世界医師会のヘルシンキ宣言改訂版、研究成果等のオープン化を義務化

世界医師会(WMA)のヘルシンキ宣言(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則 )の改訂版が2008年10月22日に発表されました。今回の改訂で宣言文には大幅な修正が入り、「オープンアクセス」の文言こそ入らなかったものの、

・研究成果の公表方法に係る義務を定めた第30項目(改訂前の第27項目に相当)に、(著者、発行者のみならず)編集者も、研究成果の出版に関し倫理的義務を負う旨が新たに追加された。
・同じく第30項目で「著者はヒトを対象とする自身の研究成果を公的に利用可能とする義務を負うとともに、その成果の完全性・正確性の説明責任を負う」と明記された。
・最初の被験者募集に先立って、すべての臨床試験を公的にアクセス可能なデータベースに登録するよう義務付ける第19項目が新設された。
・個人が特定可能な試料やデータを利用する医学研究においては、医師は基本的にデータの収集、分析、蓄積、再利用に関する同意を得なければならない。それを得られない(または得ようとすることが研究の価値を減ずる)場合には、研究倫理審査委員会の承認の後に行われるべきである、とする第25項目が新設された。

と、研究成果や臨床試験に関する情報のオープン化を義務化する内容となっています。

WORLD MEDICAL ASSOCIATION DECLARATION OF HELSINKI
Ethical Principles for Medical Research Involving Human Subjects
http://www.wma.net/e/policy/b3.htm

WMA – Ethics Unit – Declaration of Helsinki
http://www.wma.net/e/ethicsunit/helsinki.htm

改訂前の版(英語版) 
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/nurs/faculty/rinri/helsinki.htm
(※名古屋市立大学看護学部研究倫理委員会のウェブサイトです。)

最新のヘルシンキ宣言改訂について – 日本医師会
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html
(※2008年11月5日現在、和訳中とのことです。)
ヘルシンキ宣言 – 日本医師会
http://www.med.or.jp/wma/helsinki02_j.html
(※日本医師会による、改訂前の版の和訳です。)

2008-11-05付けPLoS Blogの記事
http://www.plos.org/cms/node/417