英国物理学会出版局(IOP Publishing)、オープンアクセス(OA)ジャーナルのポートフォリオ全体で“Transparent Peer Review”を利用可能に:査読者のコメントや著者の回答等を公開

2022年1月31日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)が、保有するすべてのオープンアクセス(OA)ジャーナルの査読方法を、透明性の高い査読プロセス“Transparent Peer Review”へ移行すると発表しました。ポートフォリオ全体でこのアプローチを採用するのは物理学系出版社では同出版局が初めてとしています。

“Transparent Peer Review”とは、査読プロセスのすべてを公開するものです。読者は掲載された論文とともに、査読者の報告書、編集者の決定通知、著者の回答など、査読の全履歴を見ることができるとあります。すでに同出版局が採用しているダブルブラインドレビューと併用することで、査読プロセスの客観性と、刊行後の最大限の透明性を確保することができるとしています。

“Transparent Peer Review”のオプションは、2022年2月1日から同出版局のOAジャーナルで出版する著者と査読者が利用できるようになります。

IOP Publishing launches portfolio-wide transparent peer review on its OA journals(IOP Publishing, 2022/1/31)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-launches-portfolio-wide-transparent-peer-review-on-its-oa-journals/

参考:
米国化学会(ACS)、透明性の高い査読プロセスの試行を実施:査読者のコメントと著者の回答を公開
Posted 2021年11月12日
https://current.ndl.go.jp/node/45161

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表
Posted 2020年9月14日
https://current.ndl.go.jp/node/41995

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開
Posted 2020年9月4日
https://current.ndl.go.jp/node/41925

CA1961 – 動向レビュー:岐路に立つ査読と、その変化に踏み込むPublons / 松野 渉
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1961

CA2001 – 動向レビュー:オープン査読の動向:背景、範囲、その是非 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.348 2021年06月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2001