米・Ithaka S+R、米国のコミュニティカレッジにおける図書館の戦略や他部門との連携状況について調査した報告書を公開

2021年9月9日、米・Ithaka S+Rは、米国のコミュニティカレッジにおける図書館の戦略や他部門との連携状況について調査した報告書“Library Strategy and Collaboration Across the College Ecosystem : Results from a National Survey of Community College Library Directors”を公開しました。

報告書では、介護やフルタイム勤務など学業以外の個人的な課題を抱えている学生が特に多いコミュニティカレッジにおいて、必要とする支援サービスに学生がシームレスにアクセスできるようにするには、大学の指導者が継続的に調査し、既存の組織や制度を改善する必要があると述べてられています。そして、コミュニティカレッジが学生を支援するにあたって、図書館は大きな役割を果たしており、空間や学術リソース等の提供を通じて大きな役割を果たしているが、そのために他部門と連携することもあると述べられています。

このような目的意識のもと、本報告書では、全国のコミュニティカレッジやテクニカルカレッジにおいて、図書館を含む学生向けサービス部門が、どのように組織され、資金提供され、スタッフ配置されているか等を、コミュニティカレッジの図書館長321人に対して調査した結果がまとめられています。

調査の結論としては以下等が述べられています。

・図書館は学生の学習や大学への帰属意識を高め、技術リソースを提供し、また他の多くのサービスのハブとして機能するのに役立つにも関わらず、その役割を誤解されていることが多い。

・図書館はIT部門やライティングセンター、個人指導センターとは連携できているが、学生課との連携は十分に実現されていない。制度的構造が図書館と学務事務部門の部門横断的な連携を妨げ、それにより学生に効果的な支援を提供できていない可能性がある。

・図書館が他部門との提携と評価の機会を増やすためには、図書館のリーダーは図書館の多面的な役割について他の部門のリーダーの理解を得るべきである。また、図書館が機関に対してどのように貢献するかを明示する必要がある。

“Library Strategy and Collaboration Across the College Ecosystem : Results from a National Survey of Community College Library Directors” (Ithaka S+R, 2021/9/9)
https://sr.ithaka.org/publications/library-strategy-and-collaboration-across-the-college-ecosystem/

参考:
米・Ithaka S+R、コミュニティカレッジの図書館と学習支援活動に関する報告書を公開
Posted 2018年8月15日
https://current.ndl.go.jp/node/36486

E1827 – 学生の「成功」のために大学図書館は学内で連携を(米国)
カレントアウェアネス-E No.308 2016.07.28
http://current.ndl.go.jp/e1827