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E993 - データの長期保存にはマイクロ+光ディスクを-国際規格誕生

カレントアウェアネス-E

No.161 2009.11.18

 

 E993

データの長期保存にはマイクロ+光ディスクを-国際規格誕生

 

 2009年6月,国際標準化機構(ISO)から,デジタルデータを長期的に保存するための国際規格として,ISO 11506:2009“Document management applications -- Archiving of electronic data -- Computer output microform (COM) / Computer output laser disc (COLD)”が刊行された。

 この規格では,「長期(long term)」を100年以上と規定し,デジタルデータの真正性,アクセス可能性,有用性,見読性及び信頼性を長期的に保証するための保存技術として,コンピュータ出力で作成するマイクロフォーム(COM)及びコンピュータ出力で作成する光ディスク(COLD)への並行記録を推奨している。保存対象となるデータは,テキスト及びモノクロの二次元画像であり,音声・動画,三次元画像等は含まれない。

 COMは,長期的な保存メディアとしての実績の高さと改ざんのされにくさから,薬液処理を施したモノクロの銀・ゼラチンマイクロフォームへの記録が推奨されている。具体的な形態としては,16mmや35mm幅のマイクロリールやマイクロフィッシュ,アパーチュアカード等があげられている。一方,COLDは,書き換えができないCD-RやDVD-R等の追記型光ディスクが適用されている。

 マイクロフォームは,ハードウェア,ソフトウェア又はOS環境に依存せず,これらの陳腐化・旧式化に影響されないため長期的な保存が見込まれ,非改ざん性も高い。一方,光ディスク等のデジタルメディアは,データの検索性やアクセス可能性,更新・削除のしやすさといった活用面に強みがあり,両者の長所が相互補完的な性質を持っている。そのため,この規格では,両者の長所を活かした長期保存方法として,同一データをCOM及びCOLDの2種類の記録技術で作成することを推奨している。

 ただし,データの証拠価値(evidential value of the data)の保証の観点からマイクロフォームに重点が置かれており,規格全体に占めるマイクロフォームに関する記述の割合が大きい。原則として,COM及びCOLDの同時作成を定めているが,同時にできない場合,COMによるマイクロフォームを先に作成するよう規定している。また,両者の記録内容に相違が生じた場合も,長期的な信頼性が高いマイクロフォームを参照し,優先するよう定めている。

 このように,ISO 11506では,各メディアの特性を活かすことで,データの証拠価値の確保を目的とした保存用データと検索性の高い提供用データのそれぞれの要件を満たした長期保存システムの構築が実現できるとしている。

(関西館電子図書館課・柴田洋子)

Ref:
http://www.iso.org/iso/catalogue_detail.htm?csnumber=50565# [1]

  • 参照(14699)
カレントアウェアネス-E [2]
資料保存 [3]
電子情報保存 [4]
規格 [5]
ISO(国際標準化機構) [6]

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Source URL: https://current.ndl.go.jp/e993#comment-0

リンク
[1] http://www.iso.org/iso/catalogue_detail.htm?csnumber=50565#
[2] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[3] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/122
[4] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/131
[5] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/510
[6] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/339