米国の都市部の図書館員などからなるUrban Librarians Unite、都市部の図書館におけるトラウマに関する研究報告書を公開

2022年6月21日、米国の都市部の図書館員などからなるUrban Librarians Unite(ULU)が、都市部の図書館におけるトラウマに関する研究の最終報告書“Urban Library Trauma Study Final Report”を公開していました。

ULUとニューヨーク図書館協会(NYLA)、セント・ジョンズ大学の協力による2年にわたる研究であり、利用者からの嫌がらせや職場でのいじめ、COVID-19関連等を含む都市部の図書館員の様々なトラウマに関するものです。研究は、トラウマの事例を取り上げ、数値化し、解決策への道筋を構築し、図書館界をコミュニティケアの文化に向かわせることを目的としており、図書館におけるトラウマに関する文献の包括的なレビュー、都市部の図書館員の調査、都市部の図書館職員の一連のフォーカスグループとの議論、都市部の図書館職員による全国フォーラムでの議論という4つで構成されたとあります。研究の結果、都市部の公共図書館における未解決のトラウマの危機が明らかになったとしています。

最終報告書では、問題に着手するにあたっての提言として、メンタルヘルスをサポートする図書館員ヘルプラインの創設、健全な図書館労働環境のための基準の設定、トラウマに配慮したリーダーシップの方針と手順の策定、 図書館職員のための仲間によるサポートグループの設置を挙げています。

Urban Library Trauma Study Final Report(ULU,2022/6/21)
https://urbanlibrariansunite.org/2022/06/21/ults-final-report/
https://drive.google.com/file/d/1zlMKm27U8jaHdC3D_WBTaP_1HwIfordC/view
※2つ目のリンクは最終報告書本体[PDF:61ページ]です。

参考:
図書館スタッフへのセクハラ・脅迫・暴力:カナダ・トロント大学の調査(記事紹介)
Posted 2021年10月6日
https://current.ndl.go.jp/node/44930

韓国国立中央図書館(NLK)、利用者に対応する職員を積極的に保護し、感情労働による被害を最小化することを目的に「国立中央図書館利用者対応業務マニュアル」を策定:全国の公共図書館にも配布
Posted 2021年1月12日
https://current.ndl.go.jp/node/42964

職員が利用者から受ける暴力・暴言の増加:カナダ・トロント公共図書館(TPL)の事例(記事紹介)
Posted 2020年3月5日
https://current.ndl.go.jp/node/40412

E2340 – 感情労働者たる図書館職員を保護するための指針(韓国)
カレントアウェアネス-E No.405 2020.12.24
https://current.ndl.go.jp/e2340

CA757 – 図書館でもセクハラ!!―あなたもねらわれている― / 山本由美
カレントアウェアネス No.144 1991.08.20
https://current.ndl.go.jp/ca757