フィンランド・ヘルシンキ大学、2021年のオープンサイエンス賞を発表

2021年10月29日、フィンランドのヘルシンキ大学は、2021年のオープンサイエンス賞をLanguage Bank of FinlandとKati Lassila-Perini氏に授与することを発表しました。ヘルシンキ大学ではオープンサイエンス推進についての業績が認められた者に毎年オープンサイエンス賞が授与されており、2021年のテーマは「研究データのアクセス可能性と再利用性」でした。受賞者は推薦された者の中から、副学長、大学図書館員、IT責任者等によって構成される審査員によって選ばれました。

Language Bank of Finlandは言語リソースを使用する研究者を対象としたサービスです。多様なテキストおよび音声コーパスの他、研究データの使用・分析・管理のためのツールとトレーニングを提供します。また、Language Bank of Finlandは人文学分野等の大学院生を対象としてオンラインコースを提供することによって、資料の再利用を促進しています。

Kati Lassila-Perini氏は、欧州原子核研究機構(CERN)に所属する研究コーディネータであり、素粒子物理学実験のデータの公開を行っています。2011年には、CMS実験のデータの保存・再利用・オープンアクセスに関するポリシーの作成に参加しました。結果、CMS実験のデータの大部分が自由に利用できるようになりました。また、彼女が率いるヘルシンキ物理学研究所のプロジェクト「教育とオープンデータ」では、フィンランドの高校の科学教育にCMS実験のデータが使用されています。さらにこのプロジェクトは、オープンデータの使用に関する高校教員向けのトレーニングを組織し、大規模でオープンなデータセットを教育において使用するためのツールを開発しました。

University of Helsinki gives recognition to promoters of open and reusable research data(University of Helsinki, 2021/10/29)
https://www.helsinki.fi/en/news/university/university-helsinki-gives-recognition-promoters-open-and-reusable-research-data

参考:
欧州原子核研究機構(CERN)、オープンサイエンスの高まりに対応した新たなオープンデータポリシーを発表
Posted 2020年12月17日
https://current.ndl.go.jp/node/42795

英・グラスゴー大学、スコットランド・ゲール語のデジタルアーカイブ“Digital Archive of Scottish Gaelic”でオーディオアーカイブを公開
Posted 2018年8月29日
https://current.ndl.go.jp/node/36565

欧州原子核研究機構(CERN)、実験データ等を公開するポータル“CERN Open Data Portal”を公開
Posted 2014年11月25日
https://current.ndl.go.jp/node/27498

言語のデジタルアーカイブ構築を目指す“Rosetta Project”
Posted 2008年8月26日
https://current.ndl.go.jp/node/8657