BnFからの盗難資料を巡る争い

フランス国立図書館(BnF)から盗まれた「モーセの五書」(旧約聖書の最初の五つの書)をめぐる法廷論争がおこっています。

13世紀に作成された「モーセの五書」の1つ“Hebrew 52”は、1668年にフランス政府が入手し、BnFに所蔵されていたのですが、あるときから行方不明になっていました。6年前、英国のオークション会社Christie’s社が、米国ニューヨークで“Hebrew 52”をオークションにかけたところ、ニューヨークのディーラーが35万8千ドル(約4,100万円)で購入しました。これに気づいたフランスは2006年5月、ディーラーに“Hebrew 52”の返還を求める訴えをおこしました。これを受けて7月には、ディーラーが「盗品を売った」としてChristie’sに購入費用の返還を求める訴えをおこしました。Christie’sは「オークション時点では盗品であるという事実を知り得なかった」として争う構えを見せています。

ちなみにBnFでは、3万冊以上の資料が盗難にあっていることが2005年に判明しています。この件では、シニア・キュレーターが窃盗容疑で訴えられており、現在も裁判中です。

Dealer Sues Christie’s over Stolen Torah – American Libraries online
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/august2006a/torah.htm
Court battle for stolen artefact – BBC News
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/5250092.stm

Bibliotheque Nationale de France Petition for Michel Garel – Michel van Rijn
http://www.michelvanrijn.nl/artnews/garelpetitioneng.htm
(※この事件をはじめとする美術関係のニュースを追っているMichel van Rijn氏のウェブサイト)

参考:
BNF、3万冊以上盗難発覚
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=283