2010年8月25日,アイルランドの教育・技能省は,「公共図書館と学校:アイルランドにおける小学校への図書館サービスの政策と展望」と題した調査報告書を発表した。
この報告書は,"Schools Library Service"(SLS)の現状を検証し,今後のサービスの改善につなげる目的で作成されたものである。SLSとは,公共図書館の所蔵資料を,公共図書館ネットワークを利用して,学校へ貸し出すサービスを意味する。報告書の内容は,アイルランド国内の32の公共図書館管轄機関への電話での聞き取りと一部の館へのアンケート調査,同様に小学校の校長や教員に対するアンケートと聞き取り調査に基づくものであり,小学校の教員と児童のニーズに対して,公共図書館ネットワークの行うサービスが具体的にどのような役割を果たしているのかにポイントが置かれている。
調査結果の一部をまとめると以下の通りになる。
報告書は結びとして,教育・技能省がSLSから手を引くことを決定したことを受け,これまでSLSに関する政策を実行してきた環境・遺産・地方自治省の"Branching Out Steering Committee"に対して,全国の小・中学校への図書館・情報サービスの提供についての政策を立て直すように求めている。また,公共図書館に対しては,公共図書館による子どもへのサービスの拡大とICT利用の促進,学校との連携強化のために,学校へのサービスの促進を行う必要があることを勧告している。
この報告書に対して,2010年9月1日にアイルランド図書館協会(Library Association of Ireland)は批判的な見解を表明した。教育・技能省が小学校内の図書館のサービス提供については直接関与しないと述べていたこと,一館当たりの資金援助額が本当に適切な図書館サービスを行うには不十分であること,すでに削減され続けている財政状況の中で,求められるサービスと学校支援を公共図書館が提供することは難しいだろうことなどを憂慮している。
Ref:
http://www.library.ie/wp-content/uploads/School_Report2010.pdf [1]
http://www.education.ie/servlet/blobservlet/web_stats_08_09.pdf [2]
http://www2.libraryassociation.ie/2010/09/01/library-association-response-to-the-report-the-public-library-and-the-school-policies-and-prospects-for-library-services-to-primary-schools-in-ireland/ [3]
リンク
[1] http://www.library.ie/wp-content/uploads/School_Report2010.pdf
[2] http://www.education.ie/servlet/blobservlet/web_stats_08_09.pdf
[3] http://www2.libraryassociation.ie/2010/09/01/library-association-response-to-the-report-the-public-library-and-the-school-policies-and-prospects-for-library-services-to-primary-schools-in-ireland/
[4] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[5] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/64
[6] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/161
[7] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/191
[8] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/35