ペンネームの歴史に触れる(記事紹介)

2022年7月26日付のスコットランド国立図書館(NLS)のブログに、記事“A potted history of pen names”が掲載されました。同館で2022年7月8日から2023年4月29日にかけて開催される展示会“Pen Names”にちなんだものです。

オーサーシップについての考え方が時代とともにどのように変化してきたか、また、匿名やペンネームでの出版がイギリス文学においてどのように文学的慣習として定着していったかについて紹介しています。

19世紀になると、多くの作家が自分の身分を隠すことを選択し、1830年までには小説の約80%がペンネームか匿名で出版されるようになったと述べられています。ペンネームは文学の風景の一部となり、特に女性は社会的な立場からペンネームや匿名で出版することが多く、性別によって作品がより厳しく評価されることを恐れていたとしています。

また、ペンネームは今や、著者の仮面であると同時に、読者を本に誘導するためのマーケティングツールでもあるとしています。2021年のNielsenの調査の結果によると、男性は女性が書いた小説を手に取ることに消極的であるようだとし、男性読者を遠ざけないために女性作家の名前をイニシャルにしたペンネームを使用することで性別を隠した事例を紹介しています。同様の理由で、ハリー・ポッターを出版したBloomsbury社は、作者をJoanne RowlingではなくJ.K. Rowlingとすることを提案したと述べています。

A potted history of pen names(NLS,2022/7/26)
https://blog.nls.uk/a-potted-history-of-pen-names/

Pen names(NLS)
https://www.nls.uk/exhibitions/pen-names/

スコットランド国立図書館(NLS)、中世および近世の写本をデジタル化しオンライン公開
Posted 2022年5月16日
https://current.ndl.go.jp/node/46131

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Posted 2020年10月2日
https://current.ndl.go.jp/node/42166

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Posted 2020年6月18日
https://current.ndl.go.jp/node/41251