2011年3月11日の東日本大震災の発生以降,日本各地で本を通じた被災者支援が行われている。その中で,資料救出活動や図書館への献本活動を行っている岩手県遠野市の「遠野文化研究センター」学芸員の菊池信代氏にインタビューを行った。
●遠野文化研究センターの概要についてお聞かせください。
遠野文化研究センターは2011年4月1日に設置された新しい組織です。遠野市には『遠野物語』をはじめ,人々のくらしの中で生まれて受け継がれてきた豊かな文化資源があります。当センターは,これらの文化資源を調査・研究・活用して,遠野を元気にするための活動を行っています。
●三陸文化復興プロジェクトについてお聞かせください。
いわばシンクタンクとして設置された遠野文化研究センターですが,3月11日に発生した東日本大震災を受け,三陸沿岸被災地の復興を支援しようと三陸文化復興プロジェクトがスタートしました。
遠野市は古くから三陸沿岸と内陸を結ぶ交通の要衝として栄えたところで,三陸沿岸の被災地とも文化的に深いつながりを持っています。今回の大震災では,人々が長い間大切に守り伝えてきた「文化」も数多く失われてしまいました。私たちは,今後長きにわたる復興には地域のアイデンティティたる文化が不可欠であると考え,被災した博物館・図書館資料の救出やクリーニングを行う文化財レスキュー活動,被災した公立図書館・学校図書室の復興のため全国から本を募集して送る献本活動の2つを柱に活動を行っています。
これらの活動には当センター職員12名に加え,遠野市立博物館や遠野市立図書館の職員,そしてたくさんのボランティアの方々に携わって頂いています。特に神奈川大学の学生ボランティアの方々には,プロジェクト開始直後からリレー形式で協力を頂き,貴重な戦力となっています。
●被災資料のレスキュー・修復活動についてお聞かせください。
陸前高田市,釜石市,大槌町を中心に,被災した資料や図書のレスキュー活動を行ってきました。現在は大槌町立図書館から救出した,明治から昭和期にかけての議会資料158冊や明治・昭和三陸大津波などに関する貴重な資料のクリーニング作業を行っています。
資料は海水や泥にまみれ,最初は1枚1枚ページを開くのさえ困難でした。キッチンペーパーや圧縮袋を使って乾燥作業を行っていましたが,塩分によるべたつきや異臭などの課題がありました。そんな中,東京文書救援隊の方々に文書復旧システムをご教示頂いた結果,異臭もとれ,紙本来の手触りを取り戻すことが出来るようになり,現場の喜びも一入でした。これらは紙を1枚1枚外して処理できる簿冊タイプのもので作業が無事進みましたが,冊子タイプは処理が難しく今後の課題です。
●献本活動についてお聞かせください。
献本活動では,6月12日から8月26日までの時点でのべ4,000人の方々から,約18万冊の図書の寄贈を頂いています。
頂いた図書は,状態を確認したあと,登録してラベルを貼り,収蔵庫に保管しています。同時に被災地の図書館,小中学校,高校と連絡を取りながら,どのような本がほしいか,そのタイミングはいつが良いかなどのニーズを把握し,送る準備を進めています。最初は分類から登録までのシステムが構築されておらず試行錯誤でしたが,現在は図書館流通センター(TRC)や市民の協力を得て作業がスピーディーに行えるようになりました。
震災直後から,既に被災地への支援物資として本は届いていました。現在でも個人に対する支援は既に多くの団体が取り組んでいますし,図書館への寄贈を申し出る方や団体も多くいらっしゃいます。しかし,本は送ればすぐに図書館で使えるわけではありません。ブッカーやラベル,そして図書の情報が必要となりますが,そこまで支援を行うからには長期的に継続して支援できる体制が不可欠です。被災地の文化と記録の集積地である図書館の復興を支援することで,文化を守り,図書館を利用する住民の方々の支援にもつながると考えています。
全国の図書館からも本を頂戴しておりますが,リサイクルのシールが貼られていたり,汚損図書が混じるなど対応に苦慮するものもあります。被災地の方々やお子さんが手に取るものですので,事前にご相談頂ければ幸いです。寄贈図書と一緒に,献本活動への激励や被災地へのお見舞いなど,様々な思いが綴られた手紙が同封され,作業に携わる者の励みとなっています。
Ref:
http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/35,18008,162,html [1]
http://toubunq.blogspot.com/2011/08/blog-post_19.html [2]
これまで電子ジャーナル(EJ)の大量ダウンロードといえば,主に大学図書館界だけで不定期に生じる話題にすぎなかった。しかし,2010年に起こった米マサチューセッツ工科大学(MIT)での事件は,翌2011年1月に容疑者が逮捕,7月には連邦地検から起訴される事態にまで至り,新聞をはじめとした各種メディアで話題となっている。
起訴されたのは,事件当時,24歳のハーバード大学研究員だったアーロン・シュワルツ(Aaron Swartz)で,10代前半からRSSの開発やインターネット関連の政治活動で世界的に知られていた人物である。2008年には,一部の学術商業出版者を「強欲」と非難し「学術雑誌をダウンロードしてファイル共有ネットワークにアップロードすることが必要」だとするゲリラ・オープンアクセス(OA)を主張していた。
起訴状によれば,シュワルツは2010年9月から2011年1月にかけてMIT構内の建物に不正侵入し,同大のネットワークを利用してEJアーカイブのJSTORから数回にわたって合計約480万論文を不正ダウンロードした。結果としてJSTORのサーバをダウンさせ,一定期間にわたりMITからのJSTORへのアクセスを完全に禁止させるまでに至った。シュワルツは取得したファイルを一般公開しておらずかつJSTORへ返却したため,JSTORは起訴には至らなかったものの,結局地検により起訴された。容疑は(1)電信詐欺,(2)電子計算機使用詐欺,(3)保護された電子計算機からの違法な情報入手,(4)保護された電子計算機への損害などで,有罪となれば100万ドル以下の罰金と35年以下の禁固刑とされている。
なぜシュワルツがハーバード大ではなくMITのネットワーク経由で,しかも非営利であるJSTORからEJファイルを大量ダウンロードしたかについては,不明である。ファイルをオンライン共有サイトで公開するため,あるいは個人的な研究プロジェクトのため,という憶測もあるが,現時点では今後行われる裁判で本人から明らかにされるのを待つほかない。
起訴自体及び起訴内容に対する批判(たとえば,何が詐欺にあたるのか等)も少なくなく,シュワルツへの起訴に同情的な意見もある。一方で,OA運動の関係者からは,起訴状の事実関係の信頼性への疑問や公判前であることを留保しつつも否定的なコメントが寄せられている。たとえば,ハーバード大学のシーバー(Stuart Shieber)教授は,シュワルツの行為はJSTORの利用規約をはなはだしく侵害したものであり「道徳的でも,合法的でも,効果的でもない」としている。シュワルツと昔から親交のある同大学のレッシグ(Lawrence Lessig)教授も「越えてはならない倫理的な一線を越えてしまったとしたら残念だ」としている。
ビブリオメトリクスに見られるように大量の学術雑誌論文が研究対象になることは珍しくないが,最近ではデータマイニングの対象としてかつてないほどの膨大な量の論文がそこに含まれるデータを含めて分析されるような事例も出てきている(E1195 [9]参照)。これは,学術雑誌が電子化されかつオープンアクセスで提供されて初めて,十分に実現可能なことである。たとえば,PLoSなどの出版者側も,XMLフォーマットやクリエイティブコモンズライセンスを設定するなど,マイニングに対応する形でEJを提供し始めているが,こうした出版者はごくわずかでしかない。シュワルツ事件は,領域によっては出版者側に,従来のような学術雑誌論文の利用パターンだけではなく,新しい利用形態に対応する必要性を認識させるきっかけになるかもしれない。
(三重大学・三根慎二)
Ref:
https://www.documentcloud.org/documents/217115-20110719-schwartz.html [10]
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/programmer-is-charged-with-hacking-into-journal-database/32316 [11]
http://about.jstor.org/news-events/news/jstor-statement-misuse-incident-and-criminal-case [12]
http://blogs.law.harvard.edu/pamphlet/2011/07/28/on-guerrilla-open-access/ [13]
http://mediafreedom.org/2011/07/larry-lessig-responds-says-swartzs-alleged-actions-crossed-ethical-line/ [14]
http://www.theawl.com/2011/08/was-aaron-swartz-stealing [15]
http://www.publishingresearch.net/documents/PRCSmitJAMreport20June2011VersionofRecord.pdf [16]
E1195 [9]
2011年8月16日,毎年恒例のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団による2011年の「学習へのアクセス賞」(E827 [23],E968 [24],E1089 [25]参照)が,東アフリカの住民にインターネットへのアクセス環境等を提供している国際NGO「乾燥地域情報ネットワーク」(Arid Lands Information Network:ALIN)に贈られた。同賞は,コンピュータやインターネットを通じて人々と情報を結びつけるための革新的な努力を行っている米国外の公共図書館や関連施設を表彰するもので,受賞団体には賞金として100万ドルが贈られる。また,今回は財団のパートナーであるマイクロソフト社から,ALINが地域コミュニティを支援するのに役立つソフトや技術指導等,約27万ドル相当の支援が行われる。
ALINは,ケニアやウガンダ,タンザニアの乾燥地域で孤立している集落に対して,「知識センター」(Maarifa Center)と呼ばれる施設を設置し,干ばつや害虫対策,商品作物を売るための市場情報等,生活向上に役立つ情報を提供している。この知識センターでは,利用者はインターネットやその使い方についての研修を無料で利用することができる。だが,ALINの成功はそれだけではなく,利用者に合った形でそれぞれが必要としている知識を提供していることにあるという。
ALINは,インターネットでの情報収集を希望する利用者には,インターネットを利用するための研修の機会やPCの利用環境を提供している。また,印刷媒体からの情報を求める利用者には,ALINが発行している雑誌「バオバブ・マガジン」を渡し,文字の読めない利用者に対しては,ビデオを見せたりワークショップを行ったりしているという。このような取り組みについて,ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のジェイコブス(Deborah Jacobs)氏は,「その人に合った情報を提供する独創的なモデルからは,あらゆる知識労働者は学ぶところがあるだろう」と述べ,その取り組みを称えている。
12ある知識センターの運営のほぼすべてを熱意あるボランティアが担っていることもALINの成功の理由の一つとして挙げられている。センターでボランティアとして働くマテイ(Julius Matei)氏は,普段は農業に従事しており牧師も務めている。「生活水準を高めるような知識を皆に伝えていきたい」と語るマテイ氏は,センター等で学んだ知識をその地方の言葉に訳して利用者に伝えたり,コンピュータスキルを教えたりしているという。また,ケニアのンドヒワで看護師として働くオサノ(Emmy Osano)氏は,HIVに関する知識が乏しいために地域で多くの死者が出ているとして,ナイロビでHIVに関するワークショップに自主参加した後は,その学んだ知識を広めるように努めているとのことである。
ALINの目標は,知識を活用する人々が動かす地域社会となるような支援を行うことにあるという。ALINは今後,賞金をもとに,知識センターのネットワークの拡大や,端末のハード・ソフトのアップグレード,利用者用の端末の増加,ボランティアスタッフへの研修等を予定しているとのことである。
Ref:
http://www.alin.or.ke/i/ALIN%20Awarded%202011%20Access%20to%20Learning%20Award%20by%20Bill%20&%20Melinda%20Gates%20Foundation [26]
http://www.gatesfoundation.org/atla/Pages/2011-atla-winner-alin-eastern-africa.aspx [27]
http://www.gatesfoundation.org/press-releases/Pages/arid-lands-information-network-atla-110816.aspx [28]
E827 [23]
E968 [24]
E1089 [25]
米国では,2011年7月からカリフォルニア州のサンタクラリタ市で民間企業LSSI社による公共図書館の運営が開始されるなど,営利企業による公共図書館の運営に注目が集まっている。米国図書館協会(ALA)は,2011年6月に,公共図書館の民営化が検討されている自治体の図書館関係者に向けて,主な論点や注意すべき点,行動の提案等を示した文書“Keeping Public Libraries Public”を公表した。以下にその概要を紹介する。
文書の冒頭では,公共(public)のための図書館サービスの方針決定や運営管理を営利企業に移行することに反対するという,2001年に決定されたALAの方針が示されており,この文書全体も,民営化に反対する立場からのものとなっている。
まず用語定義の部分で外部委託と民営化の違いが説明され,外部委託は一部の業務を対象としたもので図書館職員がサービス内容を決定できるのに対し,民営化ではサービス内容決定も含めた全ての業務が含まれることになり,多くの問題が発生するとしている。
民営化の主な問題点としては,利益を確保しながらサービスの維持・向上ができるのかという点,コミュニティの意思が反映されにくくなる恐れがある点,税金の使途についての透明性が低くなる点,プライバシー保護等の知的自由についての懸念がある点,公共組織として受けていた寄付等を失う可能性がある点,等が挙げられている。
そして,図書館関係者が主張すべき点として,知識や情報へのアクセスは民主主義の基盤となる公益であること,図書館は短期的な商業的利益ではなくコミュニティの長期的な利益を考慮して運営されるべきものであること,職員や設備へのしわ寄せによりサービス低下の懸念があること,自治体にとって経費削減となるとは限らないこと,等が挙げられている。
注意すべき具体的な点を示したチェックリストは2つあり,民営化するかどうかの検討段階向けのものでは,資金,サービス内容,コミュニティの意思の反映,政策決定,組織とスタッフ,法的問題,に関して合計33のチェックポイントが列挙されている。民営化の契約内容の検討段階向けのものでは,契約内容に盛り込むべき点として,報告や監視,業績測定等の9つのチェックポイントが示されている。
図書館関係者がとることができる行動の提案としては,以下のような事項が示されている。
なお,文書によると,米国で公共図書館の民営化が検討され始めたのはここ10年のことで,文書作成時点までに約20の地域において民営化契約が結ばれているが,そのうち6つは,契約が終了したか更新されなかったとのことである。
Ref:
http://www.ala.org/ala/professionalresources/outsourcing/ALAKeepingPublicLibrariesPublicFINAL0611.pdf [35]
http://americanlibrariesmagazine.org/news/ala/ala-launches-new-resource-address-privatization-issue [36]
http://www.ala.org/ala/professionalresources/outsourcing/index.cfm [37]
http://www.libraryjournal.com/lj/home/891415-264/santa_clarita_library_opens_its.html.csp [38]
http://americanlibrariesmagazine.org/news/07272011/privatization-and-pushback-proceed-santa-clarita [39]
http://americanlibrariesmagazine.org/features/07122011/who-s-boss [40]
2011年8月13日から18日にかけて,世界図書館情報会議(WLIC):第77回国際図書館連盟(IFLA)年次大会(E689 [43],E835 [44],E978 [45],E1093 [46]参照)がプエルトリコ最大の都市サンフアンにあるプエルトリコ・コンベンション・センターで開催された。参加者数は2,500名を超え,日本からは国立国会図書館(NDL)代表団7名を含む20名以上が参加した。
今回の大会は「図書館を越える図書館:すべての人々のための統合,革新,情報」をテーマとし,80以上の公開セッション,82機関が出展した展示会,165のポスターセッション等が行われた。また,大会に合わせて常任委員会等の役員会が開催されたほか,15のサテライトミーティングがサンフアン市内やプエルトリコの近隣諸国で行われた。
14日の開会式では,冒頭にプエルトリコ国内委員会の委員長ヴィゴ-セペダ(Luisa Vigo-Cepeda)氏から,1994年のキューバ・ハバナ大会以来となるカリブ海地域での大会を「小さな」プエルトリコで開催できる喜びが涙ながらに語られた。サンフアン市長等に続いて登壇したIFLA会長のタイス(Ellen Tise)氏は,挨拶の中で「強者でも賢者でもなく,変化に対応できる者が生き残る」というダーウィンの言葉を引用し,図書館は自らの役割を絶えず再定義し,自己改革に取り組む必要があると述べた。プエルトリコ大学の歴史学教授ピコ(Fernando Picó)博士による基調講演の後,陽気なラテン音楽を演奏した地元の楽団には参加者から盛大な拍手が送られた。
なお,開会式終了後には同じ会場で災害復興をテーマとした特別セッションが行われ,ニュージーランド・チリ・日本(日本図書館協会国際交流事業委員会委員長・三浦太郎氏)からの報告があった。
15日には国立図書館長会議(CDNL)がプエルトリコ国立図書館で開催され,日本からは網野光明NDL収集書誌部長が館長代理として出席した。会議では昨年に引き続き「自然災害からの復興」と題したパネルディスカッションがもたれ,日本からは東日本大震災について報告した。そのほか,電子納本,デジタル化,リテラシーの3グループに分かれたグループ討議等が行われた。
17日に行われたIFLA総会では,IFLAの活動報告,財務報告のほか,事務局長の留任,次期会長及び運営理事会メンバーの選挙結果について報告された。
18日の閉会式では,次回の開催国フィンランドからの歓迎の挨拶に続き,2013年の大会がシンガポールで開催されることが発表された。
タイス氏は今大会で会長の任期を終え,カナダのパラン(Ingrid Parent)氏が新会長に着任した。パラン氏は,自身のテーマを「図書館:変化を起こす力」(Libraries: A Force for Change)とすると発表し,会は閉幕した。
今大会の詳細は『国立国会図書館月報』2011年12月号で報告される予定である。
(収集書誌部資料保存課・岡橋明子)
Ref:
http://conference.ifla.org/ifla77 [47]
E689 [43]
E835 [44]
E978 [45]
E1093 [46]
国立国会図書館(NDL)は2011年8月,同館ウェブサイトの「資料デジタル化について」のページにて「国立国会図書館資料デジタル化の手引」(以下「資料デジタル化の手引」という)の2011年版を公開した。
「資料デジタル化の手引」は,NDLの所蔵資料を画像としてデジタル化する際の仕様を共通化し,技術を共有することを目的に,2005年11月に初版を刊行した(E413 [54]参照)。2005年当時,NDLでは,近代デジタルライブラリー,児童書デジタルライブラリー,貴重書画像データベースという3種類のデジタル化資料によるサービスを提供しており,2004年の「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」に即し,電子図書館事業を積極的に推進していた。なお当時は,マイクロフィルムからのデジタル化が主で,提供冊数も近代デジタルライブラリーで55,000冊ほどであった。
「資料デジタル化の手引」初版は,このような状況をもとに,デジタル化の手順・技術,画像データの品質・管理・提供方法等を解説するとともに,著作権処理の方法や「マイクロフィルム化及び電子化作業仕様書」のサンプルを参考資料として掲載していた。なお,本書はNDLの遠隔研修「資料電子化の基礎」の補助教材にもなっている。
「資料デジタル化の手引」2011年版は,技術動向及び国内外の規格に係る内容を最新化するとともに,2009年度補正予算により実施した約100万冊に及ぶ大規模デジタル化作業(E1193 [55]参照)で蓄積した知見を新たに追加している。以下,2011年版での改訂点を中心に説明する。
まず,第1章は,初版で「デジタル化の対象資料およびデジタル化の手順」としていたものを2011年版では「デジタル化作業の概要」とあらため,デジタル化の工程フロー図を入れて,資料を直接スキャニングしてデジタル化する場合とフィルム撮影を行いデジタル化する場合とを解説している。第2章は「デジタル化の技術」で同じだが,初版にはない,海外でのデジタル化画像のフォーマットや解像度の事例を加えた。初版では第3章を「画像データの品質」,第4章を「画像データの管理」としていたが,2011年版では,第3章を「画像データ等の作製」,第4章を「画像データの品質検査」とし,デジタル化の実施工程に沿った内容とした。「品質検査」については,試験標板(品質検査用の試験図票を配置した用紙)の画像の目視検査,原資料の画像の目視検査の観点等を詳しく説明している。また,大規模に資料のデジタル化を行う際に重要となる「デジタル化のプロジェクト管理」を第5章に新設したのも2011年版の特徴となっている。
なお,巻末の参考資料として,目次のテキスト化や公開する際の著作権処理方法の解説等とともに「図書の原資料からの電子化仕様書」のサンプルを付しているので,あわせて参照いただきたい。
(総務部企画課大規模デジタル化実施本部事務局)
(関西館電子図書館課)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html [56]
https://ndl.secure.force.com/ [57]
E413 [54]
E1193 [55]
リンク
[1] http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/35,18008,162,html
[2] http://toubunq.blogspot.com/2011/08/blog-post_19.html
[3] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[4] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/72
[5] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/122
[6] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/29
[7] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/35
[8] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/38
[9] http://current.ndl.go.jp/e1195
[10] https://www.documentcloud.org/documents/217115-20110719-schwartz.html
[11] http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/programmer-is-charged-with-hacking-into-journal-database/32316
[12] http://about.jstor.org/news-events/news/jstor-statement-misuse-incident-and-criminal-case
[13] http://blogs.law.harvard.edu/pamphlet/2011/07/28/on-guerrilla-open-access/
[14] http://mediafreedom.org/2011/07/larry-lessig-responds-says-swartzs-alleged-actions-crossed-ethical-line/
[15] http://www.theawl.com/2011/08/was-aaron-swartz-stealing
[16] http://www.publishingresearch.net/documents/PRCSmitJAMreport20June2011VersionofRecord.pdf
[17] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/132
[18] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/183
[19] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/42
[20] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/31
[21] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/37
[22] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/483
[23] http://current.ndl.go.jp/e827
[24] http://current.ndl.go.jp/e968
[25] http://current.ndl.go.jp/e1089
[26] http://www.alin.or.ke/i/ALIN%20Awarded%202011%20Access%20to%20Learning%20Award%20by%20Bill%20&%20Melinda%20Gates%20Foundation
[27] http://www.gatesfoundation.org/atla/Pages/2011-atla-winner-alin-eastern-africa.aspx
[28] http://www.gatesfoundation.org/press-releases/Pages/arid-lands-information-network-atla-110816.aspx
[29] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/87
[30] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/83
[31] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/285
[32] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/9
[33] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/464
[34] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/165
[35] http://www.ala.org/ala/professionalresources/outsourcing/ALAKeepingPublicLibrariesPublicFINAL0611.pdf
[36] http://americanlibrariesmagazine.org/news/ala/ala-launches-new-resource-address-privatization-issue
[37] http://www.ala.org/ala/professionalresources/outsourcing/index.cfm
[38] http://www.libraryjournal.com/lj/home/891415-264/santa_clarita_library_opens_its.html.csp
[39] http://americanlibrariesmagazine.org/news/07272011/privatization-and-pushback-proceed-santa-clarita
[40] http://americanlibrariesmagazine.org/features/07122011/who-s-boss
[41] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/73
[42] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/133
[43] http://current.ndl.go.jp/e689
[44] http://current.ndl.go.jp/e835
[45] http://current.ndl.go.jp/e978
[46] http://current.ndl.go.jp/e1093
[47] http://conference.ifla.org/ifla77
[48] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/77
[49] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/353
[50] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/34
[51] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/357
[52] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/140
[53] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/150
[54] http://current.ndl.go.jp/e413
[55] http://current.ndl.go.jp/e1193
[56] http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html
[57] https://ndl.secure.force.com/
[58] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/45