国立情報学研究所(NII)、目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の再構築開始を発表

2021年6月17日、国立情報学研究所(NII)が、目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の再構築開始を発表しています。

再構築は、「これからの学術情報システムの在り方について(2019)」を踏まえて行われるもので、大学図書館のシステムと連携し、デジタル化された学術資料(電子ジャーナル、電子ブック等)への対応を含む新たな図書館システム・ネットワーク構築の一環として実施されます。

2022年からの稼働開始が目指されてる電子リソース管理サービスでは、国内外の出版社・学会等から大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)に提出された電子リソース製品の利用条件やタイトルリスト等、共通性の高いデータを蓄積し、公開許諾が得られたデータについて利用可能にするとしています。システムには、電子リソースの管理プラットフォームとして世界で多数導入されているEx LibrisのAlmaが採用されます。

2023年に稼働開始予定の新NACSIS-CAT/ILLシステムでは、メタデータの高度化に向けて、RDA(Resource Description and Access)、日本目録規則2018年版のほか、BIBFRAME等の新たな国際標準への対応を可能にする一方、現在のNACSIS-CAT/ILLの機能は当面維持し、参加する約1,300機関が利用する図書館システムとの接続の継続性を確保するとしています。システム基盤には、地域・国レベルの総合目録のために設計されたOCLCのCBS(Controlled Bibliographic Service)を採用されます。今回の整備において、各館とはCATPで動作する一方で、システム内部のメタデータはMARC21にも準拠してることから、国際的に流通するメタデータとの相互のデータ交換が容易になるとしています。また、図書館間相互貸借(ILL)サービスは株式会社シー・エム・エスが構築し、CBSとのシームレスな連携を行うとしています。

大学図書館向け学術情報システムを36年ぶりに一新 学術資料のデジタル化に対応した目録所在情報サービスを2022年から順次運用開始(NII,2021/6/17)
https://www.nii.ac.jp/news/release/2021/0617.html

国立情報学研究所がEx Libris Almaと共に日本の図書館の未来を開く(Exlibris,2021/6/17)
https://exlibrisgroup.com/ja/press-release/nii%E3%81%8Cex-libris-alma%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E9%96%8B%E3%81%8F/

学術資料のデジタル化及びグローバル化に対応した新たなNACSIS-CAT/ILLシステム構築を紀伊國屋書店が受託(紀伊國屋書店,2021/6/17)
https://corp.kinokuniya.co.jp/press-release-2021-13/

OCLC to provide new national cataloging platform for libraries in Japan(OCLC,2021/6/17)
https://www.oclc.org/en/news/releases/2021/20210617-oclc-provides-cataloging-platform-japan-libraries.html

参考:
これからの学術情報システム構築検討委員会、「これからの学術情報システムの在り方について(2019)」を公開
Posted 2019年4月10日
https://current.ndl.go.jp/node/37985

E1920 – NACSIS-CAT/ILLの軽量化・合理化の実施方針
カレントアウェアネス-E No.326 2017.06.08
https://current.ndl.go.jp/e1920

E1189 – 大学図書館コンソーシアム連合JUSTICEの誕生:現状とその将来
カレントアウェアネス-E No.196 2011.07.07
https://current.ndl.go.jp/e1189

CA1837 – ウェブで広がる図書館のメタデータを目指して―RDAとBIBFRAME / 柴田洋子
カレントアウェアネス No.322 2014年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1837

CA1951 – 『日本目録規則2018年版』のはじまり:実装に向けて / 渡邊隆弘
カレントアウェアネス No.340 2019年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1951

CA1896 – 動向レビュー:共同運用による図書館システム導入の新たな可能性 / 上野友稔,香川朋子,片岡 真
カレントアウェアネス No.331 2017年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1896