欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるオープンサイエンスについての調査報告書を公開

2021年7月5日、欧州大学協会(EUA)が報告書“From principles to practices: Open Science at Europe’s universities 2020-2021 EUA Open Science Survey results”を公開しました。報告書では、2020年10月から2021年1月にかけて実施されたオープンサイエンスに関する調査の結果、オープンサイエンスへの移行に向けたエビデンスに基づいた推奨事項が述べられています。調査では、36カ国の機関から272件の有効回答が得られました。

調査の主な結果として、以下を含めた事項が挙げられています。

・59%の機関が、オープンサイエンスの戦略的な重要性をとても高いまたは高いと評価している。研究出版物のオープンアクセスについては、90%の機関が大変重要であると認識している。しかし、その実装水準が高いと捉えているのは60%の機関にとどまる。

・54%の機関がオープンサイエンスのポリシーを設けており、37%が開発中である。

・80%の機関が彼らのリポジトリの文献件数を観察している。70%の機関が、機関の研究者によってオープンアクセスジャーナルで出版された論文を観察している。さらに、60%に近い機関がオープンアクセスジャーナルでの出版に係る費用を観察していると報告した。

・34%の機関で、調査で挙げられたオープンサイエンスの要素が学術評価で全く考慮されていない。オープンサイエンスに関する活動が学術評価に含まれている機関のうち、77%がリポジトリへの論文の登録が考慮されている。

推奨事項として、以下の3点が述べられています。

・国内および欧州のガイドラインと規制の枠組みに加えて、機関のリーダーの積極的な関与も、オープンサイエンスへの移行のための好ましい環境を作り出すことに有益である。

・機関は、国内および欧州の政策に沿うようにオープンサイエンスポリシーの開発を継続するべきである。彼らは、研究者と職員がオープンサイエンスの確立された分野と新興分野の両方への関与を増加させるためのインセンティブと機会をつくり続ける必要がある。機関はまた、オープンサイエンスへの移行に必要なデータスキル等のスキルのトレーニングを拡大するべきである。

・研究助成団体と機関は、現在の報奨システムの評価と再構築にオープンサイエンスに関する貢献を取り入れることによって、オープンサイエンスへの移行に重要な役割を果たす。

From principles to practices: Open Science at Europe’s universities 2020-2021 EUA Open Science Survey results(EUA,2021/7/5)
https://eua.eu/resources/publications/976:from-principles-to-practices-open-science-at-europe%E2%80%99s-universities-2020-2021-eua-open-science-survey-results.html

From principles to practices: Open Science at Europe’s universities 2020-2021 EUA Open Science Survey results [PDF:53ページ](EUA)
https://eua.eu/downloads/publications/2021%20os%20survey%20report.pdf

参考:
欧州大学協会(EUA)、欧州の大学における研究評価に関連したオープンサイエンスとオープンアクセスの調査報告書を公開
Posted 2019年10月25日
https://current.ndl.go.jp/node/39351

欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるビッグディール契約に関する調査報告書の第2版として“2019 Big Deals Survey Report”を公開
Posted 2019年5月17日
https://current.ndl.go.jp/node/38179

欧州大学協会(EUA)、欧州の大学におけるオープンアクセスの進捗状況に関する調査報告書の第4版“2017-2018 EUA Open Access Survey Results”を公開
Posted 2019年5月9日
https://current.ndl.go.jp/node/38126