STM出版社はライセンシングよりも著作権の移転を好む

国際STM出版社協会(International Association of Scientific, Technical & Medical Publishers)は、論文のジャーナルへの掲載、教科書の出版等に伴う著者から出版社への著作権の移転、独占出版権の付与は必要なものである、とするポジションペーパーを発表しています。

STM分野の出版社は、一部の権利を著者から出版社にライセンシングする方式よりも、排他的に著作権を移転する方式を好むとし、その理由として、
・STM分野の論文には、複数の著者、また所属国の著者が関わっていることが多く、それらの著作権を適切に管理するため
・著者を含めてユーザに広く適切に科学的知見を普及させるには、その専門である出版社が適任であること

などを挙げています。

そして、著作権の移転により、

・転載など著作権許諾を集中的に効率的に行うことができる
・剽窃やフリーライダーの問題などに素早く対抗することができる
・将来のフォーマット変換時にも安全に対応できる

とそのメリットを強調しています。

なお、著作権の移転が行われても、著者原稿のホームページへの掲載などは契約の中で確保できるとしています。

STM issues Position Paper on Copyright Assignment Benefits
http://www.stm-assoc.org/home/stm-issues-position-paper-on-copyright-assignment-benefits.html

参考:
E623 (No.103) – オープンアクセス運動に対し出版界が立場を表明(欧州)
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/cae/item.php?itemid=640
3出版団体、学術雑誌掲載論文の利用と著作権に関する白書を発表
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=3471
ワシントン大学の「著者の権利」を留保するための修正契約書モデル
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4420