国際図書館連盟(IFLA)はこのほど,今後3年間の活動方針「戦略計画2006-2009(Strategic Plan 2006-2009)」を理事会で承認し,2006年12月20日に公表した。
IFLAは図書館界が社会に対して果たす役割に即して,活動対象を社会,図書館界,IFLA会員に分類しているが,今回の「戦略計画」も,それぞれの活動対象ごとに必要とされる目標と戦略を12項目にまとめている。
まず図書館界向け目標として,(1)国際的な情報交換を可能とする規格や基準の策定,(2)図書館サービスの質的向上を図る活動の実施,(3)経営,運営やサービス改善に資する出版物の刊行,(4)世界各国,とりわけ発展途上国における図書館協会活動の後援,(5)自然災害や取り扱いの不備,紛争等が原因の資料損壊の回避・および修復活動,の5点を挙げている。これらの目標に対する活動計画は多岐にわたっており,たとえば(1)の規格・基準の策定ではメタデータ,資源コントロール,文献提供に関するガイドラインや規格の提供といった事項(E283 [1],E324 [2],E363 [3]参照)が挙げられている。
次に社会向け目標として,(6)各国図書館協会との協力によるアドヴォカシー・プログラムの開発,(7)図書館サービスに影響を及ぼす分野における,国際政治や実践活動への関与,の2点を挙げている。これらに対応する活動計画のひとつとしては,フェア・ユースのもとで利用者に情報を提供できるように,著作権法や知的財産権法の国際的な動向に関与する(E253 [4],E318 [5]参照)などの事項が挙げられている。
最後にIFLA会員向けの目標として,(8)プロフェッショナル・グループとの組織的かつ効果的な意思疎通,(9)能力開発を支援するための機会(フォーラムなど)の設定,(10)組織や事務局の効率的な運営,(11)財政源の強化と多様化,(12)これらの戦略をサポートする,IFLA内の組織整備,の4点を挙げている。
この「戦略計画」ではグローバリゼーション,情報の電子化,図書館と社会との関係性など,図書館が世界的に直面している課題とその解決に向けての方向性について,簡潔にまとめられている。今後どのような活動を通じて「戦略計画」が実行に移されるのか,IFLAの取り組みが注目される。
Ref:
http://www.ifla.org/V/cdoc/IFLA-StrategicPlan.htm [6]
http://www.ifla.org/III/IFLA3Pillars.htm [7]
E253 [4]
E283 [1]
E318 [5]
E324 [2]
E363 [3]
リンク
[1] http://current.ndl.go.jp/e283
[2] http://current.ndl.go.jp/e324
[3] http://current.ndl.go.jp/e363
[4] http://current.ndl.go.jp/e253
[5] http://current.ndl.go.jp/e318
[6] http://www.ifla.org/V/cdoc/IFLA-StrategicPlan.htm
[7] http://www.ifla.org/III/IFLA3Pillars.htm
[8] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[9] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/140