マラケシュ条約はいかに米国議会図書館(LC)をより利用しやすくしたか(記事紹介)

米・Washington Postは、2022年2月15日付けで、記事“How a treaty signed in Marrakesh made the Library of Congress more accessible”を掲載しました。マラケシュ条約によって米国議会図書館(LC)が視覚障害者等に提供できるサービスが拡大していることが紹介されています。

LCの障害者サービス部門「視覚障害者及びプリントディスアビリティのある人々のための全国図書館サービス」(National Library Service for the Blind and Print Disabled:NLS)が扱えるコンテンツが急増しており、マラケシュ条約加盟国のコンテンツを利用することで、これまでなら応えることのできなかった資料のリクエストに対応できることも増えたとしています。

最も需要が高いのはスペイン語の資料で、今後も外国語コレクションの約70%はスペイン語の資料が占めることになるとしています。しかし、NLSが条約を通じて最初の書籍を追加した2020年11月以降、アラビア語、フランス語、ポーランド語、イタリア語、ドイツ語などの書籍の提供も強化されています。一方で、NLSが所有する10万点以上の資料がマラケシュ条約を通じて世界中に提供されていることにも言及しています。

How a treaty signed in Marrakesh made the Library of Congress more accessible(Washington Post, 2022/2/15)
https://www.washingtonpost.com/magazine/2022/02/15/how-treaty-signed-marrakesh-made-library-congress-more-accessible/

参考:
マラケシュ条約が米国内で発効
Posted 2019年5月13日
https://current.ndl.go.jp/node/38138

トランプ大統領の署名によりマラケシュ条約実施法が成立:批准のための国内手続きが終了(米国)
Posted 2018年10月11日
https://current.ndl.go.jp/node/36804

米国議会図書館(LC)、障害者サービス部門「視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped)」の名称を変更
Posted 2019年10月7日
https://current.ndl.go.jp/node/39199

米国議会図書館、点字・録音図書プログラムのアクセシビリティ向上を目的としたデジタルイニシアチブの開始を発表
Posted 2017年6月22日
https://current.ndl.go.jp/node/34227

E2090 – 国際図書館連盟(IFLA),マラケシュ条約の実務ガイドを公開
カレントアウェアネス-E No.360 2018.12.20
https://current.ndl.go.jp/e2090

CA1831 – マラケシュ条約―視覚障害者等への情報アクセスの保障に向けたWIPOの取り組み / 野村美佐子
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1831