欧州のアカデミー組織連盟“All European Academies”、オープンアクセスにおける公平に関する声明を発表

2021年10月25日、欧州のアカデミー組織連盟である“All European Academies”(ALLEA)が、オープンアクセス(OA)における公平に関する声明“Equity in Open Access”を発表しました。

発表の中では、同声明は、2021年10月25日から30日にかけてのオープンアクセスウィーク(International Open Access Week)のテーマ“Open with Purpose: Taking Action to Build Structural Equity and Inclusion”を踏まえたものであること等が述べられています。

声明では、論文処理費用(APC)が必要なゴールドOAは、アクセスにおける障壁を参加への障壁に置き換えるものであると指摘しています。また、図書館コンソーシアムと商業出版者の間での転換契約は、大手商業出版者の市場支配力を強め、小規模な出版者が不利になるリスクがあること、対象に含まれない分野の研究者や若手研究者、グローバル・サウスの研究者のニーズが考慮されていないこと等を述べています。

加えて、学術コミュニケーションシステムがどのように構築されるべきかという議論では、公平と多様性を中心に据える必要があるとし、全ての分野でOAへの公平なアプローチを支える十分なリソースと基盤が利用できるようになるまで、従来の出版ルートも含むハイブリッドモデルを維持することが重要であること等を述べています。

It Matters How We Open Knowledge – ALLEA Statement on Equity in Open Access(ALLEA, 2021/10/25)
https://allea.org/it-matters-how-we-open-knowledge-allea-statement-on-equity-in-open-access/

EQUITY IN OPEN ACCESS [PDF:2ページ]
https://allea.org/wp-content/uploads/2021/10/ALLEA-Statement-Equity-in-Open-Access-2021.pdf

参考:
2021年のオープンアクセスウィークのテーマは“It Matters How We Open Knowledge: Building Structural Equity”
Posted 2021年8月13日
https://current.ndl.go.jp/node/44586

CA1977 – 動向レビュー:学術雑誌の転換契約をめぐる動向 / 尾城孝一
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1977

国際STM出版社協会、発展途上国を含む包括的で公平なオープンアクセス(OA)への転換を検討するホワイトペーパーを公開
Posted 2020年9月11日
https://current.ndl.go.jp/node/41979

欧州研究評議会(ERC)科学評議会、オープンアクセスについてCoalition Sから独立した活動を行うことを発表:若手研究者や助成が少ない国の研究者等のニーズに焦点
Posted 2020年7月22日
https://current.ndl.go.jp/node/41567