ハイブリッド出版モデルの問題点:cOAlition Sによる整理(記事紹介)

cOAlition Sのウェブサイト上に、2021年4月29日付けで記事“Why hybrid journals do not lead to full and immediate Open Access”が掲載されています。

cOAlition Sがハイブリッド出版モデルを財政的に支援しない理由を明確にするため、6つの問題点を整理したものです。なお、本記事におけるハイブリッド誌の定義は、「掲載された原著論文のうち一部がオープンアクセス(OA)である一方、他の論文は支払い(payment)又は購読(subscription)によってのみアクセス可能となっている購読誌」です。

記事で示されているハイブリッド誌の問題点は以下のとおりです。

1. OAへの移行を促進していない
2. 研究コミュニティは出版費用と購読費用の二重払い(ダブル・ディッピング)を余儀なくされる
3. 論文処理費用(APC)が完全OA誌より高額
4. 提供するサービスの品質が低い
5. 新たな完全OA出版モデルを締め出す結果をもたらす
6. どの論文がOAになるか読者側で予測できない「ランダムOA」である

Why hybrid journals do not lead to full and immediate Open Access(cOAlition S, 2021/4/29)
https://www.coalition-s.org/why-hybrid-journals-do-not-lead-to-full-and-immediate-open-access/

参考:
CA1990 – 動向レビュー:プランS改訂版発表後の展開―転換契約等と出版社との契約への影響 / 船守美穂
カレントアウェアネス No.346 2020年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1990