消毒剤が図書館資料に与える影響の調査(記事紹介)

米国議会図書館(LC)の保存部門のスタッフらによるブログ”Guardians of Memory” の2021年6月14日付け記事“Assessing the Impact of Sanitizing Products on Collection Items”で、消毒剤が図書館資料に与える影響を調査した結果が紹介されています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、手指消毒剤や消毒用のティッシュ、スプレーが日常的に使用されています。このような状況を踏まえて、LCの保存研究試験部門(Preservation Research and Testing Division)は、図書館資料で用いられる8種の材料(ブッククロス、羊皮紙、革、光沢紙、新聞紙など)に対する一般的な消毒剤の影響を調べました。あくまで限られた範囲の調査であるとしつつ、調査結果から言えることとして次のような内容が示されています。

・図書館資料を扱う前に手指消毒剤を使用すると、蛍光を発する残留物(residues)を資料に付着させるリスクがある。いくつかのケースでは、経年により変色をもたらす。
・手指消毒剤を用いる場合は、付着を最小限に留めるため、資料を取り扱う前に十分に乾燥させることを推奨する。
・資料表面の消毒には、第4級アンモニウム化合物(QAC)を含む消毒用品よりも、残留物を残さず蒸発する、単純な水とアルコールのスプレーのほうが低リスクである。
・洗浄・消毒用品を紙や羊皮紙、製本された書籍に直接塗布すべきでない。

Assessing the Impact of Sanitizing Products on Collection Items(LC, 2021/6/14)
https://blogs.loc.gov/preservation/2021/06/assessing-the-impact-of-sanitizing-products-on-collection-items/

参考:
REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第7回目・第8回目のテスト結果を公表:気温によるウイルスの減衰率の差を調査
Posted 2021年2月16日
https://current.ndl.go.jp/node/43279

日本図書館協会(JLA)、「図書館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン(更新版)」「図書館資料の取り扱い(新型コロナウイルス感染防止対策)について-人と資料を守るために-(改訂版)」を公表
Posted 2021年3月2日
https://current.ndl.go.jp/node/43404