11月15日,米国議会下院で「電子政府法案(H.R.2458)」が可決された。同法案は上院を本年6月に通過していたが,同時多発テロの影響を受けて成立が危ぶまれていた(CA1474参照)。
この法案は,連邦政府のサービスや情報の提供に情報通信技術を活用することを目指したもので,その中には,米国議会図書館(LC)が他の関係諸機関と共同でオンライン国立図書館の設立を進める旨も盛り込まれている( CA1398 [1] 参照)。
Ref:
http://www.ala.org/alonline/news/2002/021125.html [2]
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A59691-2002Nov15.html [3]
米国議会図書館(LC)が,増え続ける資料の保存場所を確保するために,メリーランド州フォート・ミードに整備を進めていた保存書庫で,11月18日落成式が行われた。
このほど運用を開始するのは全14区画のうちの一つで,ここには利用頻度の低い図書や製本済みの雑誌が収蔵される。書庫内は,温度10度,相対湿度30%に保たれる。約7,900平方メートルの区画内には,高さ約9メートル,幅約90センチメートルの書架が配置され,資料は大きさごとにまとめて箱に収納され,書架に並べられる。当該区画の収蔵能力は約150万冊である。キャピトルヒルにある議会図書館の建物との間に1日2回配送便を出し,利用者の便を図る予定である。
フランス国立図書館(BNF)では新館建設後,リシュリュー通りに面した旧館(リシュリュー館)の全面的な改修工事が懸案になっていたが,10月29日のアヤゴン文化通信相の記者会見において,工事計画の決定が行われた旨公表された。同計画はBNFおよび国立芸術史研究所(INHA)を対象としたものであり,BNFにあっては,建物・設備の改修,資料保存環境の改善,サービスの拡大という三つを目的としている。
Ref:
http://www.bnf.fr/pages/zNavigat/frame/connaitr.htm?ancre=rich_projet.htm [10]
http://www.culture.fr/culture/actualites/actu3.htm [11]
CA1446 [12]
ユネスコと国際文書館評議会(ICA)は,両者が今後も緊密に協力して世界の文書館が所有する情報の管理・利用・保存を促進することを目的とした協定を10月31日に締結した。
「Information for All」(注)「世界の記憶」(CA918参照)プログラムの推進,デジタル化による情報アクセスの促進,保存のための協力関係の強化,教育・研修の支援などを柱とする6年間(2002-2007年)の協定である。
(注)情報格差の是正,情報へのユニバーサルアクセスを実現するために,各国の政策形成や人材育成の支援等を行う,ユネスコのプログラム。
Ref:
http://portal.unesco.org/ci/ev.php?URL_ID=6164&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201&reload=1037599522 [14]
IFLA目録分科会ISBD検討グループは,AACR2の改訂(E007 [16]参照)などの流れの中で,『国際標準書誌記述 電子資料(ISBD(ER))』の,現状に適応できなくなっていた下記エリアに関して,次のような提案を行っている。
なお,これらの提案は,既存の『ISBD(ER)』の修正として提示されている。同グループは同提案に対する意見を2003年1月15日まで募集している。
「子どもをインターネットから保護する法律(CIPA)」が合衆国憲法に抵触するか否かをめぐって争われている裁判は,連邦地裁の違憲・差止命令に対して,被告である国側が合衆国最高裁に飛躍上告していたが(CA1473 [19]参照),11月12日,合衆国最高裁は審査の開始を決定した。来春までに弁論が始まる予定である。
Ref:
New York Times 2002.11.13
http://www.ala.org/news/v8n14/cipa.html [20]
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/nm/20021112/pl_nm/court_tech_dc_7 [21]
去る9月25日から28日まで,日本資料専門家欧州協会(EAJRS, CA1463 [23]参照)第13回年次大会が,フランスのパリ日本文化会館で開催された。「21世紀における図書館の役割:司書と利用者のパートナーシップ」をメインテーマとするこの大会には,ヨーロッパ各国および日米の14カ国から58名が参加し,5つのセッションで合計22の発表が行われた。日本からは国立国会図書館をはじめ10人が参加した。
初日のセッションでは,フランスにおける日本研究の現状や,言語と文化研究のための新しい大学図書館BULAC(Bibliotheque universitaire des langues et civilisations)の建設構想の紹介があった。3日目の特別セッション「21世紀の図書館」では,早稲田大学の高橋昇氏による”Japanese University’s International ILL Directory”の作成と,日本の大学図書館が海外から複写物等の提供を受ける数は年々増加しているが,海外から依頼を受けている数に比べて提供数は少ないという分析の報告が聴衆の関心を引いた。「21世紀の図書館の役割」と題されたラウンドテーブルでは,事前アンケートの回答によって選ばれたコメンテータによる活発な議論が交わされた。
最終日の総会では,新しい会長にウィリー・ヴァンドゥワラ教授(ルーバン・カトリック大学),事務局にポール・ワイスマン氏(ライデン大学)を選出し,終了した。
(報告:大塚奈奈絵)
Ref:
http://akira.arts.kuleuven.ac.be/EAJRS/archief/2002/prepro2002.html [24]
リンク
[1] http://current.ndl.go.jp/ca1398
[2] http://www.ala.org/alonline/news/2002/021125.html
[3] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A59691-2002Nov15.html
[4] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[5] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/93
[6] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/31
[7] http://www.loc.gov/today/pr/2002/02-164.html
[8] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/122
[9] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/142
[10] http://www.bnf.fr/pages/zNavigat/frame/connaitr.htm?ancre=rich_projet.htm
[11] http://www.culture.fr/culture/actualites/actu3.htm
[12] http://current.ndl.go.jp/ca1446
[13] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/136
[14] http://portal.unesco.org/ci/ev.php?URL_ID=6164&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201&reload=1037599522
[15] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/148
[16] http://current.ndl.go.jp/e007
[17] http://www.ifla.org/VII/s13/pubs/isbder-1102.htm
[18] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/102
[19] http://current.ndl.go.jp/ca1473
[20] http://www.ala.org/news/v8n14/cipa.html
[21] http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/nm/20021112/pl_nm/court_tech_dc_7
[22] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/83
[23] http://current.ndl.go.jp/ca1463
[24] http://akira.arts.kuleuven.ac.be/EAJRS/archief/2002/prepro2002.html
[25] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/77
[26] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/29