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E885 - 26年の調査史上初めて,成人の読書量が増加(米国)

カレントアウェアネス-E

No.143 2009.02.04

 

 E885

26年の調査史上初めて,成人の読書量が増加(米国)

 

 米国芸術基金(NEA)は2008年に,1982年の初回調査以来5度目となる,米国の成人(18歳以上)を対象とした文学作品の読書に関する調査(E224 [1]参照)を実施した。このほどその結果が報告書“Reading on the Rise”(「読書増加中」)としてまとめられた。タイトルが示すとおり,調査結果からは,文学を読む米国人の割合が増加していることが明らかになった。これまでのNEAの報告書は,米国人が年々読まなくなってきていることに警鐘を鳴らしてきたが(E224 [1],E739 [2] 参照),調査史上初めて,文学の読書に対するポジティブな結果が得られた。

 調査結果から,主に下記のようなことが明らかとなった。

  • 文学読書率は,1992年から2002年の10年には,これまでで最も急激に落ち込んでいたが,今回の結果により,大幅な上昇に転じた(2002年46.7%→2008年50.2%)。
  • 文学読者の絶対数が有意に増加した。
  • 若年層(18歳から24歳)における文学読書率が2002年の42.8%から約9ポイント上昇した。また,読者増加の変化率(21%)はどの年齢グループよりも大きかった。
  • ヒスパニック系米国人の文学読書率が顕著に上昇した(2002年26.5%→2008年31.9%,変化率20%)。次いでアフリカ系米国人(2002年37.1%→2008年42.6%,変化率15%)となっている。
  • 初めて両方の性別で同時に文学読書率が上昇した。
  • 文学読書率を引き上げたのは「小説」の読書で,戯曲や詩については読書率が依然低下している。
  • オンラインで,あるいはインターネットからダウンロードして文学作品を読んでいる成人の84%が,印刷,オンラインを問わず,本を読む。
  • 2008年には,米国の全成人の約15%がオンラインで文学作品を読んでいた。

 なお今回の調査では,過去の同様の調査にはなかったインターネットを用いた読書について尋ねる項目が設けられた。オンラインでの読書や読書用端末を用いた新しい形態の読書が人々の読書習慣に与える影響は,今後注視していくことが必要であろう。

Ref:
http://www.nea.gov/news/news09/ReadingonRise.html [3]
http://www.alatechsource.org/blog/2009/01/nea-reports-reading-on-the-rise.html [4]
E224 [1]
E739 [2]

  • 参照(13975)
カレントアウェアネス-E [5]
読書 [6]
米国 [7]

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Source URL: https://current.ndl.go.jp/e885#comment-0

リンク
[1] http://current.ndl.go.jp/e224
[2] http://current.ndl.go.jp/e739
[3] http://www.nea.gov/news/news09/ReadingonRise.html
[4] http://www.alatechsource.org/blog/2009/01/nea-reports-reading-on-the-rise.html
[5] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[6] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/120
[7] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/31