読書プログラムの本の選定過程、論議を呼ぶ(米国)

米国で盛んに行われている、地域住民が同じ本を読んで感想を語り合う読書プログラム“One City, One Book”の対象の本の選定過程について、ユタ州ソルトレーク郡で議論が起こっています。

同郡版のプログラム“One County, One Book”では、映画にもなったスプラッグ(Mark Spragg)の小説「果てしなき日々(原題はAn Unfinished Life)」がいったんは対象として選定され、1,000冊が発注されました。ところが、この本の中で暴力的な用語が使われているという指摘が図書館員からあり、議論の結果、選定過程そのものが不適切で、新米の図書館員が先走って発注してしまった「不幸な(unfortunate)」できごと、として選定が撤回されました。

これに対し、スプラッグ氏はこれを「検閲(censorship)」であるとして、強く批判しています。10月のイベントでの講演依頼も届いていたのですが、それもメール一本で撤回されたとのことです。「米国図書館協会(ALA)は常に読者・著者の権利を守ろうと検閲に対抗している勇敢な組織であると尊敬していたのに」と、失望の意も表しています。

Censorship or artistic choice? Library recants author invite – deseretnews.com
http://deseretnews.com/dn/view/1%2C1249%2C660207422%2C00.html
One County, One Book, One Controversy in Salt Lake County, UT – Library Journal
http://www.libraryjournal.com/article/CA6430588.html