視覚障害者に対するウェブサイトのアクセシビリティに関する裁判(米国)

全米盲人協会(National Federation of the Blind: NFB)が、読み上げソフトを利用する視覚障害者にとってとても使いづらいオンラインショッピングサイトを作っていた会社を、障害者に対する差別を禁ずる『障害をもつアメリカ人に関する法律』(Americans with Disabilities Act: ADA. 42 U.S.C. § 12101)に反するとして訴えていましたが、このほど、この会社による「ADA法の適用対象は物理的実体を有するものに限られ、ウェブ上のサービスは適用対象でない」という弁論を棄却する決定が出たそうです。裁判は引き続き続行されることになっており、このまま進むと、ウェブサービスにおける視覚障害者に対する配慮についての良い判例となりそうです。

なお、これを紹介したAP通信の記事では、

・今回の裁判はとても効果的であるが、ADA法はもっぱら公共サービス・公共施設・電話通信などを対象としており、あらゆるサービスを対象としているものではないことから、「より狭い」解釈をされてしまうおそれもある。

・とはいえ、GoogleやBest Buyなど、多くのウェブサービスで視覚障害者に配慮する動きが広まっており、この傾向が強まるのが望ましい。

という有識者の意見も掲載しています。

Blind Web surfers sue for accessibility
http://news.yahoo.com/s/ap/20061024/ap_on_bi_ge/business_of_life
October 25, 2006付けLISNewsの記事
http://geek.lisnews.org/geek/06/10/25/2216242.shtml

参考:
CA1075 (No.203) – アメリカの図書館と障害者法(1) / 田中邦夫
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=471
CA1078 (No.204) – アメリカの図書館と障害者法(2) / 田中邦夫
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=476

Google Accessible Search
http://labs.google.com/accessible/