米・シアトル公共図書館、芸術団体Wa Na Wariと提携し、アーカイブにおける人種平等を推進

2022年7月28日、米・シアトル公共図書館が、同館とシアトルの芸術団体Wa Na Wariが米国のアーカイブにおける人種平等を推進するプロジェクトで提携することを発表しました。

米国のアーカイブにおける人種平等を推進するため2022年6月にメロン財団から米国デジタル公共図書館(DPLA)に85万ドルの資金が提供されたことを受けてDPLAが立ち上げた“Digital Equity Project”の一環です。シアトル公共図書館は、プロジェクトを実施する最初の3組織の一つとあります。

Wa Na Wariはシアトルを拠点とした、芸術や歴史の保存などを通して黒人の所有権や可能性のための場を創出する団体で、今回のプロジェクトにより、コミュニティでオーラルヒストリーと黒人の記憶に関連する訓練を行う同団体のSeattle Black Spatial Histories Insituteの存続と発展が支援されるとあります。

シアトル公共図書館の図書館プログラム・サービス担当Harbison氏によると、このプロジェクトの目標には、シアトルの文化的および歴史的記録における黒人の経験の表現を増やすことも含まれているとして、黒人主導の組織が実施している地域の歴史活動をサポートすること、黒人のオーラルヒストリーを倫理的かつ説明責任のある方法で一般に公開することを掲げているとしています。そして、地元の声や物語を収集・保存することで、シアトルの黒人の歴史と文化の豊かな遺産が、街の歴史的な物語の一部として引き継がれるようにすることができると述べています。

The Seattle Public Library and Wa Na Wari Partner Partner to Advance Racial Equity in American Archives(Seattle Public Library. 2022/7/28)
https://www.spl.org/about-us/news-releases/the-library-and-wa-na-wari-partner-partner-to-advance-racial-equity-in-american-archives

関連:
Wa Na Wari
https://www.wanawari.org/

Programs(Wa Na Wari)
https://www.wanawari.org/oral-history

参考:
米・シアトル公共図書館らによる、VRを用いた10代のメンタルヘルス支援プロジェクト(記事紹介)
Posted 2022年5月2日
https://current.ndl.go.jp/node/46064

2020年の米国の“Library of the Year”はシアトル公共図書館に:選出には多くの批判も
Posted 2020年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41206

塩﨑亮,佐藤健人,安藤大輝. 米国デジタル公共図書館(DPLA)の過去・現在・未来. カレントアウェアネス. 2015, (325), CA1857, p. 15-18.
http://current.ndl.go.jp/ca1857