

(5.2%)

第1四分位点

1,243

642

-

0

61

0

0

0

0

中央値

2,576

1,347

-

0

355

7

438

21

116

第3四分位点

3,303

2,123

-

66

792

369

1,331

103

1,008

最大値

4,160

3,025

3,067

1,060

2,413

2,522

4,160

2,076

4,160

平均値

2,423

1,389

1,447

147

555

268

861

194

699

有効回答数

29

36

4

33

32

56

190

61

251

大学における平均タイトル数は861タイトル,専門情報機関における平均タイトル数は194タイトルである。平均すると大学においては65%程度,STM分野の専門情報機関においては90%程度のタイトルがSTM分野に関わっていると言えよう。大学においては4,000タイトル,専門情報機関においては2,000タイトル程度がSTM分野の電子ジャーナル提供についての現時点の最大規模である。

図2.5 電子ジャーナル契約額の頻度分布  図2.6 STM電子ジャーナルタイトル数の頻度分布

2.5.2 主要電子ジャーナルのパッケージ別契約状況(問9)

大学図書館・専門情報機関における主要な電子ジャーナルパッケージごとの契約状況を,機関の電子ジャーナルタイトル数の規模別に集計して表2.17に示す。表は,例えば提供しているタイトル数が1,000タイトル未満の機関(100機関)のうち,Science Directを契約している機関は48機関であり,契約モデルがCompleteであるものが30機関,その契約によって提供されているタイトル数の平均が62タイトルであるということを示している。機関によらずタイトル数が固定であるパッケージについては,平均タイトル数の記載がない(タイトル数は付録Bを参照)。

契約率としてはScience Directは電子ジャーナルを提供している機関の6割が何らかの形で提供しており,以下Springer Linkが5割,Wiley InterscienceとBlackwell Synergeyがそれぞれ35%程度で続いている。あたりまえの事ではあるが,タイトル数の多い機関ほど,包括的な契約モデルあるいはパッケージを選択するとともに,多様なパッケージを提供するようになる。

専門情報機関のみを抜き出して再集計すると,EBSCOhostやProQuestといった電子ジャーナルの契約が全く無く,タイトルの選択パターンが大学とやや相違していることがわかる。

表2.17 導入規模別主要電子ジャーナルパッケージの契約状況

(契約機関数,構成比,平均タイトル数)

2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.6-2.11) / 歳森 敦

  • 参照(14385)

2. 学術雑誌の全国的な配置状況(2.6-2.11)

2.6 電子ジャーナル導入とコンソーシアム

2.6.1 コンソーシアムへの参加状況(問10)

電子ジャーナルの導入を目的とするコンソーシアムへの参加状況を質問した。「参加し,活動に人的貢献をしている」と回答した機関は28機関であり,その内訳は国立13大学,公立2大学,私立10大学と専門情報機関3機関であった。学部数の大きな大学を中心に人的貢献が行われており,国立ABと公立ABではおよそ1/3の大学が,私立ABでも2割弱の大学が人的な貢献を行っている。

一方,どのコンソーシアムにも「参加していない」という機関は,公立大CDでは95%,私立大CDでは82%,私立大ABで49%であり,公私立大学で学部数の少ない大学はほとんど,学部数の多い大学でも半数近くがコンソーシアムに参加していない。専門情報機関においても80%がコンソーシアムに参加しておらず,同様な状況におかれている。一方,国立大学は全数が国立大学図書館協議会によるコンソーシアムに参加しており,国立大とそれ以外とのコンソーシアム参加状況は全く異なっている。

この状況を反映して,参加機関が最も多いコンソーシアムは国立大学図書館協議会の電子ジャーナルタスクフォースによるコンソーシアムであり73大学(回答した国立大学の全数),続いて日本医学図書館協議会によるコンソーシアム27機関,日本薬学図書館協議会によるコンソーシアム19機関があげられている。1機関による複数コンソーシアムへの参加もある。私立大学図書館協会によるコンソーシアムへの参加は27大学が回答しているが,地区協議会を母体として電子ジャーナルの共同購入を行っている例と,協会を母体に組織されたコンソーシアムへの参加が混在しているものと思われる。その他のコンソーシアムとしては,研究機関が省庁単位であるいは相互利用協定締結館同士による共同購入的な小規模コンソーシアムや取次が設定したオープン型コンソーシアムへの参加が回答されている。

表2.18 電子ジャーナルコンソーシアムへの参加状況(複数回答)

   

国立AB

国立BC

公立AB

公立CD

私立AB

私立CD

専門情報機関

合計

a.参加し,活動に人的貢献をしている

9

(32.3%)

4

(6.7%)

2

(33.3%)

0

(0.0%)

8

(18.6%)

2

(1.2%)

3

(3.8%)

28

(6.1%)

国大図協

9

4

−

−

−

−

0

13

私大図協

−

−

−

−

5

0

−

5

医図協

0

0

0

−

1

1

1

3

薬図協

0

0

0

−

1

2

2

5

その他

−

−

2

−

1

−

4

7

b.参加している

21

(71.0%)

40

(93.3%)

3

(50.0%)

3

(5.1%)

15

(34.9%)

26

(16.7%)

13

(16.7%)

121

(27.5%)

国大図協

21

40

−

−

−

−

4

65

私大図協

−

−

−

−

14

8

−

22

医図協

2

4

1

3

1

13

0

24

薬図協

0

0

2

0

3

5

3

14

その他

0

1

1

0

2

3

6

13

c.参加していない

0

(0.0%)

0

(0.0%)

2

(33.3%)

56

(94.9%)

21

(48.8%)

134

(82.1%)

62

(79.5%)

275

(67.2%)

有効回答数

30

43

6

59

43

161

78

420


2.6.2 コンソーシアムに不参加の理由

コンソーシアムに参加していない機関に不参加の理由を質問した結果が表2.19である。公立大ABは1大学しかないため公立大CDとまとめて1カテゴリとした。大学図書館,専門情報機関では参加資格を満たすコンソーシアムがないこと,コンソーシアムへの人的貢献ができないことを不参加の理由にあげる機関がそれぞれ31%と32%あるほか,コンソーシアムによる経費軽減効果が小さいことをあげる機関も26%あった。参加を検討中の機関は合わせて23機関に過ぎず,今後,何らかの要因変化が起きない限り,国立大学以外でのコンソーシアム参加が急速に増加する見通しは薄いと言えよう。

都道府県立図書館では,そもそも電子ジャーナル導入の動きがほとんどないため,不参加の理由として「その他」を選択して電子ジャーナル購入の予定がないこと,コンソーシアム参加の必要性がないことを挙げる館が大多数であった。したがって参加を検討中の館も0館であった。

表2.19 コンソーシアムに参加しない理由(複数回答)

公立大

私立大AB

私立大CD

専門情報機関

合計

都道府県

合計

a.参加資格を満たすコンソーシアムがない

16

6

46

14

82

7

89

(28.1%)

(28.6%)

(36.5%)

(25.9%)

(31.8%)

(24.1%)

(31.0%)

b.コンソーシアムへの人的貢献ができない

12

5

54

16

87

5

92

(21.1%)

(23.8%)

(42.9%)

(29.6%)

(33.7%)

(17.2%)

(32.1%)

c.経費軽減効果が小さい

16

5

42

10

73

1

74

(28.1%)

(23.8%)

(33.3%)

(18.5%)

(28.3%)

(3.4%)

(25.8%)

d.事務量軽減効果が小さい

3

3

14

9

29

1

30

(5.3%)

(14.3%)

(11.1%)

(16.7%)

(11.2%)

(3.4%)

(10.5%)

e.その他

18

3

26

19

66

21

87

(31.6%)

(14.3%)

(20.6%)

(35.2%)

(25.6%)

(72.4%)

(30.3%)

f.参加を検討中

8

6

11

6

31

0

31

(14.0%)

(28.6%)

(8.7%)

(11.1%)

(12.0%)

(0.0%)

(10.8%)

有効回答数

57

21

126

54

258

29

287

2.6.3 コンソーシアムが提供すべき機能(問11)

問11ではコンソーシアムが参加館に提供すべき機能を尋ねた。全般的には9割前後の機関で価格圧縮への期待が示され,情報収集・交換が6割程度でそれに続く。アーカイビング等の共同事業への期待は15%程度で最も小さい。

コンソーシアムへの参加状況別にも大きな傾向に相違はないが,人的貢献をしている機関では単なる参加機関よりも情報の収集・交換機能を評価する機関が9ポイント多く,価格圧縮機能は6ポイント少ない。事務肩代わりへの期待が単なる参加機関の方が12ポイント多いことを含めて,交渉にあたる機関とその結果を享受する機関の意識の差異が現れていると見るべきであろう。

表2.20 コンソーシアムが提供すべき機能(参加状況別)(2つまでの複数回答)

国立AB

国立CD

公立AB

公立CD

私立AB

私立CD

専門情報機関

合計

人的貢献をしている

9

4

2

0

8

2

3

28

情報収集・交換

7

3

2

0

6

1

1

20

(71.4%)

価格圧縮

7

4

2

0

7

2

3

25

(89.3%)

事務肩代わり

2

0

0

0

1

0

0

3

(10.7%)

共同事業

0

1

0

0

1

1

1

4

(14.3%)

その他

1

0

0

0

1

0

0

2

(7.1%)

参加している

21

38

2

3

14

25

13

116

情報収集・交換

15

25

1

2

9

12

8

72

(62.1%)

価格圧縮

19

38

2

2

13

24

13

111

(95.7%)

事務肩代わり

2

10

0

1

4

7

2

26

(22.4%)

共同事業

5

1

0

1

2

4

3

16

(13.8%)

その他

1

0

0

0

0

0

0

1

(0.9%)

参加していない

0

0

2

55

21

125

52

255

情報収集・交換

0

0

1

25

11

74

33

144

(56.5%)

価格圧縮

0

0

2

53

20

115

37

227

(89.0%)

事務肩代わり

0

0

0

14

8

36

13

71

(27.8%)

共同事業

0

0

1

12

3

14

10

40

(15.7%)

その他

0

0

0

0

0

0

1

1

(0.4%)

有効回答数

30

42

6

58

43

152

68

399


2.7 館外文献複写の利用状況

2.7.1 文献複写の依頼先・依頼件数(問14)

問14では館外文献複写の依頼先別依頼件数を質問した。表2.21と図2.7に示すように,大学からの依頼のほとんどが国内の大学に対してなされること,大学以外になされる場合も大学以外のNACSIS-ILL加盟館に依頼をすることが示された。専門情報機関においては国内大学への依頼が半数,科学技術振興機構への依頼が1/4を占め,国立国会図書館の利用は6.4%に過ぎない。一方,都道府県立図書館は国立国会図書館に最も強く依存しており依頼の70%が同館に対してなされ,国内大学(22.8%)がこれに続く。科学技術振興機構は利用されていない。

表2.21 文献複写依頼件数及び依頼先

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県

合計

総数

275,376

185,329

35,831

81,544

132,400

135,130

845,610

92,885

6,587

945,082

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

(100%)

国内大学

254,861

165,951

34,986

66,739

111,242

122,335

756,114

48,033

1,502

805,649

(92.6%)

(89.5%)

(97.6%)

(81.8%)

(84.0%)

(90.5%)

(89.4%)

(51.7%)

(22.8%)

(85.2%)

科学技術振興機構

784

1,093

137

722

748

656

4,140

22,474

0

26,614

(0.3%)

(0.6%)

(0.4%)

(0.9%)

(0.6%)

(0.5%)

(0.5%)

(24.2%)

(0.0%)

(2.8%)

国立国会図書館

6,199

3,774

457

1,488

2,764

2,595

17,277

5,964

4,609

27,850

(2.3%)

(2.0%)

(1.3%)

(1.8%)

(2.1%)

(1.9%)

(2.0%)

(6.4%)

(70.0%)

(2.9%)

その他国内

6,449

8,021

695

2,714

4,249

7,238

29,366

19,738

301

49,405

(2.3%)

(4.3%)

(1.9%)

(3.3%)

(3.2%)

(5.4%)

(3.5%)

(21.2%)

(4.6%)

(5.2%)

BLDSC

3,968

1,355

271

344

1,881

1,069

8,888

1,525

0

10,413

(1.4%)

(0.7%)

(0.8%)

(0.4%)

(1.4%)

(0.8%)

(1.1%)

(1.6%)

(0.0%)

(1.1%)

CISTI

2

27

0

4

0

28

61

6

0

67

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

その他国外

1,406

196

63

119

1,823

297

3,904

1,594

0

5,498

(0.5%)

(0.1%)

(0.2%)

(0.1%)

(1.4%)

(0.2%)

(0.5%)

(1.7%)

(0.0%)

(0.6%)

有効回答数

123

61

10

64

114

189

561

85

45

691

図2.7 複写依頼先の構成比

2.7.2 複写依頼先の優先順位・理由(問15)

前項の実態を反映して大学図書館が雑誌論文の複写の際に依頼先を選ぶ優先順位は国内大学図書館が1位を占める(表2.22)。2位には国立国会図書館を選ぶ館が多いものの,実際の依頼件数には反映していないため,国内の大学において大半の必要が満たされていると判断できる。

選択の理由として最も選ばれるのは依頼が容易であることだが,前項の結果から判断すると,NACSIS-ILLで該当文献を探して加盟館に依頼し,無い場合にのみ別の手段を取っていると考えられるので,ここでの選択は決して積極的なものではない。

専門情報機関による優先順位と選択理由を表2.23に示した。優先順位の1位には「その他」が最も選ばれたが,複写代行業者や都道府県立図書館,他の専門情報機関,同一省庁内の他研究機関等が均等に選ばれており,数として多いのはやはり科学技術振興機構,続いて国内大学図書館であり,実際の複写依頼先と整合している。国立国会図書館は優先順位の2位あるいは3位として4割程度の機関から支持されている。その選択理由は依頼が容易であることであり,早いという理由はほとんど選択されることがない。

都道府県立図書館による優先順位では国立国会図書館を1位であげる館が多数を占めている(表2.24)。2位を含めると8割を超える館が国立国会図書館を優先して選択していると言える。続いて選択の対象となるのは「その他」として挙げられた都道府県内の他の公共図書館ないし国内大学図書館である。ただし,実際の依頼実績では国内大学はその他国内より明らかに多い。

複写物が雑誌論文か雑誌論文以外かで順位・理由に大きな変動は生じないため,雑誌論文以外の複写依頼先の優先順位についての集計は巻末の付録Cに示す。

表2.22 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位・理由:大学図書館 (N=519)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

優

先

順

位

1位

509

0

2

0

0

8

(98.1%)

(0.0%)

(0.4%)

(0.0%)

(0.0%)

(1.5%)

2位

10

31

342

23

0

76

(1.9%)

(6.0%)

(65.9%)

(4.4%)

(0.0%)

(14.6%)

3位

0

97

69

129

3

68

(0.0%)

(18.7%)

(13.3%)

(24.9%)

(0.6%)

(13.1%)

4位以下

0

49

23

149

21

95

(0.0%)

(9.4%)

(4.4%)

(28.7%)

(4.0%)

(18.3%)

合計

519

177

436

301

24

247

(100.0%)

(34.1%)

(84.0%)

(58.0%)

(4.6%)

(47.6%)

理

由

a.安い

60

1

57

5

1

(11.5%)

(0.6%)

(13.5%)

(1.7%)

(4.8%)

b.早い

124

45

11

24

5

(23.7%)

(26.8%)

(2.6%)

(8.2%)

(23.8%)

c.依頼が容易

254

98

307

206

13

(48.6%)

(58.3%)

(72.7%)

(70.5%)

(61.9%)

d.支払いが容易

85

24

47

57

2

(16.3%)

(14.3%)

(11.1%)

(19.5%)

(9.5%)

有効回答数

523

168

422

292

21


表2.23 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位と理由:専門情報機関 (N=84)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

優

先

順

位

1位

24

26

3

1

0

31

(28.6%)

(31.0%)

(3.6%)

(1.2%)

(0.0%)

(36.9%)

2位

17

6

20

7

0

25

(20.2%)

(7.1%)

(23.8%)

(8.3%)

(0.0%)

(29.8%)

3位

4

12

11

7

1

7

(4.8%)

(14.3%)

(13.1%)

(8.3%)

(1.2%)

(8.3%)

4位以下

3

10

2

16

1

8

(3.6%)

(11.9%)

(2.4%)

(19.0%)

(1.2%)

(9.5%)

合計

48

54

36

31

2

41

(57.1%)

(64.3%)

(42.9%)

(36.9%)

(2.4%)

(48.8%)

理

由

a.安い

20

4

16

1

0

(43.5%)

(8.2%)

(43.2%)

(3.7%)

(0.0%)

b.早い

5

19

2

7

0

(10.9%)

(38.8%)

(5.4%)

(25.9%)

(0.0%)

c.依頼が容易

17

20

17

17

2

(37.0%)

(40.8%)

(45.9%)

(63.0%)

(100.0%)

d.支払いが容易

4

6

2

2

0

(8.7%)

(12.2%)

(5.4%)

(7.4%)

(0.0%)

有効回答数

46

49

37

27

2


表2.24 複写依頼先(雑誌論文)の優先順位・理由:都道府県立図書館 (N=39)

国内大学図書館

科学技術振興機構

国立国会図書館

BLDSC

CISTI

その他

優

先

順

位

1位

6

1

24

0

0

9

(15.4%)

(2.6%)

(61.5%)

(0.0%)

(0.0%)

(23.1%)

2位

16

0

8

0

0

10

(41.0%)

(0.0%)

(20.5%)

(0.0%)

(0.0%)

(25.6%)

3位

8

2

5

0

0

9

(20.5%)

(5.1%)

(12.8%)

(0.0%)

(0.0%)

(23.1%)

4位以下

3

1

1

0

0

1

(7.7%)

(2.6%)

(2.6%)

(0.0%)

(0.0%)

(2.6%)

合計

33

4

38

0

0

29

(84.6%)

(10.3%)

(97.4%)

(0.0%)

(0.0%)

(74.4%)

理

由

a.安い

2

0

0

0

0

(6.7%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

b.早い

11

0

1

0

0

(36.7%)

(0.0%)

(2.9%)

(0.0%)

(0.0%)

c.依頼が容易

17

3

30

0

0

(56.7%)

(100.0%)

(88.2%)

(0.0%)

(0.0%)

d.支払いが容易

0

0

3

0

0

(.0%)

(0.0%)

(8.8%)

(0.0%)

(0.0%)

有効回答数

30

3

34

0

0

2.8 機関レポジトリへの取り組み

2.8.1 機関レポジトリの提供状況(問16)

問16では「自機関内での研究成果(紀要,テクニカルレポート,雑誌掲載済論文)を収集して,電子的に保存・公開する機能」を機関レポジトリと定義した上で,その提供状況を質問した。中央館と分館・分室を分けて集計したが,大きな特徴の違いはなく,大学の中央館で提供している例が44大学(12.6%),計画中24大学(6.9%),機関内に対してのみ提供という例が5大学であった。分館・分室では機関内のみを含めて32館が提供,4館が計画中となっている。

大学図書館よりも専門情報機関の方が機関レポジトリの提供率は高く,提供中が21館(22.3%)と2割を超えていること,機関内のみ提供12館(12.8%)と計画中4館(4.3%)を加えると,全体の4割でレポジトリが提供中ないし計画中という状態である。

表2.25 機関レポジトリの提供状況(中央館)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

都道府県

合計

a. 提供

8

11

1

5

7

12

44

21

2

67

(26.7%)

(25.6%)

(16.7%)

(8.1%)

(17.1%)

(7.2%)

(12.6%)

(22.3%)

(5.1%)

(13.9%)

b. 機関内

0

0

0

0

0

5

5

12

0

17

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(3.0%)

(1.4%)

(12.8%)

(0.0%)

(3.5%)

c. 計画中

2

7

0

1

3

11

24

4

0

28

(6.7%)

(16.3%)

(0.0%)

(1.6%)

(7.3%)

(6.6%)

(6.9%)

(4.3%)

(0.0%)

(5.8%)

d. 未提供

20

25

5

56

31

139

276

57

37

370

(66.7%)

(58.1%)

(83.3%)

(90.3%)

(75.6%)

(83.2%)

(79.1%)

(60.6%)

(94.9%)

(76.8%)

有効回答数

30

43

6

62

41

167

349

94

39

482

表2.26 機関レポジトリの提供状況(分館・分室)

国立大AB

国立大CD

公立大AB

公立大CD

私立大 AB

私立大CD

大学計

都道府県

合計

a. 提供

12

4

0

0

8

5

29

0

29

(12.9%)

(22.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(10.4%)

(25.0%)

(13.4%)

(0.0%)

(12.6%)

b. 機関内

2

0

0

0

1

0

3

0

3

(2.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(1.3%)

(0.0%)

(1.4%)

(0.0%)

(1.3%)

c. 計画中

2

0

0

0

2

0

4

0

4

(2.2%)

(0.0%)

(0.0%)

(0.0%)

(2.6%)

(0.0%)

(1.9%)

(0.0%)

(1.7%)

d. 未提供

77

14

4

4

66

15

180

15

195

(82.8%)

(77.8%)

(100%)

(100%)

(85.7%)

(75.0%)

(83.3%)

(100%)

(84.4%)

有効回答数

93

18

4

4

77

20

216

15

231

2.8.2 機関レポジトリの収集件数(問17)

機関レポジトリにおいて収集されている資料の件数を質問した。表2.27には通常の意味の平均値でなく,その種の資料を提供している館のみ(( )内の数値)を分母とする平均値を示した。例えば,国立大ABで機関レポジトリを提供している中央館・分館・分室20館のうち,雑誌掲載済み論文を収集しているのは2館であり,収集されている論文数の2館の平均が2,648件であることを示している。したがって,各種資料の件数を足し合わせても合計とは一致しない。

資料の内訳を見ると,大学図書館では研究紀要の収集が9割方で行われており,次いで学位論文,テクニカルレポート・研究成果報告書が収集されるがこれらは15%前後の頻度である。専門情報機関では21館中18館がテクニカルレポート・研究成果報告書を収集しており,続いて研究紀要(11館),雑誌掲載済み論文(9館)が続く。専門情報機関における機関レポジトリのもう一つの特徴はその規模であり,テクニカルレポート・報告書の収集件数は平均7,717件,雑誌掲載済み論文は平均10,067件に達している。

表2.27 機関レポジトリの収集資料数

国立大AB

国立大CD

公立大

私立大AB

私立大CD

大学計

専門情報

機関

合計

合計 (件)

423

(20)

817

(14)

368

(6)

291

(15)

78

(20)

374

(75)

10,727

(21)

2,638

(96)

研究紀要 (誌)

7.5

(15)

6.6

(13)

17.7

(6)

5.5

(14)

30

(19)

14.3

(67)

36.8

(11)

17.5

(78)

学位論文 (件)

398

(6)

968

(2)

-

(0)

1,200

(1)

74

(3)

479

(12)

-

(0)

479

(12)

報告書 (件)

142

(4)

39

(3)

-

(0)

-

(0)

3

(4)

63

(11)

7,717

(18)

4,814

(29)

掲載済論文 (件)

2,648

(2)

-

(0)

-

(0)

-

(0)

49

(2)

1,349

(4)

10,067

(9)

7,385

(13)

その他 (件)

50

(2)

148

(1)

1

(1)

75

(3)

1

(1)

59

(8)

1,361

(3)

414

(11)

2.8.3 機関レポジトリの年間活動予算・活動規模

これら機関レポジトリの活動を支える予算及びその活動の規模を問18で質問した。年間の予算額は大学において93万円,専門情報機関で128万円と平均で100万円前後であることが示された。また,年間に追加される資料の件数は大学では100件弱,専門情報機関は500件弱である。

表2.28 機関レポジトリの活動規模

国立大AB

国立大CD

公立大

私立大 AB

私立大CD

大学計

専門情報機関

合計

予算 (万円)

70

39

251

189

80

93

128

100

新規点数 (件)

35

218

107

115

25

95

477

172

有効回答数

15

17

3

11

21

67

17

84


2.9 自由記述

調査票の最後に学術雑誌,特に科学・技術・医学雑誌の収集・利用について日頃感じていること,当該領域における国立国会図書館の役割についての自由記述欄を設けた。117館・室から回答があった。ここでは,自由記述の内容を大まかに分類し,どのような意見があったかの概要を示す。

2.9.1学術雑誌の収集・利用に関すること

雑誌価格の高騰及びそれに伴う雑誌タイトル数の減少に関する記述が目立つが,その結果として文献複写が増加している,あるいは重要になった,という趣旨の記述と,「各図書館の所蔵タイトルが似たようなものになってきている」とする指摘がある。また選書の権限が研究者にあり他館との分担などの工夫ができないという意見も示されている。

電子ジャーナルについては,導入に伴って利用タイトル数が増加しILLが減少している,という指摘がある。バックファイルの問題に対する不安のほか,出版者毎に異なる契約処理の煩雑化が負担として認識されている。電子ジャーナルの料金設定が日本の現状に合っていない,という不満もある。電子ジャーナルへのILL依頼が謝絶されることに対して不安が表明されている。また,電子ジャーナルの導入に合わせて学内重複雑誌の一本化が行われていること,冊子体から電子ジャーナルへの切り替えを検討していることなどが示された。

電子ジャーナルコンソーシアムについては,コンソーシアムを通じた電子ジャーナル購入を行っていることや,コンソーシアムのための購読維持に困難を感じていることのほか,コスト分担方法などコンソーシアムの検討課題も多いとする意見があった。

2.9.2 国立国会図書館の役割

国立国会図書館の役割に対する期待・意見を,学術雑誌の収集に関する補完的役割,国立図書館的機能,国立医学図書館的機能,電子ジャーナルの提供,他機関との連携,その他に分類して示す。

学術雑誌の収集に関する補完的役割

保存機能への期待,国内未収タイトルの監視,電子媒体資料の保存のように現時点で不足している機能を国立国会図書館に求める例と,国内雑誌やテクニカル・レポート類の遡及的電子化,科研費報告書等の電子化,国内学会会議録の収集のように国立国会図書館の特徴を活かした貢献を期待する意見がある。大学が電子ジャーナルに力を入れているので,ILLの提供のために冊子体の収集に力を入れて欲しい,あるいは大学が購入しないジャーナルを収集して欲しいとする意見を典型とする,自館あるいは大学図書館に対して補完的に機能して欲しいとする役割規定である。

国立図書館的機能

公共図書館と専門情報機関からは,その活動をバックアップすることの期待が示された。洋雑誌の収集,古い資料を頼りたい,民間・小規模研究機関への支援,レファレンスの提供のような具体的な要求だけでなく,「…毎年タイトルを減らしている。そのため国会図書館への依存度が高くなっていくと思われる」のように漠然とした期待も含まれている。企業や公共図書館から大学図書館に対するILLの依頼が謝絶されることも国立国会図書館への期待が強まる要因の一つである。「大学図書館・専門図書館の資料も広く国民で共有できるようなシステムを作って欲しい」(都道府県立)というように,公共図書館や専門情報機関の代弁者として,情報提供を支援する体制づくりが期待されている。

国内有数の収集態勢を背景に,科学技術雑誌の集中所蔵やILLの中枢を期待する意見もあり,「最後の砦」として何でも揃えていること,という期待がある。

国立医学図書館的機能

(外国)医学雑誌の収集保存を行うことに対する期待が多数の館から示されている。一方で,「かつて…医学関連雑誌の保存について話し合いの場を持ったが,…貴館に期待する事はまったく出来ないことが明確になった」や「医学関係の雑誌について国立国会図書館のサービスは現在何もみえてこない」のように,現在のサービス内容・協力関係の薄さに対して強い不満を表明する例がある。それら全てが,国内における医学雑誌の収集保存についての深い危機感を示しており,この問題において国立国会図書館がどのような役割を果たそうとしているかを注目している。

電子ジャーナルの提供

電子ジャーナルのリモート利用,一般市民への提供のように国立国会図書館が利用者に対して行うサービスとしての期待と,ナショナルサイトライセンスの提供のように,自館が提供するための支援を期待する意見の両方がある。支援という点からはコンソーシアムの形成,アーカイビング,バックファイルの提供という意見も寄せられた。

他機関との連携

「とにかく,国立情報学研究所との連携を深めていただきたい」という表現に代表される,他館との連携を深めて欲しいとする意見である。より具体的には分担収集の推進であったり,国立情報学研究所による各種サービスから国立国会図書館が利用できないことへの不満である。

その他

これまでのまとまりに分類できなかったものとして,図書館の財政問題の議論,価格高騰問題への国家的対応,著作物の電子化にかかわる法整備のように図書館の代弁者として国政への働きかけを期待する意見がある。また,国内学術雑誌の翻訳出版支援や機関レポジトリの集約的提供,NII,JST,NDLにおける様々な事業のプラットフォームを一本化する,電子ジャーナルの検索インターフェースの統一・横断検索などの意見があった。

2.9.3 国立国会図書館の業務に対する意見

以下の各項目は国立国会図書館に期待する役割ではなく,現在遂行している各種業務に対する,具体的な改善要求に分類できるものである。

・蔵書検索結果の電子的利用の要件緩和

・速やかな対応

・文献複写に時間がかかる

・書籍貸出の手続きが煩雑

・日曜休館が利用機会を減らしている

・雑誌記事索引の採録誌増加

・不要資料の交換仲介の場の設定

・遡及的な著作権の承諾が困難なためWARPへの協力が困難

・NDL-OPACにおけるWebcatとの連結表示

・NIIの相殺サービスへの参加

・NACSIS-ILLへのデータベースレベルの参加,Webcatへの参加

・雑誌記事索引・医中誌Web・Webcatの目録の取り方の統一

・雑誌記事索引DVD版において電子情報通信学会技術報告の誌名表記に部門名を含めて欲しい

・雑誌の契約にまつわるFAQの整備

・会議録やテクニカルレポート等でOPACで検索できないものが多い

・会議録の受入が遅い

・受入が遅い

・科学技術関係欧文会議目録の再提供

・ホームページをシンプルにして欲しい

・電子ジャーナルとしての提供タイトルも郵送複写の対象に

・ILLの梱包が過剰で余分な郵送コストがかかっている

・公費での支払いが不便

2.10 資源配置の状況

2.5節に見るように,全体として電子ジャーナルを多数導入している大学は国公立・私立を問わず学部数の多い大規模大学であり,公立・私立の小規模校ではほとんど電子ジャーナルの提供が進んでいない。本節ではこのような大学間の格差の様相を示すために,分布の平等性の尺度であるローレンツ曲線とジニ係数を用いて分析する。電子ジャーナルのタイトル数が少ない大学から最もタイトル数が多い大学の順に横軸をとり,縦軸には下位何%以下の大学に全体の何%の電子ジャーナルがあるかの累積タイトル数を描くと,ローレンツ曲線ができる。完全に平等な状態を示す対角線からの乖離が大きいほど,資源分布が平等でないことを表している。分布の不平等さの測度として用いられるジニ係数は,対角線とローレンツ曲線で囲まれる部分の面積に相当し,値が大きいほど不平等な分布であることを示す。

大学図書館における電子ジャーナルタイトル数分布のジニ係数は0.71である。平等・不平等という概念は資源配分を論じる際の重要な評価基準ではあるが,ここでは電子ジャーナルの導入によって起きる資源分布の変化がどのようなものかに主たる関心があるので,冊子体の雑誌タイトル数のジニ係数と比較することにした。時間的な変化も見るために,日本図書館協会の「日本の図書館」による大学を単位とする2002年と1996年の購読雑誌タイトル数のジニ係数を求めると,共に0.59であった。ここから,冊子体に関する資源分布の格差は6年間でほとんど変化していないこと,電子ジャーナルの分布は冊子体よりも格差が大きいことが言える。

電子ジャーナルの導入状況に違いのあった国立大学と公私立大学の二つの集団に分けて電子ジャーナルタイトル数のジニ係数を求めると0.29と0.73である。一方,冊子体の購入雑誌タイトル数の分布について同様にみると,国立大は0.49,公私立大は0.56であり,冊子体においては国立大も公私立大も0.5前後の状態であったにもかかわらず,電子ジャーナルの分布においては,国立大においては格差が縮小し,公私立大においては格差が拡大していることがわかる。

STM誌についても同様の関係が成立し,本調査によるSTM分野を収集対象とする大学における冊子体のSTM誌タイトル数のジニ係数は国立大0.51,公私立大0.58であるのに対して,電子ジャーナルのそれは国立大0.34,公私立大0.75と,国立大においては電子ジャーナルにおいて格差が縮小している。

また,これら雑誌と電子ジャーナル購入のための経費の分布を見てみると,電子ジャーナルの契約費のジニ係数は国立大が0.56,公私立大が0.88と,公私立大はもとより国立大においても分布の格差が冊子体の購入費の0.54よりやや大きくなっている。つまり,国立大においては電子ジャーナルのための費用は雑誌購入費よりも金額の多寡の差がやや大きいバランスで投入されているにもかかわらず,タイトル数で見ると格差が縮小していることもわかる。これは電子ジャーナルが大学の規模に応じて価格付けされるために,小規模な大学は相対的に安価に電子ジャーナルが導入できることの効果を反映しているものとおもわれる。図2.8では国立大学における雑誌購入費,電子ジャーナル契約費,購入雑誌タイトル数,電子ジャーナルタイトル数に関するローレンツ曲線を示した。雑誌購入費,雑誌タイトル数,電子ジャーナル契約費のローレンツ曲線には顕著な違いが見られないのに対して,電子ジャーナルタイトル数のローレンツ曲線が対角線により近い形状を示していることがわかる。図2.9は公私立大学における同様の図であり,電子ジャーナル契約費が雑誌購入費や雑誌タイトル数に比べて,大きく対角線から離れていること,すなわち大部分の大学で電子ジャーナルに費用を投入しておらず,一部の限られた大学だけが電子ジャーナルの費用を支出していることと,その結果として,電子ジャーナルのタイトル数の分布においても,(契約費よりも多少は改善されているものの)冊子体の分布よりは下位校と上位校の格差が大きくなったことを示している。

雑誌タイトル数や雑誌購入費の分布が現在の大学図書館における大学間の資源配置のバランスを表現していると考えると,電子ジャーナルの導入によって公私立大学においてはサービス水準の格差が拡大し,逆に導入が進んでいる国立大においては,冊子体の雑誌よりも格差が縮小したと考えることができる。

表2.29 雑誌タイトル数と費用のジニ係数

雑誌タイトル数

雑誌購入費

STMタイトル数

冊子1996

冊子2002

電子J

冊子

電子J

冊子

電子J

大学図書館

0.59

0.59

0.71

0.68

0.81

0.60

0.64

国立大

0.49

0.49

0.29

0.54

0.56

0.51

0.34

公私立大

0.55

0.56

0.73

0.65

0.88

0.58

0.75

図2.8 国立大学における資源分布のローレンツ曲線

(左上:雑誌購入費,右上:電子ジャーナル契約費,左下:購入雑誌タイトル数,右下:電子ジャーナルタイトル数)

図2.9 公私立大学における資源分布のローレンツ曲線

(左上:雑誌購入費,右上:電子ジャーナル契約費,左下:購入雑誌タイトル数,右下:電子ジャーナルタイトル数)


2.11 考察

日本国内の学術雑誌の資源配置を調査した結果,以下の9項目が明らかになった。

(1) STM 分野を収集対象とする大学においては冊子体雑誌のおよそ5割をSTM雑誌が占め,最もタイトル数が多い大学で5,000から6,000タイトル程度を収集している。このうち洋雑誌は3,500から5,000タイトルを占めている。雑誌のタイトル数は減少傾向にあるが,その半分はSTM雑誌の減少であり,洋雑誌が減少分のほとんどを占めている。

(2) 国立国会図書館は国内雑誌については納本制度によって包括的に収集できているものの,STM洋雑誌のタイトル数に見るように,冊子体の外国雑誌に関しては国内最大規模の大学と同程度かあるいはやや劣る程度の量である。

(3) 国立大では大学の規模に関わらず意欲的に電子ジャーナルが導入されているが,公・私立においては一部の大規模校で大量導入されているものの,中小規模校ではあまり導入が進んでいない。

(4) 公立大・私立大では電子ジャーナルのタイトル数が少ない大学が半数を占め,冊子体に比べて電子ジャーナルではタイトル数の面で上位校と下位校の格差が拡大している。

(5) 大学規模に応じた価格づけが行われる電子ジャーナルは,中小規模校が相対的に低価格で導入が可能であり,そのメリットを活かした国立大では,冊子体と較べて電子ジャーナルでの上位校と下位校の格差が縮まった。

(6) 国立大では程度の差こそあれ全ての大学で電子ジャーナルの導入が進んでおり,これは国立大学図書館協議会電子ジャーナルタスクフォースによるコンソーシアム形成の効果と考えられる。

(7) アーカイビングなどの共同事業への期待は薄く,現に電子ジャーナルを大量に導入している大学にあっても,コンソーシアムの任務は価格と情報収集であると位置づけている。

(8) 館外文献複写の実績においては,大学図書館における情報要求はほとんどが大学図書館内で完結して処理されていること,専門情報機関においてもJSTや外国への依頼が多く国立国会図書館の占めるシェアは多くないことが示された。ただし,都道府県立図書館においては国立国会図書館の利用が最も多く,その優先順位も1位とする館が多かった。

(9) 機関レポジトリの整備状況としては,1割程度の大学図書館で提供が行われている。むしろ専門情報機関における提供が多く2割程度の機関がレポジトリを提供している。提供内は大学においては紀要や学位論文,専門情報機関にあっては報告書,テクニカルレポートが多く掲載されている。

注・引用文献

1) Association of Research Libraries. ARL Statistics 2001-2002. 2003, 118p. (online), available from < http://www.arl.org/stats/pubpdf/arlstat02.pdf [3] >, (accessed 2004-03-31).

2) http://pr.jst.go.jp/pub/pubindex.html#bunken [4]

3) http://pr.jst.go.jp/outline/outline1.html [5]

3. 電子ジャーナル・コンソーシアムの現状 / 宇陀 則彦

  • 参照(20725)

3. 電子ジャーナル・コンソーシアムの現状


3.1はじめに


電子ジャーナルは1991年のElsevier と米国の幾つかの大学で実施された TULIP プロジェクト (The University Licensing Project) を出発点として,次第に拡大していく。Elsevierの電子ジャーナルはTULIPを基に1995年からEES (Elsevier Electronic Subscriptions)として商品化され,後に SDOS = ScienceDirect On Siteと改称される。Elsevierに続き,他の大手学術出版社も電子ジャーナル提供を開始し,1995年前後からタイトルが急増する。そして,1999年におけるBig Deal本格化が電子ジャーナルを決定づけたと言えよう。


 日本では米国から5年遅れの2000年前後から電子ジャーナルの提供・利用が活発になってきた。これは国立大学図書館協議会をはじめとする各種団体が,電子ジャーナルの契約交渉に関してコンソーシアムを形成し,価格の高騰や複雑な契約に対処するようになったことにも符合している。前章においてすでに明らかにしたように,もはやコンソーシアムの存在抜きに電子ジャーナルの提供を語ることはできない。


 そこで,電子ジャーナルの提供と密接に関わりを持つコンソーシアムの現状を把握するために,数年以上活動しているコンソーシアムを対象に,実際に出版社との交渉にあたっている部局に対してインタビュー調査を行った。本章では,その調査結果を基にコンソーシアムの現状を整理し,国立国会図書館が果たすべき役割について論じる。


 インタビュー調査を行った対象は,コンソーシアムに関して継続的に活動している以下の4団体である。



・国立大学図書館協議会電子ジャーナル・タスクフォース(主査,事務局)


2003年12月15日(月) 15:40〜16:30


名古屋大学附属図書館  (主査)


   2004年1月26日(月) 16:00〜18:00


   東京大学附属図書館   (事務局)


・京阪奈ライブラリーコンソーシアム


  2004年1月9日(金) 13:00〜14:20


  奈良先端科学技術大学院大学附属図書館


・NPO法人日本医学図書館協会


  2004年1月20日(火) 10:00〜11:20


  日本医科大学中央図書館


・日本薬学図書館協議会


   2004年1月20日(火) 15:00〜16:40


   昭和薬科大学図書館



 なお,本調査では「電子ジャーナルの契約・交渉に関するコンソーシアム」を対象としたが,多くの団体は,相互貸借や情報交換などの共通の利益のために電子ジャーナルの登場以前から存在しており、その活動は電子ジャーナルの契約・交渉に必ずしもとどまらない。その結果,インタビュー調査での話題は多岐に渡ったが,ここではその中から電子ジャーナルに関連する部分を抽出してコンソーシアムの現状を整理し,インタビュー対象者の学術情報流通に対する認識を明らかにする。


 以下の節では順に,3.2設立経緯,3.3交渉の推移 3.4契約の現状,3.5コンソーシアムの評価,3.6今後の発展可能性について発言を整理し,考察を行った。


3.2設立経緯


電子ジャーナルをとりまく状況は,各団体によってかなり異なっているが,設立の契機はほぼ同様であり,次の二点が共通している。一つは学術雑誌の価格高騰と電子ジャーナルの有料化への対応であり,もう一つは電子ジャーナルの重要性に対する認識が高まったことである。


国立大学図書館協議会(以下,国大図協と表記)において,電子ジャーナルに関するコンソーシアム設立の動きが表面化した直接のきっかけは,2000年に国立7大学(北大,東北大,東大,名大,京大,阪大,九大)附属図書館長が連名で提出した要望書にある。国立大学図書館協議会において,出版社が要求してくる価格に対して,図書館サイドとして何か具体的なアクションを起こさないといけないという意識が高まってきていた。“10年間に約3倍という値上げに,図書館側が何も対抗できないのは問題だという認識”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]があったからである。具体的なアクションとして行われたのが,先に述べた国立7大学附属図書館長による要望書の送付である。エルゼビア・サイエンス社に対して,円価格問題と並行輸入問題に関連した内容の要望書が送付された。エルゼビア・サイエンス社がその要望書に回答したところから,国大図協の電子ジャーナル・タスクフォースの活動は開始されることになる。



 
日本医学図書館協会(以下,医図協と表記)と日本薬学図書館協議会(以下,薬図協と表記)は,エルゼビア・サイエンス社の円価格問題への対応とともにそれぞれScienceDirect(当時SD-21)の有料化に直面し,高騰する電子ジャーナルに対応しなければならないという危機感から,それぞれの事務局で中心的役割を担っていた今回のインタビュー対象者2人が積極的に他の図書館に働きかけるところから始まった。医図協と薬図協は,2000年に私立大学図書館協会と連名で公正取引委員会にエルゼビア社円価格設定に関する申告を行ったが,2002年,公正取引委員会から「独占禁止法に違反する行為は認められない」という回答を得る。公正取引委員会への申告とほぼ同時期に医図協はProQuestのコンソーシアムを設立し,1年遅れで薬図協が医図協と共同歩調をとる形でコンソーシアム形成に関わっていくことになる。


最初はそれぞれ独自にやっていたが,そのうち薬図協のほうから協力依頼があった。やれるところからやるということで,電子ジャーナルを一緒にという感じで進めていった。出版社に対してはなるべくセットで考えてくれと言っている。ほとんどの提案は連名で提案している。ただし,個々の契約,具体的な執行の窓口は別になっている。[医図協]



医図協はProQuestで1年先行していたし,医図協といっしょにやったらメリットが大きいのではないかということで立ち上げることになった。基本はすべて連携を取れるところは取ろうということだ。うちにオファーが来てもあちらに知らせる。逆に,向こうで詰めた内容をこちらに知らせてもらったりする。大学同士はいいのだが,うちは企業が入っているので,企業への提案書も欲しいと出版社には言った。[薬図協]



医図協がすでに交渉を始めていたところに薬図協が連携を取ったという形である。薬図協にとってはゼロからの交渉ではなかったので,ある程度のモデルができている状態からはじめることができたというのは,薬図協にとっては大きなメリットであった。医図協のほうにしても,領域が同じところと連携したほうがやりやすいという感覚があったようである。企業が入っているという点で,薬図協は異質であるが,そのことより領域に重なりがあること,コンソーシアム参加館の規模が同程度であることがここでは重視されている。


電子ジャーナルの重要性に対する認識が高まってきたことに関していえば,“時代の方向は電子ジャーナルだという利用者の認識が少しずつ芽生えていった”[医図協]や,“電子ジャーナルが重要であるとは考えていたが,これほどまでになるとは誰も予想していなかったのではないか”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という発言に見られるように,出版社から無料トライアルという形で導入されたことや学会誌を購入している図書館に対して学会が無料アクセスを許すといった動きが,急速に図書館側の意識を変えていったことがうかがえる。したがって,ScienceDirectが有料化されたとき,「有料化するなら利用しない」という選択肢はもはやあり得ない状況になっていた。結果的に,これまで学術雑誌を対象として争われていた価格高騰問題に対して電子ジャーナルという新たなファクターが加わることになった。


 もう一つ,国大図協,医図協,薬図協のコンソーシアム設立に関して重要な点は,立ち上げるのに必要な人材がいたことである。中心となる人物が積極的に動いたことで,全体として早い段階で方向性が定まったということは無視できない要因である。


 国大図協,医図協,薬図協に対して,京阪奈ライブラリーコンソーシアムは設立の経緯が若干異なっている。このコンソーシアムは2001年3月に発足したもので,関西文化学術研究都市という特殊な環境において相互に関連しあう大学や企業によって構成されている。コンソーシアムの運営主体は発足当時から変わらず,奈良先端科学技術大学院大学である。


奈良先端科学技術大学院大学は開学当初から電子図書館を志向していた点で他大学とは大きく異なる状況にあった。コンソーシアム発足当時に問題となったのは,資料の電子化に関わる利用許諾や電子的資料の共用に関する問題で,電子ジャーナルの導入以前の問題であった。この問題に対処する際の試みの一つとしてコンソーシアムという形態が使えるのではないか,という発想がそもそもの発端としてあったようである。加えて,電子ジャーナルの提供に対する認識が他の機関とは異なっている。



奈良先端科学技術大学院大学は電子図書館のために既にエルゼビアから雑誌をPDFという形で提供を受け,それを奈良先のデータベースに入れて皆が見られる仕組みを作っていた。つまり,電子図書館のための電子化が先にあって,後から電子ジャーナルというサービスが生まれた。[京阪奈ライブラリーコンソーシアム事務局]



 他機関では,電子ジャーナルの導入で初めて,電子化された資料に関して出版社と交渉することになったわけだが,奈良先端科学技術大学院大学では,すでにその種の交渉は行われており,その方法自体を大きく変更するつもりはなかった。そして,コンソーシアム形成を考えたときには,別のことを考え,学研都市という既存の枠組を活かし,企業も含めた形で運営していく形態を選択したということである。“京阪奈地域の研究所や大学の,いわば「親睦」が基本的な趣旨”[京阪奈ライブラリーコンソーシアム事務局]であると説明しているところからも,京阪奈ライブラリーコンソーシアムの性質がうかがえる。すなわち,電子ジャーナル導入という業務を核として作られたものというよりは,京阪奈地域の組織間連合の形成を模索したものだということがいえる。



3.3交渉の推移


コンソーシアムの中心となる電子ジャーナルの契約・交渉に関連して,彼らが一様に言及したのは,電子ジャーナルの市場を成立させるまでにかなりの時間を要したということである。例えば,日本医学図書館協会では,世界に先駆けてProQuestのコンソーシアム契約を行っているが,その交渉プロセスにおいて,アメリカと日本とでは「コンソーシアム」の定義そのものが違っているということが明らかになった。すなわち,アメリカでは価格交渉も実際の契約もコンソーシアムが行うのに対して,日本では価格交渉はコンソーシアムが行うが,実際の契約はコンソーシアムに参加している個々の機関がそれぞれ別個に行うという差異を言ったものである。交渉を行う場合には,そのレベルから話し合いを始めなければならなかった。この例では,医図協側の説明や要求を理解してもらうのに1年近い時間を費やしたそうである。これ以外にも,交渉の困難さに関する発言があった。



交渉回数は14回以上,数え切れないほど行ったが,当初はどのレベルでどんな内容をコンセンサスとして得ることができるのか,そのすりあわせだけでずいぶんと時間がかかった。会社の経営状態などは資料としてわかっていたのだが,窓口となっている交渉相手がどれぐらいの権限があるのかということは,話をするうちにしかわからない。また,出版社によって来る人のレベルが異なる。[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]



最初は全てが手探り状態で,出版社によって提案が違った。例えば,サイトの数を言ったりFTEを言ったり。アメリカの状況をベースに言ってくるから,日本では該当しにくく,同じ発想で考えると高いものになり,日本の図書館は明らかに参加できない。そういう環境の違いからまず説明しないといけなかった。例えば,3つにキャンパスが分かれている大学があったとして,50万ですむはずなのに「3サイト150万」と言ってきたりする。そうした日本の状況を繰返し説明しないといけなかった。[日本医学図書館協会]



日本側としては,交渉相手の権限の範囲,決定すべき項目などを知らなければならなかったし,出版社側に対しては日本の大学のサービス規模を理解してもらう必要があった。そのような項目の整理を行うだけで,困難を極める交渉であったようである。


医図協ではさらにコンソーシアム内部での意見調整が必要であった。コンソーシアムが価格交渉を成立させても,そこで決定された価格表に基づいて実際に契約を行ってくれる図書館が存在しないことには,コンソーシアムの活動自体が先に進まないからである。電子ジャーナルの契約を行うためには,予算がまだついていない段階で契約を行わざるを得ない状況であり,それを学内の委員会等で通せるかどうかという点において図書館員の調整能力が問われることもあった。



3.4契約の現状


 日本のコンソーシアムの特徴は,交渉と契約が分離している点にある。すなわち,出版社との交渉はコンソーシアム事務局が担当し,その結果設定された条件に基づいてコンソーシアム参加館が個別に契約を行う。この形態は4つのコンソーシアム全てに共通である。


国大図協では,電子ジャーナル・タスクフォースが出版社と交渉し,契約のテンプレート化を行っている。どのような項目を持つべきかをタスクフォース内で議論をして出版社に示し,それをもとに出版社から提案させることを行っている。現在の交渉相手は30〜40社に上っており,特に積極的に働きかけなくても増加傾向にある。価格という面で言えば,個別大学向けとコンソーシアム向けでは違う定価が設定されており,後者のほうが安い。


医図協・薬図協は出版社からの提案を受けて交渉を行っている。そのほとんどが1年契約で,少数ではあるが3年契約が含まれている。どの出版社も契約するたびに少しずつ値上げしているという印象がある。ただし,契約する大学のほうも単年度予算でやっており,多年度契約は保証ができないというのが現状である。薬図協は加盟機関に製薬企業が入っていることと、加盟機関以外からのコンソーシアムへの参加を認めるオープンコンソーシアムの形態をとっているという2点が特徴的である。オープンコンソーシアムの扱いについては次のような発言があった。



薬図協加盟館以外の大学,企業の参加を認めたかった。薬図協がコンソーシアムをつくり参加できるようにしてくれれば助かる,という加盟館以外からの声を反映した。価格が安いから,加盟館からは正会員よりコンソーシアムだけに入るほうが,会議や委員会に出たりするノルマがないからそちらのほうが楽という話もあって,困った。そこで会費に差をつけることにし,会費をそれぞれ一万ずつ上げた。その額が適切かどうかは微妙なところだ。製薬会社や薬学部を持っている大学はオープンコンソーシアムには入れないようになっている。正会員になるには10万円の入会金が必要で,それはコンソーシアム会員にはないものだが,その程度でいいのかな,と思っている。[薬図協]



 企業が含まれている点に関しては,海外の出版社からは理解されないので,薬図協発足当時から一緒に活動しているという現状を理解してもらうよう努力している。提案書は大学と企業は同一のものを提示することを前提にしているが,企業プライスがアカデミックプライスよりかなり高かったとしても,企業が単独で契約するより安くすることができれば,企業にとってもプラスになるので問題はないと考えている。交渉の仕方で決まってくる部分だという認識があるようである。


 薬図協と同じく企業が含まれる京阪奈ライブラリーコンソーシアムは,事務局である奈良先端科学技術大学院大学が企業に対して提案し,参加を表明したところに関して交渉を引き受けるということをやっている。現在契約している電子ジャーナルはACSのみである。ACSにはアカデミックという制約がなく,企業が入っている京阪奈でやる意義があると判断したからである。金額も,大学・企業の区別がなかった。契約の更新は1年ごとである。


企業からもそれなりに希望は出てくるが,なかなかうまく実現しないようだ。企業と大学が一体となって交渉・契約を行っていくのは,なかなか難しいことだという感触がある。理由の一つは,価格に対する考え方が企業と大学ではだいぶ異なり,事務局にそれに対処するだけのノウハウがない,ということである。もう一つは,研究所ではどういった種類の資料を必要としているかということが,企業秘密に直接的に関わってしまう可能性があるということである。交渉・契約の際にオープンにできない部分が多いというのは,やりにくいと感じる大きな要因となっている。



3.5コンソーシアムに対する評価


3.2において述べたように,コンソーシアムによる電子ジャーナル契約交渉の目的は,冊子も含む雑誌の価格高騰問題への対処にあった。学術雑誌出版は完全に出版社主導で行われており,今日に至るまで驚くべきスピードで学術雑誌の価格は上昇し続けている。コンソーシアムはその動きに歯止めをかけるべく図書館側が一丸となって交渉するという構図に基づいて形成されたものである。価格高騰に対する危機感は以前から認識されていたが,コンソーシアム設立当時,その意識がピークに達したということであろう。


しかし,実際には価格高騰を食い止めるまでには至っておらず,インタビューでは,彼らもそのことを意識している様子がうかがえた。そのことは,“結果的に価格上昇を食い止められていないのは残念なことであるが”であるとか,“価格上昇には,いろいろ問題がある”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]といった発言から読み取ることができる。


彼らが共通に感じているのは,現状の学術情報流通制度の下で価格上昇を食い止めることの難しさである。“ページ数の大幅増加や内容充実を伴わない単なる値上げにはついていけない”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という意識に基づいて,それに歯止めをかけるべく形成されたコンソーシアムであるが,現状では,価格高騰はとどまるところを知らず,印刷版・電子版の両方の形態を持つ学術雑誌については,印刷版のほうを切らざるを得ない状態になりつつある。すなわち,価格高騰への対処という当初の目的に基づいて評価した場合には必ずしも成功しているとは言えないということである。


しかし同時に,この価格高騰について,“SPARC など新しい動きによっても,これを止めることは不可能ではないか”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という意見も表明されている。SPARCはコンソーシアムの活動と連動して始まった活動であり,新たな学術情報流通を変化させるものとして期待されている。そのことは十分認識したうえで,それでもなお,価格高騰問題は解決されないのではないか,という危機感があるということだろう。言い換えれば,既存の学術情報流通制度の抱える問題は予想以上に根が深い,ということに気づいているということである。それはすなわち,コンソーシアムに価格高騰に対する抑制という目的を持たせようとしたこと自体に無理があった,ということをコンソーシアムの活動を通じて気づいたということがいえるのではないだろうか。


価格高騰を食い止める手段として有効であったのはむしろ,電子ジャーナルの契約をきるという実力行使である。例えば,医図協のコンソーシアムに参加しているある大学では,資料購入の予算が削減されたことを受けて,エルゼビア・サイエンス社の雑誌を1,000万円分カットしたそうだ。すなわち,コンソーシアムにおいて一定の価格を設定した上で,各大学が契約を行う際に予算に応じて契約を解消するという形になる。アメリカでも例えばコーネル大学などが行っている方法であり,契約する側が意識的に実行していけば,価格高騰に歯止めをかける有効な手段になりうるのではないか,という手ごたえのようなものも表明されている。


 電子ジャーナルと価格高騰問題の関係については,現在の価格モデルは図書館の支出額抑制に対する回答にはなり得ていないが,パッケージ契約による利用可能タイトルの増加によってサービス向上の効果は現れてきている。さらに,今回の調査で明らかになったのは,コンソーシアム形成が価格問題とは別のところで効果をあげているということであった。それは例えば,次の言及に顕著に現れている。


 


 コンソーシアムには,値引き交渉や契約業務の代行というよりは,大学図書館として学術情報のあり方を社会に提示する役割と使命があるのだと思う。[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]



エルゼビアとの交渉によって多くのことを学んだ。ローリングの問題,価格のキャップ制といった今ではあたりまえのテーマも当時は明確に意識されていなかった。 これら要求項目のリストアップができただけでもコンソーシアムの効果だといえるのではないか。また,お金の話以外の重要な問題も認識できるようになった。例えば,統計のことやアーカイブについても少しずつ成果が得られている。実際,アーカイブを国立情報学研究所におくことになった。これはつまり,単なる契約交渉だけではなく,それをとりまく周辺状況をも整備したということだ。[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]



 これらの発言から言えるのは,電子ジャーナルの提供を媒介として,周辺状況を含めたグループの強化または再構成が効果として意識されているということである。むろん,国大図協,医図協,薬図協というそれぞれのグループは,以前から存在しているものであるが,それらのグループが電子ジャーナル導入という作業をとおして強化されている,もしくは再構成されている,と見ることができるのではないか。そして,その再構成に関わる諸々の活動を評価するからこそ,上記のような発言が出てくると考えられる。


コンソーシアムを通じた活動は個々の図書館の活動にも及んでいる。それは例えば,次の言及に見ることができる。



購入タイトルを決める権限が,図書館ではなく学部や学科の教官にあるところが多いが,コンソーシアムができたことによって,タイトルの選択は大学の知的インフラの整備という大きな目で見る必要があるという認識が芽生え,決定権はインフラ整備を担う図書館が持つべきであるという動きが全国で進んでいる。[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]



 3.3において述べたように,電子ジャーナル導入のために,学内での予算獲得や利用者である教員に対する説明を行うという各図書館の努力が,図書館の学内での役割を変化させることにもつながっているのである。


 ただし,コンソーシアムに参加している個々の大学のレベルで,どの程度コンソーシアムに対する帰属意識があるのかということは,また別の問題である。人的貢献をしているところとそうでないところとの間には,かなりの意識の違いがあるようである。コンソーシアムの活動を高く評価する声が聞こえる一方で,新しいシステムに便乗しているだけ,というような消極的な意識の参加館があることもまた確かである。



3.6今後の発展可能性


3.6.1 組織体制


日本の電子ジャーナルに関するコンソーシアムは,米国のそれと比較して,非常に特徴的な存在である。すなわち,一機関が同時に複数のコンソーシアムに参加可能であり,理論的に言えば,費用対効果の観点から各機関がその都度どちらのコンソーシアムの傘下で契約をするかということを選択することができる。米国のコンソーシアムが強固な組織を作り上げる傾向にあるのに対して,日本のそれは非常に緩やかな結びつき方をしているということが言えるだろう。現に,奈良先端科学技術大学院大学では,国大図協のコンソーシアムに参加すると同時に,自らが事務局となって京阪奈ライブラリーコンソーシアムで電子ジャーナルの契約を行っている。国大図協のコンソーシアムでカバーしきれない電子ジャーナルに関しては,自大学で購入することも行っている。同様の考え方をすれば,国立大学の医学図書館は,国大図協のコンソーシアムと医図協のコンソーシアムとに参加し,契約条件に応じてどちらかを選ぶことができる。


コンソーシアムの今後を考えたときに,米国型の強固な組織を作り上げるのか,それとも日本型のゆるやかな組織間連合を維持するのか,という二つの方向性の選択は,非常に重要な問題となる。この選択によって特に変化する可能性があるのは,スタッフに関する問題である。アメリカ型の強固な組織を作り上げることを考えるなら,専任のスタッフをおいて,活動を今以上に活性化させる必要があるし,日本型の形態を維持することを考えるなら,小規模な事務局で交渉を続けていくことになるだろう。


現状では,国大図協が専任スタッフの雇用を視野に入れた議論を行ったうえで,もう数年はボランティアベースで活動することを決定している。電子ジャーナル・タスクフォースほどの規模になると,ボランティアで活動していくのは,構成員にとってはかなり負担になる。しかし,現段階では,専任スタッフに移行して独立した事務所を持つというのは難しいと判断された。今後の方向性として,専任スタッフによる業務遂行という形態が選択される可能性は十分にある。医図協に関しては,ほとんどの交渉がトップに集中している形になっているので,“医図協の中に雑誌委員会みたいなものをつくっていって,今度委員を決めて持ち回りでやろうと考えている。理事会でそういう委員会をつくることまでは決まっている。来年に向けて組織化する段階にきている”[医図協]という状況である。


 しかし,米国型と日本型のどちらの形態を選択するにしても,出版社との価格交渉は今後も続けざるを得ない。学術情報流通をどのようにサポートするのか,出版社との関係をどのように維持していくのか,ということを常に考えていくしかない。価格交渉に関して,彼らが現段階で具体的な目標として掲げているのは多年度契約である。単年契約と比較して,かなり安定性が増すことになるため,国大図協や医図協・薬図協では,できるだけ早く多年度契約を実施したいと考えている。また,国大図協では,“各大学が個別に契約するのではなく,第三者機関が出版社と交渉,契約して,大学図書館はその機関と契約することによって多くの出版社と契約したことになるというシステムもできるはずだ”[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]という発想も持っている。



3.6.2 コンソーシアム間の連携


 医図協と薬図協との連携はうまく行っている例であるが,それぞれに他のコンソーシアムとの協力・連携に関してたずねたところ,様々な立場や意見が混在しているようであった。例えば,他のコンソーシアムの設定した価格を交渉の材料として,自コンソーシアムに有利な数字を導き出すという戦略が考えられる一方で,他のコンソーシアムに先に高価格で契約されてしまうと,自コンソーシアムの交渉の妨げとなるパターンも考えられる。戦略に利用するかどうかは別として,複数のコンソーシアムが並存している状態でよいのではないかと考えるところもあれば,交渉の妨げとならないように,他のコンソーシアムとの連携をとるべきだと考えているところもある。コンソーシアム参加館の規模が著しく異なる場合,それだけ交渉が困難になる。特に,日本の場合は,国大図協のように組織的な枠組に基づくコンソーシアムと領域に基づくコンソーシアムがあり,規模も契約のありようも全く異なっている。それを考えると,他のコンソーシアムとの連携は,口で言うほど簡単ではないという認識は共通したものとしてあるようだ。


それと関連して,ナショナルサイトライセンスに関してもコンソーシアムの中心となっている人たちの頭には常にある。医図協などでは,出版社からナショナルサイトライセンスのプロポーザルがすでに提出されているそうである。しかし,現状ではナショナルサイトライセンスのプロポーザルにある価格を参加館で割った金額と,今の40数館が入っている金額を比較したとき,後者のほうが安い。あと10館くらい参加館が増えれば,前者のほうが安くなる計算になるが,現状では高額なサービスのほうに切り替える必要性がそれほどない,ということになる。ナショナルサイトライセンスに問題があるというよりは,単純に金額的な比較から現状やっていないということである。国大図協でも,国立情報学研究所で予算をとってナショナルサイトライセンスをとったらどうかという話題は出たようである。しかし,“各大学共通の利益という理解であれば、各大学から予算を吸い上げて一ヵ所に配分して対処することになりかねない。それでは困るので,まず概算要求をして各大学に予算をつけてもらい,各大学が買いたいものを買って,皆でコンソーシアムを作ったほうがいいということに”[電子ジャーナル・タスクフォース・事務局]なり,結局その構想は実現されなかった。また,国立情報学研究所が始めたOUPのサービス(平成16年2月でサービス中止)はナショナルサイトライセンスで契約した例であるが,国立大学も私立大学も含めて印刷版雑誌の購読を中止した分を補填するよう出版社側から要求があったようである。ナショナルサイトライセンスであるが故にかなり高額の費用が要求されるというのが現実であり,簡単には実現できない。さらに,ナショナルサイトライセンスは国家予算で対応することになるので,“政府から急に予算を打ち切られる危険性も考えないわけにはいかない”[電子ジャーナル・タスクフォース・事務局]ということであった。



3.6.3国立国会図書館に対する期待


電子ジャーナルの導入がここ数年急速に進んだのは,コンソーシアムの活動によるところが大であるが,電子ジャーナルの普及が進んでいくと,電子ジャーナルの問題点として指摘されているアーカイブに関する議論が活発になることが予想される。2章の最後にもあるとおり,現在のところ,現場の図書館ではアーカイブ事業に関する意識は薄いものの,コンソーシアムではアーカイブ問題は考えなければならない課題として意識されている。それは例えば次の発言にみることができる。



商業系出版社は統合したり倒産したりするので,図書館サービスとして考えた場合,公的な機関で押さえておくべきだという話はある。教員の中にも,冊子は残るが電子ジャーナルは将来どうなるかわからないという危惧を示す先生がいる。その際,「公的機関にきちんとしたアーカイブがあるので大丈夫だ」と言えるようにしなければならない。[電子ジャーナル・タスクフォース・事務局]



国大図協,国立情報学研究所と出版社がアーカイブに関する議論を行った結果,国立情報学研究所がNII-REOという事業を立ち上げた。



NIIのほうで概算要求をしてREOという器を作ってもらい,コンソーシアムのほうでアーカイブファイルをREOにおいて欲しいという申請をすると,NIIがそれを受け入れるという形になっている。[電子ジャーナル・タスクフォース・事務局]



国大図協はNII-REOによってアーカイブ問題の部分的な解決に至ったと言える。


一方,医図協や薬図協では,冊子体の保存に関する危機意識が強い。国立国会図書館に対しては,主題分野が重なっていないこと,医学系雑誌のバックナンバーの受け入れに消極的であった経緯などから,その存在を強く意識してはいない。しかし,コンソーシアム外に保存の機能を求めるとすると,国立国会図書館が視野に入ってくる。



 アーカイブ的な保存図書館的なデポジット・ライブラリーを別途持つということであれば医学図書館関係はすごく助かる。いろんなものを皆重複して持っていてしかも満杯で,どこか1カ所持つところがほしい。その調整ができないから目をつぶって捨てている状況だ。[医図協]



 冊子体という現物から受ける印象は電子媒体には代えられない部分がある。一方,電子媒体で間に合う情報もたくさんある。主要なものは電子ジャーナルがあってもオリジナルはとっておきたい。しかし,ほとんどのバックファイルがアーカイブ化されたらかなり捨てることになる。ただ,そうなっても国で現物を一部は保存しておいてほしい。[医図協]



オリジナルを保存しておきたい希望はあるものの,保存のために膨大な賃貸料がいることになれば,結局捨てざるを得なくなるし,電子ジャーナルのバックファイルがアーカイブ化されるようになれば,いくら現物がいいと言っても,捨てる方針に切り替えざるを得ない。そのような状況になると,医図協自身で保存できないとすれば,必然的にコンソーシアムより上位の機関,日本であれば国立国会図書館が保存先として浮かび上がってくる。また,医図協では,バックアップ以外にも国立国会図書館に対する期待はあり,“バックアップ機能に加えて,新しい機能,患者図書館とでもいうべきものを期待している”という意見が出された。


それに対して,京阪奈ライブラリーコンソーシアムは,現段階で他団体ほどアーカイブ問題を意識していないようであった。これはコンソーシアムの設立経緯に起因するものであると思われる。すなわち,京阪奈ライブラリーコンソーシアムは企業と大学の地域的な連合を目的として設立されたものであるため,電子ジャーナル導入が主たる目的のコンソーシアムとは位置づけが異なるからである。彼らが意識しているのは地理的な側面で,近距離に位置する国立国会図書館関西館に対して,利用者に直接来館を勧めることができることをメリットとしてあげている。


以上のように,各コンソーシアムが国立国会図書館に対して抱く認識や距離感はそれぞれ異なっている。バックアップ機能に関連して言うなら,国立国会図書館が収集すべき資料の内容に関して完全に相反する意見が存在した。一つは,国立国会図書館には国内の資料を網羅的に収集して欲しいという要望である。外国の資料であれば,各国の図書館に依頼すれば入手できるのであるし,国立国会図書館と比較して,価格が特別高いとか,届くのが特別遅いというようなことはないから,というのが理由であった。納本制度があるのだから国内資料の充実を,という趣旨の発言である。それに対して,外国の資料は“国が平和なときはいいが,一端こじれると使えなくなる。そういう時にどう保証するかを国レベルで考えておく危機管理の発想が必要だ”[医図協]とする意見もあった。


このように,様々な立場や状況によって国立国会図書館に対する認識が異なるが,最終的には国立国会図書館を俗に言う「最後の砦」として期待していることがわかる。それは国大図協でも同じ認識を持っている。このことを示す言及を引用して,この章の終わりとする。



国立情報学研究所は共同利用機関として大学連携のコアになる組織である。アーカイブなど,どこかの大学が代表してやるということが難しいプロジェクトを実施してもらえることを期待している。また,それぞれの大学の情報を基幹サーバ内にメタデータとして持っておいてほしい。もしかしたら,こういうことはNPOがやれることかもしれないし,国立大学が投資できるような時代になれば,NPOにお金を投資して,そこが自立的に事業として進めることができるようになるかもしれない。


それに対して,国立国会図書館はいろんな意味で学術情報の「最後の砦」だ。ソフト基盤とハード基盤の両方を持っているということで国立情報学研究所とも役割が違う。コンテンツをもっているところが重要だ。スタッフを920人も持ち,コンテンツも自分で持っている国立国会図書館の役割は大きい。国立国会図書館にあるということは,全国民に,かつ世界に開かれていると考えてよいものだ。[電子ジャーナル・タスクフォース・主査]


4. オープンアクセス型アーカイブの現状と図書館の役割 / 松林 麻実子

  • 参照(20749)

4. オープンアクセス型アーカイブの現状と図書館の役割


 学術情報流通の電子化が進展している現状において,従来の学術情報流通システムに制約を受けない形の「新たな」情報メディアが出現してきた。物理学分野において利用されているe-print archiveなどがその典型である。これらのメディアの特徴は,それを介することで学術情報の流通が研究者間で直接的に行われ,従来の流通システムの根幹を支えていた出版社や図書館などを想定しない情報流通が可能になるという点である。


では,そのような情報メディアの出現に対して,図書館はいかなる態度をとるべきだろうか。本章では,その点について考察するために,オープンアクセス型アーカイブの現状を概観するとともに,諸外国の国立図書館がそれらのメディアについてどのような態度をとっているのか,ということに関する調査結果を報告する。その上で,国立図書館がオープンアクセス型アーカイブに対していかなる関与の仕方をすればよいのか,について論じるものとする。



4.1オープンアクセス型アーカイブの概要


 先に触れたように,近年,学術情報流通における新しい仕組みを持ったメディアが出現しはじめている。これらは,既存の学術情報流通における問題点−価格高騰,投稿から発表までのタイムラグ−を解決するための試みとして開始されたものである。本節では,このような情報メディアの代表的な例として,e-print archive,PubMed Central,Public Library of Science,DSpaceの4つを取り上げ,どのようなメディアで,どのような利用者が,どのように利用しているのか,ということについて概観する。なお,通常オープンアクセス雑誌やオープンアクセス出版という場合には,既存の大手商業出版社を介さない新たなジャーナルの刊行を意味することが多い。しかし,ここではどのような種類のメディアであれ,結果的に誰でも自由にアクセス可能であるアーカイブ全般を「オープンアクセス型アーカイブ」と総称し,それらを対象として議論を展開する。



4.1.1 e-print archive(http://arxiv.org [6])


 e-print archiveとは,“電子化されたプレプリント(刊行前雑誌論文)を蓄積し提供しているコンピュータのサーバー”(倉田ら,2000)のことであり,その定義には広義のものと狭義のものの二種類が存在している。広義のe-print archiveとは,特定の機関が発行したり受け入れたりしたプレプリントを電子化し,その全文を入手できるようになっているものである。これは,後ほど4.1.4で触れる機関レポジトリに通じるものだといえよう。それに対して,狭義のそれは,著者としての研究者が直接プレプリントを登録し,利用者としての研究者がサーバにアクセスすることでプレプリントの全文を入手することができるようになっているものである。ここに分類される代表的な例は,1991年にギンスパーグによって始められたarXiv である。サーバ設置当初は,米国ロスアラモス研究所によって運営されていたが(当時http://xxx.lanl.org [7]),その後コーネル大学に移管している。arXiv は全世界にミラーサイトを持っており,日本にも,京都大学基礎物理学研究所が管理しているものが存在する(http://jp.arxiv.org/ [8])。なお,e-print archiveは一般的にはプレプリントサーバとして認識されているが,arXiv には,一部ポストプリントも登録されている。


ISI-ThompsonはWeb of Scienceにプレプリントやe-print archiveの引用を含めるようになり,米国化学協会はChemical Abstractにおいて,選択的にではあるが,arXiv のファイルを索引の対象とし始めている(Kenneth &Carriveau, 2001)。2001年の段階ですでに,研究者集団における情報源としての認識は,ある程度確立しつつあったということが言えるだろう。


 arXiv をはじめとするe-print archiveの利用動向を調査したものは実はそれほど多くないが,調査結果を確認してみると,どれも類似した傾向にあることがわかる。例えば,日本の物理学研究者に対して倉田らが行った調査では,1999年,2003年ともに利用者は全体の3割程度にとどまっている(倉田ら,2000/松林・倉田,2003)。この割合は,欧米の研究者が行った調査においても,それほど増減していない。すなわち,e-print archive利用者は,物理学分野全体に広がっているというよりはむしろ,特定の利用者集団を想定可能である,ということである。利用者集団が持つ特徴としては,素粒子論や宇宙論,高エネルギーなど限定された研究領域に所属していることがあげられる。


e-print archiveは出現した当初,新しい形態の電子メディアとして非常に注目された。それは,このメディアがこれまでの学術情報流通システムの基盤となってきた出版社や図書館を介在させずに,研究者間の直接的なコミュニケーションを可能とする仕組みを持っていたからである。e-print archiveが数年のうちに学術雑誌を凌駕するのではないか,という推測も,少なからぬ人数の研究者によってなされていた時期があった。


 しかし,e-print archiveの利用実態を見ると,このメディアが急激に普及するということはどうもないようである。先に触れた日本国内の利用実態調査でも,利用者の割合は全く変化していなかった。そして,利用者のメディア利用行動を詳細に分析しても,彼らはやはり学術雑誌の利用(読み・投稿)を前提としてe-print archiveを利用しているように見える。e-print archiveが学術雑誌に取って代わる,というような事態は,少なくとも現段階では想定できない。また,時期的に少し古いものではあるが,1997年段階でのarXiv登録論文の学術雑誌受理率をみると,最低18.1%,最高では81.0%もの論文が学術雑誌に受理されている(高島,2000)。特に,arXiv の中核を成すhep-ph,hep-thでそれぞれ6~7割が受理されている。すなわち,arXiv に登録されている論文のかなりの割合は,学術雑誌にも掲載されている,ということである。


このように学術雑誌への受理率や利用者の行動を見てみると,e-print archiveは学術雑誌の代替メディアというよりむしろ,学術雑誌と類似した内容をより早く,よりオープンな形で見ることができるもの,という位置づけであることがわかる。


 


4.1.2 PubMed Central (http://www.pubmedcentral.nih.gov/index.html [9])


PubMed Centralは,国立医学図書館が作成している医学・ライフサイエンス関係の学術雑誌を対象としたデジタル・アーカイブである。参加できるのは,MEDLINEやEMBASEなどの主要な索引サービスの採録誌であるか,編集委員会にNIHなどの主要な非営利機関が助成する研究プロジェクトの主査が3人在籍しているような雑誌のいずれかである。出版社は,雑誌の最新号をデータの状態で納付する。データ提出の形式も厳密に決定されている(論文テキストはSGMLないしはXMLのタグつき,図については解像度の高いオリジナルの画像ファイル)。出版社は,一定期間(通常1年以内)コンテンツのアクセスを制限することができるが,その期間を過ぎれば半永久的に誰でも利用可能な状態になる。PubLinkとラベル付けされた論文に関しては,閲覧に制限があり,当該の雑誌が運営するサイトのみで見ることができる。ただし,これも一定期間を経過すれば,PubMed Centralのサイトで直接見ることができるようになる。2003年5月の時点で,120誌以上の雑誌論文およそ10万件が収録されている。PubMed/MEDLINEデータベースの利用者は,PubMedの抄録から直接PubMed Centralのフルテキストページに飛ぶことができる。



4.1.3 Public Library of Science(http://www.publiclibraryofscience.org/ [10])


Public Library of Science(以下,PLoSと表記)とは,学術情報に対するオープンアクセスを主張する医学・ライフサイエンス領域の研究者の集団である。2000年8月に,学術出版社に対して,彼らのコンテンツを出版後6ヶ月で一般に公開するように促した。この行動は,PubMed Centralへの支援という形で位置づけられる。さらに,研究者に対してはそれらの要求を満たさない学術雑誌ボイコットを呼びかけることも行った。Web上で署名を呼びかけ,2001年半ばの段階で172ヵ国から28,000以上,最終的には175ヵ国30,000人近い署名が集まったと言われている(Brower,2001;Albanese,2002)。


それに加えて,PLoSは学術研究を無料で流通させるための非営利出版イニシアティブの開始を発表した(2001年8月)。これは,自ら電子ジャーナルを創刊するということを意味しており,これは,先のPubMed Centralへの支援とは明らかに違う方向性を持っている。この時期に,PLoS内部において方針の転換が行われたといっていいだろう。この新たな活動は,2003年10月のPLoS Biologyの創刊で具体化している。さらに,2004年秋には2冊目の雑誌であるPLoS Medicineが刊行される予定となっている。



4.1.4 DSpace(https://dspace.mit.edu/index.jsp [11])


 機関レポジトリとは,特定の機関が組織内部において生産された各種学術情報を収集し,蓄積,索引作成,保存,再頒布を行うシステムのことを指す。機関レポジトリがどれくらい存在しているか,という全体像や規模を知ることは難しいが,一つのデータとして,e-prints.orgが公開しているInstitutional Archives Registryを見てみると,2004年4月現在,155のレポジトリが登録されている(日本では,北海道大学理学研究科数学専攻と東京工業大学理工学研究科情報通信システム講座ネットワーク構成分野のものが登録されている)。


DSpaceとは,マサチューセッツ工科大学がヒューレット・パッカード社と共同で開発したアーカイビングのためのソフトウェアである。同種のソフトウェアは複数存在するが, DSpaceはそれらの代表的存在と言えるだろう。2002年11月に稼動を開始しており,マサチューセッツ工科大学をはじめ,コロンビア大学,コーネル大学,オハイオ州立大学などが利用している。前出のInstitutional Archives Registryではソフトウェア別のカテゴリ分けがされており,DSpaceのカテゴリには最も多い26機関が登録されている。


DSpaceでは,収集対象となる学術情報に,学術論文だけでなく,講義用資料や個人のホームページで公開している資料のアーカイビングなどまで,多種多様な形態のものを含んでいる。アーカイブされた資料はGoogle等のサーチエンジンでも検索可能なので,ここにアーカイブされた資料は,ある意味全世界に対して開いているということもできる。



4.1.5 学術情報メディアとしての新奇性


前項までで紹介した各種のオープンアクセス型アーカイブは,それぞれ多様な仕組みや性質を持っているが,そのどれもが既存の学術情報流通システムを変容させるか否かという点において注目されてきた。中でも近年最も注目されているのは,PLoS Biologyに代表されるオープンアクセス型雑誌であり,学術情報流通に際して発生する費用を著者が負担するという形態が成功するか否か,というところに焦点があてられている。


しかし,ここでは,これらのメディアの性質や将来性を議論するのではなく,新たに出現してきたこれらのメディアに対して国立国会図書館がとるべき態度について考察する。「態度」という語には,利用者に対してメディアの存在をアナウンスし,同時にアクセスを保証する,ということと,アーカイビングを行う,という二つの意味を持たせている。すなわち,国立国会図書館はオープンアクセス型アーカイブの存在をアナウンスすべきか否か,アーカイビングを行うべきか否か,という点について考えていくということである。この点について考える際に重要であるのは,これらのメディアが形式的及び内容的な側面から見たときに「新しいメディア」であるかどうか,である。


本章で着目している情報メディアは,どれもオープンアクセスを可能にしているものである。その意味ではこれまでの学術情報メディアとは異なる「新しいメディア」である。言葉を換えれば,「形式」の側面において新しいメディアである,ということができるだろう。これらのメディアは,インターネットを利用できる環境さえ確保すれば,図書館サービスを経由することなく利用可能なものである。したがって,一見,その利用プロセスに国立国会図書館が関与する必要性はないかのように見える。しかし,オープンアクセスという性質を持つものであるからこそ,国立国会図書館は利用者に対してその存在を知らせていく必要があると考える。大学や大規模な研究所に所属する研究者でなければ,これらのメディアの存在を知る機会はそれほど多くないはずである。そうだとすれば,利用者は,国立国会図書館のサービスを通してはじめて,新たなメディアに対する知識,情報入手の手段を獲得できることになるからである。


それに対して,次にそれらをアーカイビングする必要性があるかということについて考えたい。この場合,今度はそれらのメディアが「内容的に」新しいメディアであるかどうか,ということを考えなければならない。これは,既存の図書館資料(=学術雑誌)から独立しているものであるかどうか,と言い換えてもよい。


その観点から見たとき,結論としては,ほとんどのデータが学術雑誌を前提としたものであり,内容という側面から判断したときには,新しいメディアではないということになる。例えば,e-print archiveは,学術雑誌に投稿する前段階の原稿を登録したものという位置づけができる。もちろん,学術雑誌に掲載される前に査読等を経ることで内容に変更が加えられる可能性も高い。しかし,正式な科学技術情報として流通しているのが変更後の学術雑誌のほうである以上,その前段階のe-print archiveについて図書館がアーカイビングすることに,緊急性や重要性があるとは言いがたい。また,ポストプリントを登録しなおす例もあり,それまで含めれば,さらに既存の学術雑誌と内容的に重複することになる。さらに言えば,e-print archiveは数多くのミラーサイトをすでに持っており,国立国会図書館があらためてアーカイビングを行う必要性は限りなく低い。PubMed Centralの場合は,さらにその傾向が顕著である。なぜなら,PubMed Centralが行っているのは,新たな情報を生み出すことではなく,既存の学術情報をオープンアクセス化すること,すなわち「形式」を変換することだからである。ただし,米国医学図書館は他の非営利アーカイブが自らの環境と設備を活かしてPubMed Centralのアーカイブをコピーすることを推奨している,という言及もあり(Sequeria et al., 2003),医学・ライフサイエンス領域のアーカイブとしてミラーサイトを持ちたいという希望があるようである。


「内容」の側面で「新しいメディア」であると言えるのは,PLoSが新たに刊行したオープンアクセス雑誌のPLoS Biologyである。これは,新たな学術雑誌としてとらえることができるだろう。必要に応じてアーカイビングを行い,ミラーサイト的な役割を担うことができれば,利用者の助けになるのでないかと思われる。テクニカルレポートなどはこれまできちんとした形で提供されてきていないため,機関レポジトリも一部の内容に関しては新しいということができる。しかし,機関レポジトリがネットワーク上にどのくらい存在しているのか,という全体像が明らかになっていない以上,どの機関レポジトリを収集対象とするのか,というアーカイブの基準を定められない。したがって,機関レポジトリをアーカイビングの対象とするのは難しいだろう。


以上から,近年次々に出現している新たなメディアと呼ばれるものは,アクセスの保証という点においては,国立国会図書館が積極的な態度をとるべきであるが,アーカイビングという観点から言えば,慎重な議論が必要であることがいえる。オープンアクセスのアーカイブはどれも発展途上であり,全面的に依拠してサービスを展開するには基盤が弱いという印象がある。だとすれば,既存の学術雑誌を切り捨ててオープンアクセスのものに全面移行する,という発想は採用しにくく,結果的に新しいメディアも意識にはとどめつつ,既存のメディアとのバランスをとって収集・提供していくほかない,ということになる。さらに,アーカイビングを行う場合であっても,イメージとしては,まとめて全部持ってくる,というWebアーカイビング的発想ではなく,それぞれのメディアに対するミラーサイトを作成するという方向性が支持されるものと思われる。それぞれのメディアを提供している組織との交渉が必要となるであろう。



4.2諸外国の国立図書館のオープンアクセス型アーカイブに対する姿勢


 国立国会図書館がオープンアクセス型アーカイブに対して果たす役割を考えるために,本節では,諸外国の国立図書館及び科学技術文献を専門に扱う機関が,電子メディアのアーカイビングに関して,どのような態度をとっているか,ということに関して報告する。ここで問題にしているメディアは,既存の学術情報流通システムにのらないものであるという点とともに,電子メディアである点においても,従来の図書館が扱ってきた資料とは異なる性質を持つ。ここでは,両方の観点を同時に議論するために,電子メディアの典型である電子ジャーナルについて,諸外国がどのように取り扱っているか,をまず明らかにし,それとの比較を通じて,オープンアクセス型アーカイブに対する姿勢を論じるものとする。



4.2.1調査方法・対象


 2004年2月に,欧米及びアジアの国立図書館・科学技術情報を扱う機関に対して,質問紙調査を行った。回答機関は12機関であり,具体的館名は以下の通りである。



(1) 米国医学図書館(Natinonal Library of Medicine)


(2) 米国農学図書館(National Agricultural Library)


(3) カナダ国立図書館(National Library of Canada)


(4) カナダ国立科学技術情報機関


(Canada Institute for Scientific and Technical Information)


(5) 英国図書館(British Library)


(6) ベルリン国立図書館 (Die Staatsbibliothek zu Berlin)


(7) フランクフルトドイツ図書館(Die Deutsche Bibliothek)


(8) ハノーヴァー大学技術情報図書館


(German National Library of Science and Technology / University Library Hannover)


(9) スウェーデン王立図書館(Kungl. biblioteket)


(10) オーストラリア国立図書館(National Library of Australia)


(11) 中国国家図書館(National Library of China)


(12) 韓国国立中央図書館(National Library of Korea)



 調査項目は,(a)電子ジャーナルの扱いについて(提供,目録,全国書誌への掲載,法定納本制度との関連,アーカイビング),(b)SPARCについて,(c)PLoS Biology及びe-print archiveについて,(d)機関レポジトリについて,(e)PubMed Centralについて,である(付録E参照)。



4.2.2電子ジャーナルに対する姿勢


 近年の電子ジャーナルの普及は著しいものがある。ここでは,国立図書館などの諸機関の電子資料への親和性を確かめるために,電子ジャーナルに対して,冊子体の資料と同じ扱いをしているのかどうかということを確かめた。結果としては,電子ジャーナルの提供に対しては,ほぼ冊子体の資料と同様の発想で業務が進められていることがわかった。ただし,電子媒体の資料を扱うためには,法律的な側面などクリアすべき問題が山積している状態であり,彼らが問題に対処している様子を回答から読み取ることができる。その問題はここでの本題から離れてしまうため,触れないでおく。回答に関しては,付録Fに添付するので,参照願いたい。



4.2.3オープンアクセス型アーカイブに対する姿勢


オープンアクセス型アーカイブについて,(1)既存の流通システムにのらないアーカイブ,(2)機関レポジトリ,(3)既存の流通システムの下で一旦出版されたアーカイブをオープンアクセス化したもの,に分類し,それぞれに対して,収集対象だと考えているか,実際に提供を行っているか,アーカイブを自館で作成しているか,という観点から各図書館の対応を整理する。



4.2.3.1既存の流通システムに基づかないアーカイブ


ここでは,e-print archiveやPLoS Biologyのように,研究者間の直接的コミュニケーションに基づく情報メディアを想定し,それらを各図書館が図書館資料として認識しているのかどうかについて明らかにした。


 新しいシステムに基づく学術情報を収集対象だと考えるか,という設問に対して,12機関中5機関が「収集対象である」と回答した。「収集対象ではない」と答えたのが6機関,「無回答」が1機関であった。収集対象である,とした5機関のうち,米国農学図書館,フランクフルトドイツ図書館,ハノーヴァー大学技術情報図書館及びスウェーデン王立図書館の4機関は,“職務の中にそのようなイニシアティブに関する情報流通が含まれている”ないしは“メディアのタイプに関わらず,利用者に適した主題分野であれば収集する”といった言及をしていた。英国図書館のみは,“従来の価格モデルで出版されたジャーナルの収集と同じように,オープンアクセス・ジャーナルを収集できるよう,オープンアクセス出版社と交渉中である。”という表現をしていた。カナダ国立図書館はPLoS Biologyのような学術情報は「収集対象ではない」と答えたが,その代わりにカナダの全てのオンライン出版物を自らのレポジトリで収集・保存し,出版社が無料(もしくは条件付)アクセスを許可しているものについて,アクセス可能な状態にしてあることを述べていた。


 実際に収集しているものと提供形態をたずねたところ,それぞれ次のような回答であった。米国農学図書館では,フリーアクセスのジャーナルであれば,それらをデジタル図書館DigiTopのインターフェース上でリスト化して提供している。フランクフルトドイツ図書館では,1998年以降,オンラインの学位論文とポスト博士論文を収集している。2001年9月以降は,学位論文の永続識別子(Persistent Identifier)を授与し管理するサービスを構築している。これは,むしろ機関レポジトリに近いシステムではないかと思われる。ハノーヴァー大学技術情報図書館は,アーカイブに対してリンキングをしている。スウェーデン王立図書館では,学術コミュニケーションの範囲内(会議発表,webページ,電子メールリストなど)で興味深い重要な開発を扱ったものは全て扱っているとのことである。



4.2.3.2機関レポジトリ


 機関レポジトリを収集対象と考えるかどうか,という質問に対しては,回答が二手に分かれた。12機関中,「収集対象である」と回答したのは5機関,「収集対象ではない」と回答したのが6機関,無回答が1機関であった。その理由として,「収集対象である」と回答した機関は,そのほとんどが“フォーマットやメディア等に関わらず,収集対象とする学術情報についてアクセスを提供する責任がある”ということをあげていた。スウェーデン国立図書館では,機関レポジトリのアーカイブ機能を担う計画が進んでいるようである。逆に,「収集対象ではない」と回答した機関では,“法定納本によって全てのカナダのオンライン出版物を収集することは,機関レポジトリのようなものとはパラレルな関係にある独自のシステムで動いている”(カナダ国立図書館)であるとか,“機関レポジトリはOpen Archive Initiativeのもとに自由なアクセスが提供されるべきである”(カナダ国立科学技術情報機関),“機関レポジトリは,構築した大学がレポジトリ内の資源を保存しアクセスを提供する責務を負うことになるのではないか”(オーストラリア国立図書館)などの理由があげられた。


 具体的な収集範囲をたずねたところ,回答があったのは2機関のみであった。フランクフルトドイツ図書館では“約2万件の学位論文と博士論文”,ハノーヴァー大学技術情報図書館では,“6,770,000電子文献へのアクセス,11,000電子文献(レポート,学位論文)の所蔵”という回答であった。




4.2.3.3一旦出版されたものをオープンアクセス化したアーカイブ


 ここでは,PubMed Centralのようなアーカイブを想定し,彼らが米国医学図書館と同様の活動を考えているかどうかについて確認をした。


12機関中3機関が「構築している」,8機関が「構築しない」,1機関が無回答であった。「構築している」と回答したのは,米国医学図書館,カナダ国立図書館,ハノーヴァー大学技術情報図書館,の3機関である。米国医学図書館はPubMed Centralを構築している主体である。カナダ図書館・公文書館では,“相互貸借プログラムによって,オンラインコレクションを含む全コレクションの文献を流通させている”とのことである。ただし,あくまでもカナダの国レベルのネットワーク内に限定される。また,相互貸借可能かどうかは,(1)多様なデータベースやオンラインジャーナル,オンライン出版物の購読・収集に関するライセンス契約の内容,(2)カナダ図書館・公文書館に納本したオンライン出版物を完全に無料で提供するか,あるいはアクセスを制限するか,ということについての出版社の決定,という二つの条件による。ハノーヴァー大学技術情報図書館では,ドキュメントデリバリーによる提供を行っている。オンラインドキュメントは,ライセンス契約で可能な場合に提供している。カナダ国立図書館とハノーヴァー大学技術情報図書館が行っているのは,どちらも自国の図書館ネットワーク内におけるデータレベルでのドキュメントデリバリーであり,PubMed Centralのような提供形態,すなわち利用者が自由にアクセスできるという意味でのオープンアクセス化が行われているわけではないようである。


 このような流通システムの構築が任務に含まれているかどうか,についてたずねたところ,「含まれる」が3機関,「含まれない」が3機関,残りの6機関は無回答ないしは「わからない」であった。無回答には,先の質問で「構築している」と答えた3機関も含まれている。この設問で「含まれる」と回答したのは,米国農学図書館,フランクフルトドイツ図書館,オーストラリア国立図書館,の3機関である。米国農学図書館では,“AGRICOLAデータベースの利用者が索引のとられた文献の全文に,可能な限りシームレスに到達できるようにしたい”と考えている。理想的には,URLリゾルバーのようなツールを使って,他の出版機関が作成した全文をわが館が蓄積する必要がないようにするつもりだ”という将来の方向性が語られた。フランクフルトドイツ図書館でも,やはり将来的な展望が述べられており,“今まで,「動的な頒布」や「二次的出版」は第一目的ではないとみなしてきた。2006年の稼動を予定している長期アーカイブは,配布とアクセスのための共同で協力的な基盤のバックボーンに向かって,徐々に開発していくべきである”という意見である。現段階である程度やっている,と答えたのはオーストラリア国立図書館である。ある程度という表現を用いたのは,“PANDORAアーカイブは,その中に商業的に出版された資料をいくつか含んでおり,元の出版社との契約期間の後に利用できるようになっている”からである。まとまった形でオープンアクセス化をしているわけではない。なお,同図書館では“Monashプロジェクトの一部として,オーストラリア国立図書館は無所属の学者のために機関レポジトリを開発する予定である。この機関レポジトリ中の資料は,レポジトリへの登録に加えて,他のチャンネルから紙媒体で出版される”という構想もあるようである。予定をしている,という表現を用いている3機関は,どれもPubMed Central的なオープンアーカイブをイメージしているようであることがわかる。


 現状では,PubMed Centralのようなシステムを実際に作っているところはない。しかし,今後の方向性という観点からいえば,いくつかの館では考慮していないわけではないという状況であった。



4.3オープンアクセス型アーカイブに対する図書館の役割


 前項において,諸外国の国立図書館及び科学技術情報を扱う機関がオープンアクセス型アーカイブに対して,どのような取り組みを行っているかということについて整理した。電子ジャーナルについてはどの館も等しく積極的に導入し,印刷版の学術雑誌とほぼ同様の扱い方をしているのに対して,オープンアクセス型アーカイブに関しては,様々な側面で意見が分かれることが明らかになった。また,電子ジャーナルについては実際に導入しているため,多くの問題が表面化してきているが,オープンアクセス型アーカイブに関しては,現段階で導入しているところが少ないために,導入に関する問題がまだ明確化していないという印象がある。


オープンアクセス型アーカイブの収集・提供という側面からいえば,それほど問題はない。アクセスの保証をしようとする傾向は,どの館にも等しく見られる傾向であった。それに対して問題視されていたのは,アーカイビング機能である。「アーカイブのアーカイブ」を行う方向性をとる,という立場がある一方で,それはナンセンスである,という立場も見られた。これは,それぞれのメディアを図書館がどうとらえているか,という意識につながる問題であり,それぞれの図書館によって考え方は異なっているようである。これは,オープンアクセス型アーカイブがまだ普及しきっていないということの表れだと考えられる。


しかし,4.1.5で論じたように,学術雑誌との差異がそれほどないものに対して,アーカイビングを行うということは緊急性,重要性を持たないこともまた確かである。それぞれのメディアを,図書館がどうとらえていくのか,ということについてさらなる議論が必要であり,一つ一つのメディアに関して,個別の状況に応じた議論を続けていく必要があるだろう。


 一方,米国医学図書館が行っているPubMed Centralのような活動は,近年のオープンアクセス雑誌の刊行という流れとは方向性が異なるものであるが,日本においては十分検討の余地のあるものだと考える。米国医学図書館はPubMedというデータベースを基盤として,PubMed Centralを成立させている。他機関が作成したアーカイブのアーカイブについてその是非を議論するのとは別の観点から,国立国会図書館のオープンアクセス型アーカイブとの関わりを考えるとき,米国医学図書館と類似したサービス展開の方向性があるのではないだろうか。利用度の非常に高い雑誌記事索引データベースを基盤にして,自国の文献をネットワーク上で提供できるようにする,という方向性は国立国会図書館が能動的なサービスを行っていくうえで,意義ある活動であると考える。




引用文献



Albanese A. Can public library of science grow? Scientists not following pledge, but librarians hope for attitude change. Library Journal. 127 (6), 2002, 20,22.


Brower V. Public library of science shifts gears. Embro Reports. 2 (11), 2001, 972-973.


Kenneth L. Carriveau, Jr. A brief history of e-prints and the opportunities they open for science librarians. Science and Technology Libraries. 20(2/3), 2001, 73-82.


Sequeira E, McEntyre J, Lipman D. PubMed central decentralized. NATURE. 410 (6830), 2001, 740.


松林麻実子,倉田敬子.“電子ジャーナル・e-Print archiveに関する物理学研究者の利用動向と評価”.2003年度日本図書館情報学会春季研究集会発表要綱.日本図書館情報学会,2003,55-58.


倉田敬子,松林麻実子.“第4章 物理学分野における傾向”.電子メディアは研究を変えるのか.倉田敬子編,東京,勁草書房,2000,99-138.


高島寧,倉田敬子.“第5章 E-print Archive”. 電子メディアは研究を変えるのか.倉田敬子編,東京,勁草書房,2000,139-171.


付録A. 資源配置調査 調査票

  • 参照(15165)

付録A. 資源配置調査 調査票



学術雑誌の配置状況に関する全国調査



◆御記入に当たっての注意◆


 1.中央館,分館,部局図書館・図書室に個別に調査票を送付しています。
館(室)ごとの数値
を御記入ください。分館等の分割集計が困難な場合は全体の数値をお答えの上,欄外にその旨注記してください。


 2.
雑誌業務の御担当者
が記入してください(ILL等他部署の担当事項は取りまとめをお願いします)。


 3.記入に当たっては,
黒ボールペン又はHB鉛筆
を使用してください。


 4.選択肢については,
設問によりお選びいただく数が異なります
ので,注意書きに従って間違いのないよう御記入ください。


 5.記入式設問については,
正確な数字が把握できない場合は概数を回答してください
。なるべく空欄にしないようお願いします。


 6.調査票に御記入の上,
平成16年2月6日(金)まで
に同封の返信用封筒にて返送してください。


 7.御回答いただく上で不明な点等がございましたら,下記までお問い合わせください。



◆問い合わせ先◆


  ◎本調査の内容について:

国立国会図書館関西館事業部図書館協力課調査情報係 竹内秀樹

Tel. 0774-98-xxxx Fax. 0774-94-xxxx E-mail. xxxxxxx@ndl.go.jp [12]


  ◎アンケートについて:

株式会社シィー・ディー・アイ 槇田盤/岡本一世

Tel. 075-253-xxxx Fax. 075-253-xxxx

E-mail. xxxxxxx@cdij.org [13] / xxxxxxxx@cdij.org [14]


  ※なお,この調査の実務的作業は,国立国会図書館との契約に基づき,株式会社シィー・ディー・アイが行います。


I.最初に貴館/貴室の概要について伺います。


問1.貴館/貴室が資料を収集されるに当たって主な収集対象としている学問分野を,以下の選択肢からお答えください。
当てはまる記号すべてに
○を付けてください。


a. 人文科学 b. 社会科学

c. 理学 d. 工学

e. 生物・医学 f. 特に決まっていない


問2.貴館/貴室が資料・情報の収集のために2002年度(2002年4月から2003年3月まで)の一年間に支払った経費の総額をお答えください。なお,この経費には資料の購入費だけでなく電子ジャーナルやデータベース等へのアクセス費や契約料を含み,図書館(室)運営費や人件費は含みません。


大学にあっては学長裁量経費など図書館予算の枠外で手当てされたものを含めてください。正確な数字が把握できない場合は概数を回答してくださっても結構です。なるべく空白にはしないようお願いします。1万円未満は四捨五入し,万円単位で記入してください(以下,同様)。


[        ] 万円


II.以下では
印刷体
として提供される雑誌について伺います。


問3.2002年度に
購入していた雑誌
のタイトル数とその総額をお答えください。なお,バックナンバーの購入は除きます。


大学図書館にあっては,「平成15年度大学図書館実態調査」のx{2161}個別事項のカードNo09のD図書・雑誌受入数(平成14年度)の(10)購入の和と洋の合計種類数とNo16のG経費の(b)雑誌の和と洋(継続・新規のみ)の合計金額を記入してください。正確な数字が把握できない場合は概数を回答してくださっても結構です。


[        ] タイトル

[        ] 万円


問4.そのうち
科学・工学・医学系学術雑誌
のタイトル数とその総額をお答えください。厳密な回答は困難と思われますので,雑誌の分類は回答者がおおまかに判断し,概数で御回答くださるようにお願いします。


概数の回答が著しく困難な場合は,雑誌全体のタイトル数に占める科学・工学・医学系学術雑誌のおおまかな割合を御回答ください。この場合には金額は回答しないで結構です。


[        ] タイトル 又は [    ] %

[        ] 万円


問5.さらに
科学・工学・医学系学術雑誌のうち洋雑誌
(中国語・韓国語を含まない)のタイトル数とその総額の概数をお答えください。


概数の回答が著しく困難な場合は,科学・工学・医学系学術雑誌のタイトル数に占める洋雑誌のおおまかな割合を御回答ください。この場合には金額は回答しないで結構です。


[        ] タイトル 又は [    ] %

[        ] 万円


問6.2003年1月から2003年12月の間に
新規に購入を開始した雑誌
のタイトル数,そのうち科学・工学・医学系学術雑誌のタイトル数,科学・工学・医学系学術雑誌のうち洋雑誌のタイトル数をそれぞれお答えください。


雑誌の新規購入 [        ] タイトル

うち科学・工学・医学系学術雑誌 [      ] タイトル

 うち洋雑誌(中・韓国語含まず)  [      ] タイトル


問7.2003年1月から2003年12月の間に
購入を中止した雑誌
のタイトル数,そのうち科学・工学・医学系学術雑誌のタイトル数,科学・工学・医学系学術雑誌のうち洋雑誌のタイトル数をそれぞれお答えください。


雑誌の購読中止 [        ] タイトル

うち科学・工学・医学系学術雑誌 [      ] タイトル

 うち洋雑誌(中・韓国語含まず)  [      ] タイトル


III.以下では電子媒体として提供される雑誌,いわゆる電子ジャーナルのうち
外国の出版社(含む学協会)が発行するもの
について伺います。組織全体に対して提供される電子ジャーナルに関して
中央館のみが御回答ください
。分館・部局図書館(室)は問8から問11までは回答なさらず,5ページの問12から回答を再開してください。


問8.本年度(2003年12月31日現在)に
契約している電子ジャーナル
のタイトル総数とその総額をお答えください。なお,印刷体の購読によって無償で提供される電子ジャーナルは,タイトル数に含めますが総額には含めないものとします。


[         ] タイトル

[         ] 万円


問9.主要な電子ジャーナルごとの契約状況を伺います。本年度,契約している電子ジャーナルの
番号に
○を付けてください。また,1〜6については,パッケージの名称あるいは契約モデルで
該当するものすべてに
○を付けてください。タイトル数の記載欄があるものについては契約タイトル数を御記入ください。


1. Science Direct


a.Complete[        ]タイトル

b.Limited [        ]タイトル

c.Freedom

d.Subject [分野名: ]


2. Blackwell Synergy


a.STM b. SSH


3. EBSCOhost


a.Academic Search Elite b. Business Source Elite c. Professional Development Col.

d.その他 [  ]


4. JSTOR


a.Arts & Sciences I b. Arts & Sciences II c. Arts & Sciences III

d.Business e.> g.General Science h. Mathematics & Statistics


5. ProQuest


a.Medical Library b. Health & Medical Complete c. Health & Medical Bundle

d.Academic Research Lib. e. ABI/INFORM (Select/Research/Global/Complete)

f. その他 [  ]


6. IEEE


a.ASPP Online

b.その他 [ ]




7.OCLC ECO [        ]タイトル


8.Springer Link [        ] タイトル


9.Kluwer online [        ] タイトル


10.Wiley Interscience [        ]タイトル


11.High Wire [        ] タイトル


12.AIP [        ] タイトル


13.ACS [        ] タイトル


14.その他(          ) [        ] タイトル


15.その他(          ) [        ]タイトル


問10. 電子ジャーナルの導入を目的とするコンソーシアムに参加されていますか。それとも,参加されていませんか。参加の状況について,以下の項目から
当てはまるものすべてに
○を付けてください。また,当該コンソーシアムの名称もお答えください。


a.参加し,活動に人的貢献をしている [名称:                        ]

b.参加している [名称:                        ]

c.参加していない


問10-1.
前項でc(コンソーシアムに参加していない)と回答された館/室
にお尋ねします。参加していない理由として,以下から
当てはまるものすべてに
○を付けてください。


a.参加資格を満たすコンソーシアムがない

b.コンソーシアムへの人的貢献ができない

c.経費軽減効果が小さい

d.事務量軽減効果が小さい

e.その他 [具体的に: ]

f. 参加を検討中 [名称: ]


問11. 現に参加しているコンソーシアムに関してではなく,一般論としてお答えください。コンソーシアムが参加館に提供すべきだと思われる機能を重要なものから
2つまで
○を付けてください。


a.情報の収集・交換

b.価格の圧縮

c.契約事務の一部肩代わり

d.アーカイビング等の共同事業

e.その他 [具体的に: ]




IV.以下では雑誌の保存に関する貴館/貴室の方針について伺います。


問12. 以下の条件ごとに貴館/貴室における学術雑誌(印刷体)の標準的な廃棄年限をお答えください。


国内他館が所蔵している和雑誌 a. [   ]年後廃棄 b. 永続保存

国内で所蔵が確認できない和雑誌 a. [   ]年後廃棄 b. 永続保存

国内他館が所蔵している洋雑誌 a. [   ]年後廃棄 b. 永続保存

国内で所蔵が確認できない洋雑誌 a. [   ]年後廃棄 b. 永続保存


問13. 電子ジャーナルのバックファイルの購入方針についてお答えください。


a.予算が許す範囲で購入する

b.バックファイルは購入しない


V.以下では館外文献複写の利用状況を伺います。


問14. 2002年度における貴機関外への文献複写依頼件数と,依頼先の内訳をお答えください。


総数 [        ] 件

うち国内大学図書館 [       ] 件

  科学技術振興機構(JST) [       ] 件

  国立国会図書館 [       ] 件

  その他国内 [       ] 件

  BLDSC(国内の組織を経由する場合を含む)  [       ] 件

  CISTI(同上) [       ] 件

  その他国外(同上) [       ] 件


問15.前項の依頼先について,依頼先を選択する際の
優先順位を

(

)

内に数字で
お答えください。その依頼先を選択する場合,「必要な資料を所蔵しているから」以外で,最も重要と思われる理由を,資料の種類別に選択理由の
a〜dの中から1つ選んで
○を付けてください。


問15-1 雑誌論文の複写の場合


順位 依頼先 選択理由


( )国内大学図書館 a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )科学技術振興機構(JST) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )国立国会図書館 a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )BLDSC a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )CISTI a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易


問15-2 それ以外の資料の複写の場合


順位 依頼先 選択理由


( )国内大学図書館 a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )科学技術振興機構(JST) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )国立国会図書館 a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )BLDSC a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )CISTI a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易

( )その他(  ) a. 安い b. 早い c. 依頼が容易 d. 支払が容易


VI.貴館/貴室の機関レポジトリへの取り組み状況について伺います。ここでは,自機関内での研究成果(紀要,テクニカルレポート,雑誌掲載済論文)を収集して,電子的に保存・公開する機能を機関レポジトリと呼んでいます。


問16. 貴館は機関レポジトリ的な機能を備えていますか。


a.機関レポジトリを提供しており,原則としてインターネットに公開している

b.機関レポジトリを提供しているが,原則として機関内の利用に限定している

c.機関レポジトリを提供していないが,具体的な計画がある

d.機関レポジトリを提供していない


問17.
前項でa又はb(機関レポジトリを提供している)と回答された館/室
にお尋ねします。そこには何件の資料が収集されていますか。また,その資料種別の内訳をお答えください。


合計 [          ] 件

うち研究紀要  [         ] タイトル

  学位論文  [         ] 件

  テクニカルレポート・研究成果報告書

 [         ] 件

  雑誌掲載済論文  [         ] 件(上記紀要に掲載された論文を除く)

  その他 [具体的に: ]

 [         ] 件

  その他 [具体的に: ]

 [         ] 件






問18.


問16

でa又はb(機関レポジトリを提供している)及びc(機関レポジトリを提供していないが,具体的な計画がある)と回答された館/室
にお尋ねします。2003年度における当該資料の収集・電子化・保存・公開のための予算額と,2003年度分の新規掲載資料点数の概数(回答時点における見通し)をお答えください。


[         ] 万円

約[        ] 件


VII.最後に貴館/貴室について伺います。


問19. 館名/室名をお答えください。


[                        ] (例:○○大学××図書館)


問20. 貴館/貴室が主なサービス対象としている組織の部署名をお答えください。


[                        ] (例:××学部及び△△研究科)


問21. 貴館/貴室が主なサービス対象としている組織に属する人数(2003年度現在)をお答えください。大学図書館にあっては,教員・研究員,大学院生,学部学生の内訳を,他の館種にあっては,同様の区分が可能な場合は内訳を御記入ください。


[        ]人

内訳










○学術雑誌,特に科学・技術・医学雑誌の収集・利用について日頃感じておられること,あるいは当該領域における国立国会図書館の役割に関しての御意見などありましたら,御自由にお書きください。また,本調査に関する御意見も本欄に御記入ください。(回答が必要な質問等は1ページの問い合わせ先に直接お寄せください。)



















以上で,質問は終了です。御協力ありがとうございました。


最後に,回答を担当された方の所属とお名前,電話番号を御記入ください。万一,不明な点が生じた場合は確認のお電話をさせていただくことがありますので,何とぞよろしくお願いいたします。


所属:                   



お名前
(

ふりがな

)

:                   


電話番号:                   


付録B. 電子ジャーナルパッケージからタイトル数への変換

  • 参照(17728)

付録B. 電子ジャーナルパッケージからタイトル数への変換


資源配置調査の問9における電子ジャーナルパッケージごとの契約の有無の回答から,以下の手順で電子ジャーナルのタイトル数,同STM誌のタイトル数を推定した。


まず,提供するタイトルが無条件に固定されているパッケージ型の電子ジャーナルについては,そのパッケージに含まれている雑誌のタイトル数を各社のWebページ上の情報を元に確定させた。基本的には,全文が参照可能な査読付き学術雑誌のタイトル数を数え上げることとし,タイトルリスト内の情報から判別した。


またSTM誌のタイトル数については,元々学問分野別のパッケージ化が行われている場合は,該当するパッケージの全タイトル数をそのままSTMタイトル数とみなした。複合的なパッケージについては,タイトルリストに分野名の記載があるパッケージは,分野ごとにSTM分野に該当するか否かを判別した上で,STM誌の数え上げも行った。そうでないパッケージは,当該機関の冊子体におけるSTM誌の構成比をそのまま乗じて,当該パッケージのSTM誌数を推定した。この方法では同一のパッケージに対して,機関により異なるSTMタイトル数を付与してしまうという問題があるが,この推定方法をとらざるを得なかったパッケージはProQuestの2つのパッケージ(Academic Research LibraryおよびProQuest 5000)のみであり,全体としての精度に致命的な影響を与えるものではないと判断した。


例えば,EBSCOHostの場合,主題分類が付与されたタイトルリストと査読の有無を記載したタイトルリストをISSN及び誌名をキーにマージして,主題の付与されていないもの及びSTMではないと判断した主題(Anthropology, Archaeology, Area Studies, Arts, Business, Career, Consumer Education & Protection, Communications & Media, Economics, Education, Ethnic & Multicultural Studies, Family & Parenting, Finance & Investments, Gay & Lesbian Studies, Gender Studies, Geography, History, Home & Garden, International Relations,>

機関によってタイトル数が異なるパッケージ(Science DirectのCompleteなど)については全体のタイトル数は各機関からの回答をそのまま用いた。STM誌のタイトル数は機関ごとの冊子体STM誌構成比を乗じた。




表A.1 パッケージ別のタイトル数





付録C. その他の集計結果

  • 参照(13400)

付録C. その他の集計結果


表C.1 電子ジャーナルバックファイルの購入意向(問13)







表C.2複写依頼先(雑誌以外)の優先順位・理由:大学図書館 (N=492)

























































































































































































国内大学図書館



科学技術振興機構



国立国会図書館



BLDSC



CISTI



その他



優


先


順


位



1位



477



0



7



1



0



7





(97.0%)



(0.0%)



(1.4%)



(0.2%)



(0.0%)



(1.4%)



2位



9



29



342



15



0



50





(1.8%)



(5.9%)



(69.5%)



(3.0%)



(0.0%)



(10.2%)



3位



0



91



53



122



1



46





(0.0%)



(18.5%)



(10.8%)



(24.8%)



(0.2%)



(9.3%)



4位以下



0



35



14



119



17



68





(0.0%)



(7.1%)



(2.8%)



(24.2%)



(3.5%)



(13.8%)



合計



486



155



416



257



18



171





(100.0%)



(31.5%)



(84.6%)



(52.2%)



(3.7%)



(34.8%)



理


由



a.安い



54



1



50



5



1





(11.3%)



(0.7%)



(12.3%)



(2.0%)



(5.9%)





b.早い



112



40



10



17



5





(23.3%)



(27.0%)



(2.5%)



(6.8%)



(29.4%)





c.依頼が容易



239



84



307



173



10





(49.8%)



(56.8%)



(75.8%)



(69.5%)



(58.8%)





d.支払いが容易



75



23



38



54



1





(15.6%)



(15.5%)



(9.4%)



(21.7%)



(5.9%)





有効回答数



480



148



405



249



17









表C.3複写依頼先(雑誌以外)の優先順位と理由:専門情報機関 (N=65)

























































































































































































国内大学図書館



科学技術振興機構



国立国会図書館



BLDSC



CISTI



その他



優


先


順


位



1位



18



9



6



2



0



30





(27.7%)



(13.8%)



(0.4%)



(3.1%)



(0.0%)



(46.2%)



2位



14



7



12



1



1



10





(21.5%)



(10.8%)



(65.9%)



(4.4%)



(4.4%)



(13.3%)



3位



5



7



10



5



0



2





(7.7%)



(10.8%)



(13.3%)



(7.7%)



(0.0%)



(3.1%)



4位以下



2



8



1



12



2



4





(3.1%)



(12.3%)



(4.4%)



(18.5%)



(3.1%)



(6.2%)



合計



39



31



29



20



3



46





(60.0%)



(47.7%)



(42.9%)



(30.8%)



(4.6%)



(70.8%)



理


由



a.安い



10



1



8



1



0





(27.0%)



(3.7%)



(27.6%)



(6.3%)



(0.0%)





b.早い



5



6



2



4



0





(13.5%)



(22.2%)



(6.9%)



(25.0%)



(0.0%)





c.依頼が容易



18



16



17



11



2





(48.6%)



(59.3%)



(58.6%)



(68.8%)



(100.0%)





d.支払いが容易



4



4



2



0



0





(10.8%)



(14.8%)



(6.9%)



(0.0%)



(0.0%)





有効回答数



37



27



29



16



2








表C.4 複写依頼先(雑誌以外)の優先順位・理由:都道府県立図書館 (N=37)

























































































































































































国内大学図書館



科学技術振興機構



国立国会図書館



BLDSC



CISTI



その他



優


先


順


位



1位



6



0



19



0



0



13





(16.2%)



(0.0%)



(51.4%)



(0.0%)



(0.0%)



(35.1%)



2位



8



0



11



0



0



12





(21.6%)



(0.0%)



(29.7%)



(0.0%)



(0.0%)



(32.4%)



3位



12



1



3



0



0



5





(32.4%)



(2.7%)



(8.1%)



(0.0%)



(0.0%)



(13.5%)



4位以下



3



1



1



0



0



1





(8.1%)



(2.7%)



(2.7%)



(0.0%)



(0.0%)



(2.7%)



合計



29



2



34



0



0



31





(78.4%)



(5.4%)



(91.9%)



(0.0%)



(0.0%)



(83.8%)



理


由



a.安い



1



0



0



0



0





(3.8%)



(0.0%)



(0.0%)



(0.0%)



(0.0%)





b.早い



9



0



1



0



0





(34.6%)



(0.0%)



(3.6%)



(0.0%)



(0.0%)





c.依頼が容易



16



2



25



0



0





(61.5%)



(100.0%)



(89.3%)



(0.0%)



(0.0%)





d.支払いが容易



0



0



2



0



0





(0.0%)



(0.0%)



(7.1%)



(0.0%)



(0.0%)





有効回答数



26



2



28



0



0





付録D. コンソーシアムに対するインタビュー調査項目

  • 参照(19380)

付録D. コンソーシアムに対するインタビュー調査項目


主旨説明


 本聞き取り調査は、国立国会図書館による「電子情報環境下における科学技術情報の蓄積・流通の在り方に関する調査研究」の一環で、我が国が直面している問題と課題を明らかにすることが目的です。


 


A) 基本方針や考え方に関する質問(主にコンソーシアムの責任者から聞き取りを行う。)


1. コンソーシアムの目的についてお尋ねします。


a. コンソーシアムを作るきっかけは何でしたか?


b. その際、制度上の制約や影響など外的要因にはどのようなものがありましたか?


c. コンソーシアムの果たすべき役割は何だとお考えでしょうか?


2. コンソーシアムの組織についてお尋ねします。


a. 組織の役割分担はどのようになっていますか?


b. 任期はどのくらいですか?


c. 引継ぎはどのように行っていますか?


d. 組織運用上、問題になったことはありますか?


e. あるとすれば、それをどのように解決しましたか?


3. コンソーシアムの効果についてお尋ねします。


a. コンソーシアムによる効果は何だとお考えですか?


b. 図書館によって効果の違いはありましたか?(大規模図書館と小規模図書館の差)


c. 今後も続けていく予定ですか?


4. 今後の戦略についてお尋ねします。


a. シリアルズクライシスに対してどのような戦略で臨みますか?


b. アーカイブ問題に対してどのような戦略で臨みますか?


5. 国立情報学研究所についてお尋ねします。


a. SPARC/Japanが始まりましたが、どのようなことを期待しますか?


b. SPARC/Japanに対してコンソーシアムとして協力する意思はありますか?


c. SPARC/Japanはコンソーシアムと出版社との交渉に影響するとお考えですか?


d. 電子ジャーナルリポジトリNII-REOに対してどのようなことを期待しますか?


6. 国立国会図書館についてお尋ねします。


a. 国立図書館として担うべき役割は何だと考えますか?


b. 具体的には何を期待しますか?




B) 具体的な活動内容に関する質問(主に実務責任者から聞き取りを行う。)


1. 協議についてお尋ねします。


a. 現在、どこと交渉していますか?(出版社、代理店、学協会/主なところ、数)


b. 出版社と代理店では対応の違いがありますか?


c. 本社と日本支社および本社と代理店の関係はどのように見えますか?(決定権)


d. 交渉は主にどなたがおやりになりますか?


e. やりやすい相手とやりにくい相手はいますか?


f. 協議時のチェックポイントはなんでしょうか?(チェックシートの有無)


2. 合意(契約)についてお尋ねします。


a. コンソーシアムは協議するだけで、契約は大学ごとですか?


b. コンソーシアムの協議内容は大学の個別契約にどのように反映されますか?


c. コンソーシアムとしての合意書はどのように交わしますか?(本社?代理店?)


d. 合意書は外国語ですか?日本語ですか?


e. 合意書の有効期間はどのくらいですか?(3年?)


f. 価格に関する合意はどのように行いますか?


g. 出版社によって価格はどのくらい違いますか?


h. 算出方法はどのような方式ですか?(人数、規模、アクセス数?)


i. 冊子体と電子ジャーナルの関係はどうなっていますか?


j. 合意内容の確認をとったことがありますか?(とりますか?)


k. 電子ジャーナルの価格は実際に安くなりましたか?


l. 契約更新時にどのくらい値上がりしますか?


3. 大学図書館間の連携についてお尋ねします。


a. コンソーシアムへの参加はどのようにしますか?


b. 各図書館で意識の違いがありますか?


c. 事務局はどのような体制になっていますか?


d. 事務局の仕事はどのようなものですか?


e. 事務局の仕事はコンソーシアムによって簡素化されましたか?


4. 今後の展望についてお尋ねします。


a. 電子ジャーナル化は促進されると思いますか?


b. コンソーシアムの役割や位置づけはどのように変化すると思いますか?


c. 大学図書館サービスはどのように変化すると予想しますか?


5. 国立情報学研究所についてお尋ねします。(重複)


a. SPARC/Japanが始まりましたが、どのようなことを期待しますか?


b. SPARC/Japanに対してコンソーシアムとして協力する意思はありますか?


c. SPARC/Japanはコンソーシアムと出版社との交渉に影響するとお考えですか?


d. 電子ジャーナルリポジトリNII-REOに対してどのようなことを期待しますか?


6. 国立国会図書館についてお尋ねします。(重複)


a. 国立図書館として担うべき役割は何だと考えますか?


b. 具体的には何を期待しますか?


付録E. 電子ジャーナル及び新たな学術出版モデルに対する方針及び実務に関する調査 調査票

  • 参照(16256)

付録E. 電子ジャーナル及び新たな学術出版モデルに対する方針及び実務に関する調査 調査票





Questionnaire Survey



Policies and practices in handling of online journals and open access publishing



The National Diet Library (NDL) is researching how to collect and disseminate scientific and technical information in the digital information environment. With the advance of Information Technology, the publishing mechanism of that kind of information is changing significantly. This research aims to examine the NDL’s roles as a national library and to explore the possibility of a cooperation with related organizations in this new environment.



As part of the research, this questionnaire survey is being sent out to national libraries and scientific and technical information centers in Asia, Europe and North America to see how they handle online journals and publications by new scholarly information publishing models such as the SPARC (Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition), institutional repositories, and e-print archives. Although answers may vary according to the library/institution, we expect that cross-sectional research will provide us with a new perspective.



This survey is designed to ask questions about your library/institution’s policy on online journals and open access publishing, as well as its practices in the process of acquiring, organizing, and providing access to them. Each question should be answered by the person responsible for that particular.



Thank you in advance for your kind cooperation.



Sincerely,




Yoshitaka Ikuhara


Director General


Kansai-kan of the National Diet Library





Introduction





1. Purpose


This survey aims to assess the current state of how national libraries and scientific and technical information centers in Asia, Europe and North America handle online journals and publications of open access publishing models, by collecting data on their policies and practices in the process of acquiring, organizing, and providing access to them.



2. Return address




Please return your completed form by fax or email to


:



Library Support Division, Projects Department,


Kansai-kan of the National Diet Library


8-1-3 Seikadai, Seika-cho, Soraku-gun, Kyoto 619-0287, Japan


Fax: +81-774-94-xxxx


Email: xxxxx@ndl.go.jp [15]



The deadline is

February 13, 2004

.





Enclosed is a floppy disk which contains an electronic file of the survey form.



3. Usage of data


The data collected through this questionnaire survey will be processed statistically and will not be used for purposes other than those mentioned above. Individual data will not be disclosed.




Survey Items



The National Diet Library is researching how to collect and disseminate scientific and technical information in the digital information environment. In this research, we examine the roles and required services of national libraries and scientific and technical information centers, and explore the possibility of a cooperation with related organizations.





I. We would like to ask how your library/institution deals with online journals purchased by fee-based subscription. Questions on scholarly information published and disseminated in an unconventional>



A. Please inform us about your basic policies on online journals in general. Questions on individual online journal packages are provided in section B. Even if the questions are not applicable to your library/institution at present, if your library/institution have any plans, please inform us about its outline.



(1) Does your library/institution put emphasis on providing access to online journals?









(2) Are the online journals your library/institution provides access to for users included in your catalog?









(3) [
This question is for legal deposit libraries only
] Are online journals included within the legal deposit system? If they are, please describe the legislation or system.









(4) [
This question is for national libraries only
] Are online journals published inside the country included within the national bibliography?









(5) Is archiving online journals included in the responsibility of your library/institution?









B. Please answer the following questions for each contract model/package listed below. Please provide your answers in the Answer sheet.

























(1) Blackwell Synergy



(2) EBSCO host



(3) Gale InfoTrac



(4) HighWire



(5) JSTOR



(6) Kluwer online



(7) OCLC ECO



(8) ProQuest



(9) ScienceDirect



(10) SpringerLink



(11) Wiley InterScience



(12) 〜 Other




* alphabetical order




< Question Items >



If your library/institution subscribes to the online journal package in question, please answer the following questions. (If your library/institution does not subscribe to it, please proceed to next one.)



x{2460} How many titles does your library/institution subscribe to?



x{2461} How do you provide them for users? Please also indicate if you charge the users or not for each service.



x{2462} Is the online journal package provided through document delivery service? If there are any special reasons for providing or not providing the online journal package in question by document delivery service, please describe.



x{2463} Does your library archive the online journal package? If there are any reasons for archiving it or not, please describe.





< Answer sheet >










































(1) Blackwell Synergy(Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (2))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No




























x{2463}



Archiving  Yes/No
































(2) EBSCO host (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (3))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No





























< Answer sheet >










































(3) Gale InfoTrac (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (4))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No




























x{2463}



Archiving  Yes/No




























(4) HighWire (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (5))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No





























< Answer sheet >










































(5) JSTOR (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (6))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No




























x{2463}



Archiving  Yes/No




























(6) Kluwer online(Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (7))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No





























< Answer sheet >










































(7) OCLC ECO (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (8))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No
































(8) ProQuest (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (9))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No





























< Answer sheet >










































(9) ScienceDirect (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (10))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No
































(10) SpringerLink (Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (11))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No





























< Answer sheet >










































(11) Wiley InterScience(Subscription: Yes or No. If “No,” proceed to (12))



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No
































(12) Other (Name of the package: )



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No




























x{2463}



Archiving  Yes/No



































< Answer sheet >










































(13) Other (Name of the package: )



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No




























x{2463}



Archiving  Yes/No
































(14) Other (Name of the package: )



x{2460}



Subscription:(         ) titles



x{2461}



Please check
all that apply
.


□ Access on the premises ( charged / free)


□ Access out of the premises ( charged / free )


□ Printout ( charged / free )


□ Download ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )


□ Other service(          ) ( charged / free )



x{2462}



Document delivery service  Yes/No
































x{2463}



Archiving  Yes/No






























C. If you have any comments on online journals subscribed under fee-paying contract, please write them below.

















x{2161}

. Criticizing

the existing publication and dissemination system that has been driven by publishing companies, the scholarly community is taking a leading role in

developing a new model for a more open dissemination of

scholarly information, utilizing information technology. Here, we would like to ask you what your library/institution is doing for a new

dissmination system for

scholarly information.




A. Initiatives to promote changes in the publication of scholarly information such as
SPARC
(Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition)


< http://www.arl.org/sparc/core/index.asp?page=a0 [16] >



(1) Does your library/institution’s task include organizing or positively participating in initiatives like SPARC, which seek changes in the publication system for scholarly information? Please provide the reason, too.










(2) Does your library/institution take part in such initiatives? If yes, let us know the name of the initiative and how your library/institution is engaged in it. If no, but you have a plan for it, please write about it.








B. Models of publication system for scholarly information such as
PLoS Biology


< http://www.plosbiology.org/plosonline/?request=get-static&name=information [17] > and
e-print archive
< http://arxiv.org/ [18] > that are based on direct user access and do not use publishing companies.



(1) Does your library/institution’s task include acquisition and provision of scholarly information disseminated through such systems? Please provide the reason, too.






(2) If you already acquire and provide such information, please let us know how you do it.








C.
Institutional repositories



(1) Do you think your library/institution should acquire scholarly information disseminated through institutional repositories? Please provide the reason.







(2) If your library/institution already acquires it, please write about the range and size of the collection.








D. Dissemination models of scholarly information like
PubMed Central
< http://www.pubmedcentral.nih.gov/ [19] >, which acquires articles already published under the existing publication system and makes them available at no charge.



(1) Does your library/institution develop such a dissemination system and make it available to the public? If yes, what is the purpose of it? What is the range and size of the system?







(2) Do you think your library/institution should develop such a distribution system?









This is the end of the questionnaire. Thank you very much for your cooperation. Please provide your information below. In case we have any questions about your reply, we hope you will allow us to contact you.





Name


:




Affiliation


:




Fax


:




Email


:



付録F. 電子ジャーナルへの対応に関する回答

  • 参照(16705)

付録F. 電子ジャーナルへの対応に関する回答



「電子ジャーナル及び新たな学術出版モデルに対する方針及び実務に関するアンケート調査」(付録F)の設問x{2160}Aに対する回答を示す。一部要約・整理した部分がある。



(1) 電子ジャーナルの提供を積極的に進めているか?





















































米国医学図書館




積極的に進めており、閲覧室で利用されている。電子ジャーナルが使えるようになって印刷雑誌の請求数は減少し,コレクションの損耗も減っている。電子ジャーナルはILLにも用いられる。当館は,ILLを許可しない電子ジャーナルのライセンスにサインするつもりはない。MEDLINE/PubMedに含まれる多数のジャーナルは,そのオンライン版を使って索引がとられている。契約した電子ジャーナルはこの目的にも使われている。当館は,他の図書館やその利用者,PubMed Linkout機能を介して利用するその他個人のために,電子ジャーナルへのアクセスを進めている。PubMed Centralは電子ジャーナルの永続的なアーカイブとなっている。



米国農学図書館



Digital Desktop Library for USDA(DigiTop)と呼ばれるプログラムを通じて,オンサイトの利用者や米国農務省(USDA)の職員に対して数多くの電子ジャーナルのアクセスを提供している。



カナダ国立図書館



はい。カナダ国立図書館の主たる目標は,カナダの全出版物を収集しそれを長期に保存することである。これには,従来型の出版資料とともにオンライン出版物も含まれる。当館は,カナダの出版社から収集したもの以外にも,カナダ人の研究を支援するような有料の電子ジャーナルやデータベースについてもアクセス権を購入している。当館は収集したものが国民にアクセス可能であることが大切だと強く信じている。



カナダ国立科学技術情報機関



はい。



英国図書館



広範な電子ジャーナルへのアクセスの提供を積極的に進めている。電子コピーが利用できるものは,書架からハードコピーを除いたものもある。



ベルリン国立図書館



はい。



フランクフルトドイツ図書館



当館の収集方針は法定納本法のみに基づいており,実際のところ同法には全般的にオンライン出版物は含まれていない。将来的にDDBは,外部情報源の契約ではなく,電子ジャーナルのための法定納本手続きを策定するつもりである。そして,主にDDBにアーカイブされたコピーへのアクセスを提供する予定である。商業出版社からの納本資料は館内だけでアクセス可能とするが,無料のオンライン資料へは自由なアクセスを提供する。



ハノーヴァー大学技術情報図書館



はい。



スウェーデン王立図書館



この調査への回答は,当館が幾つかの異なる役割を担っているということに影響される。王立図書館(KB)は,スウェーデンの国立図書館であると同時に人文科学を得意とする研究図書館でもある。国立図書館としてのKBの役割を果たしながら,BIBSAM (Department for National Coordination and Development)は,スウェーデンの大学に代わってデータベースアクセスに関するコンソーシアムライセンス契約の交渉を行っている。研究図書館としてのKBとKBの一部局であるBIBSAMに別の役割や目的がある場合には,2つの回答を示す。〔訳者注:以下,<KB><BIBSAM>と区別する〕


<KB> 中心は(まだ)印刷雑誌である。


<BIBSAM> スウェーデンの研究機関における電子ジャーナルへのアクセスの提供と促進は,BIBSAMコンソーシアムの主な目標の一つである。主要な出版社とビックディールライセンスを結んで,参加大学の利用者に対して3,500以上の電子ジャーナルへのアクセスを提供している。



オーストラリア国立図書館



はい。
The Electronic Information Resources Strategy and Action Plan
では,費用効果が高い場合には海外の雑誌を電子的な形式で受入れると定めている。コレクション構築方針における特定の電子情報資源に関する有効性や適合性について,現在見直し作業を行っている。



中国国家図書館



はい。



韓国国立中央図書館




はい。しかし電子ジャーナルに関する明文化された方針はない。我々は定期的に電子ジャーナルについての利用者フィードバックを得ており,その結果を資料購入時に考慮する。




(2) 電子ジャーナルが目録に含まれているか?





















































米国医学図書館




全ての電子ジャーナルは完全に目録が取られ,統合図書館システム(Endeavor Voyager)を通して提供されている。



米国農学図書館



ほとんどの電子ジャーナルの書誌レコードは,いくつかの理由で当館の目録には含まれていない。DigiTopは実験プロジェクトとして始められ,最近になってようやく継続プログラムになった。当館はウェブベースの新しい目録へ最近移行した。外部の情報源から逐次刊行物の所蔵の書誌レコードを手に入れるという選択肢について調査している。



カナダ国立図書館



当館が所蔵するものは全てリスト化され,目録でアクセスできる。



カナダ国立科学技術情報機関



電子形態で購入した資料は全て目録をとっている。



英国図書館



提供する電子ジャーナルの目録作成を開始した。しかしまだ,目録タイトルから当該資料へクリックで(”click-through”)直接アクセスすることはできない。将来的には,この機能を開発するつもりである。



ベルリン国立図書館



はい。



フランクフルトドイツ図書館




はい。



ハノーヴァー大学技術情報図書館



はい。



スウェーデン王立図書館



<KB> はい。ローカルなOPAC“Regina”から,全文へのアクティブリンクが利用できる場合もある。


<BIBSAM> コンソーシアムライセンスに含まれる電子ジャーナルは全国総合目録LIBRISに入っている。参加図書館は,そこから各館のOPACにダウンロードできる。このサービスはKBのLIBRIS部門が開発中であり,まだ完成していない。



オーストラリア国立図書館



はい,多くの購読雑誌に対して目録からリンクがはられている。それには我々が購読しているEBSCOやGaleのサービス中のものが全て含まれている。更にフルテキストが許可された情報資源へのリンクを付け加えているところである。



中国国家図書館



いいえ。しかし当館のウェブサイト上には雑誌の目録がある。



韓国国立中央図書館




いいえ。しかし直接アクセスのためにウェブサイト上で電子ジャーナルを掲示している。




(3) 電子ジャーナルは法定納本制度の対象か?対象である場合は、規定の内容。


  (法定納本図書館の回答のみを示す。)

































カナダ国立図書館



カナダの法定納本はカナダ図書館・公文書館で管理されている。現段階(2004年2月2日)では,オンライン出版物は公式には法定納本制度の対象となっていない。しかしあと2ヶ月ほどで,カナダで製作された全てのオンライン出版物を法定納本の対象とする法律が可決されるだろうとみている。この法律は“Library and Archives Act”の一部で,現在議会に提出されている。この法案と関連する法定納本規定が可決されれば,カナダで出版された電子ジャーナルが全て納本の対象となる。


当館は1993年から,カナダで出版された電子ジャーナルやオンライン出版物について,取得やアクセス権を買い取れる限りその収集に努めてきた。現在では,そのコレクションは13,000近い数となっており増え続けている。



英国図書館



英国議会は2003年法定納本図書館法を可決した。これは法定納本の概念を電子等のその他の非印刷出版物に拡張したもので,一連の規則に基づいて段階的に施行される予定である。当館は,2000年から非印刷出版物の自発的納本計画を監督する図書館・出版社合同委員会を主宰し,2003年法を首尾よく通過させるためのロビー活動や働きかけを主導してきた。また,当館は最近結成された法定納本に関する合同委員会の委員長を(出版社側のDigital Content Forumと共に)務めており,委員会では同法の漸進的施行のための準備作業を開始している。



フランクフルトドイツ図書館



当館は,ドイツ語の出版物とドイツ国内で発行された出版物を全て収集,整理し,永久に保存するよう法定委任されている。その法律には,物理的な媒体で提供されているものに限って,デジタル出版物も含まれる。オンライン出版物は,まだ法定委任ではカバーされていない。収集に関しては,出版社や図書館員,情報専門家,政府の代表者への予備ヒアリングにおいて既にいくつかの基本方向が定められ,1997年6月に行われたドイツ書籍販売組合の出版社委員会によって可決された。


・オンライン出版物は原則として,ネットワーク経由で,必要な場合はデータ容器に入れて送付されなければならない。


・異なるフォーマットで発行されたオンライン出版物は図書館が求めるフォーマットで送付されなければならない。


・同じコンテンツが物理的な媒体とオンラインで同時に提供されている出版物の場合は,両方の版を送付しなければならない。


・同じコンテンツが同時にいくつかの売り手によって提供されている出版物の場合は,一つのコピーだけを提出すればよい。


・DDBは長期保存目的でオンライン出版物を1部複製することが認められており,それによってコンテンツの真正性が保証されている。


これを基に,当館は何年間にもわたり,出版社や製作者と共にオンライン出版物の送付やアーカイビング,長期保存に関する実験を行っている。この作業グループElectronic Deposit Libraryでは,当館がオンライン出版物のアーカイブスとなるための条件に関するテストと交渉がなされた。



出版社やその他の関係組織によるオンライン出版物の提供


Electronic Deposit Library作業グループでの協力の他に,Springer publishing 社と協力関係がある。400以上もの電子逐次刊行物の全文とメタデータが,プロトタイプの手順によって,DDBのアーカイブスサーバに伝送・保存された。


この経験に基づいて,当館は出版社やその他の関係組織により頒布されるオンライン出版物の送付手順の導入を進めている。出版社やその他の関係組織は,その手順によって,ある一般的な条件の下にオンライン出版物を送付することができる。これにより,当館は新たな出版メディアに関わる難問に挑んでいる。



スウェーデン王立図書館



いいえ。しかし,政府の委任を受けて行った最近の当館のレビューでは,法定納本制度にデジタル資料を含めるべきだとされている。



オーストラリア国立図書館



電子ジャーナルは現時点では法定納本法の範囲に入っていない。当館は多くのオーストラリアの出版社と契約を結んで,図書館コレクションの収集のため,定期的に電子出版物を受け取ることにしている。



中国国家図書館



いいえ。



韓国国立中央図書館




いいえ,まだである。




(4) 国内発行の電子ジャーナルは全国書誌の収録対象か?


  (全国書誌作成機関の回答のみを示す。)

































カナダ国立図書館



はい(上述次第で)。図書館で受け入れた全ての電子ジャーナルは全国書誌Canadianaにエントリーされる。この書誌は,当館のデータベースAmicusを使ってウェブから無料で検索できる。



英国図書館



英国全国書誌には昨年から,UKベースの電子ジャーナルが含まれている。初めは「電子出版物の自発的納本」計画によるものだったが,最近の法定納本法の改正に伴って,数ヵ月先にはこの種の資料をもっと多く含めたいと考えている。



フランクフルトドイツ図書館



はい。




スウェーデン王立図書館



はい。処理されているのはISSN番号が付与されているジャーナルのみ。




オーストラリア国立図書館



電子ジャーナルはオーストラリア全国書誌データベースに含まれ,またRecent Australian Publicationでもリスト化されている。



中国国家図書館



いいえ。



韓国国立中央図書館




いいえ。




(5) 電子ジャーナルのアーカイビングは自館の任務か?





















































米国医学図書館




はい。



米国農学図書館



当館の蔵書構築の範囲内で,電子ジャーナルのアーカイビングの費用や実行可能性を探り始めたばかり。



カナダ国立図書館



はい。法定納本法が制定されれば,カナダ図書館・公文書館は(オンライン出版物の収集と同様に)アーカイビングと長期保存に対しても公的な責任を負うことになる。



カナダ国立科学技術情報機関



いいえ。



英国図書館



はい。当館はフォーマットに関わらず,英国で出版された全資料を保存する責務を負っている。これには電子ジャーナルも含まれている。現在デジタルオブジェクト管理システムの開発を進めており,そのシステムを使えば,電子ジャーナルやその他のデジタル資料へのアクセスや長期保存が可能となる予定である。



ベルリン国立図書館



いいえ。



フランクフルトドイツ図書館



(3)を参照のこと。


電子ジャーナルをアーカイブしているが,それは納本資料であって契約に基づく資料ではない。


当館ではオンライン資料の長期保存を行う予定があり,これらの資料を当館の法定委任に含めるよう,新しい法律の準備を進めている。当分の間,当館は出版社Springer-Verlagとプロトタイプの協定を結び,SpringerLINKに関しては全てのオンライン出版物のコピーが当館のアーカイブスサーバに伝送されることになっている。アーカイブされた出版物はそのうち当館内部でアクセスできるようになるかもしれない。アーカイブされた版のコンテンツは最新のものではないが,利用者は館内からSpringerLINKの本文データにアクセスできる。法律が制定される以前に,同様の協定を他のドイツ出版社と結ぶことを計画している。



ハノーヴァー大学技術情報図書館



はい。



スウェーデン王立図書館



<KB> いいえ。しかしこれはオンライン資料の法定納本を実施する際には,重要な問題となってくるだろう。


<BIBSAM> アーカイブの権利は,当館がBIBSAMコンソーシアムの代表としてサインした電子ジャーナルのライセンス契約全てに含まれている。



オーストラリア国立図書館



オーストラリアの電子ジャーナルをアーカイビングすることに関する法的義務は負っていないが,PANDORAサービスを通じて,電子ジャーナルや政府出版物を含む数多くのオーストラリアのデジタル出版物についてアーカイビングを行っている。



中国国家図書館



いいえ。



韓国国立中央図書館




いいえ。






Copyright © 2006- National Diet Library. All Rights Reserved.


Source URL: https://current.ndl.go.jp/report/no2#comment-0

リンク
[1] https://current.ndl.go.jp/../files/report/no2/lis_rr_02.pdf
[2] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/3
[3] http://www.arl.org/stats/pubpdf/arlstat02.pdf
[4] http://pr.jst.go.jp/pub/pubindex.html#bunken
[5] http://pr.jst.go.jp/outline/outline1.html
[6] http://arxiv.org
[7] http://xxx.lanl.org
[8] http://jp.arxiv.org/
[9] http://www.pubmedcentral.nih.gov/index.html
[10] http://www.publiclibraryofscience.org/
[11] https://dspace.mit.edu/index.jsp
[12] mailto:xxxxxxx@ndl.go.jp
[13] mailto:xxxxxxx@cdij.org
[14] mailto:xxxxxxxx@cdij.org
[15] mailto:xxxxx@ndl.go.jp
[16] http://www.arl.org/sparc/core/index.asp?page=a0
[17] http://www.plosbiology.org/plosonline/?request=get-static&amp;name=information
[18] http://arxiv.org/
[19] http://www.pubmedcentral.nih.gov/