単行書へのCC BYライセンス適用と第三者による複製版販売の問題(記事紹介)

オープンアクセス(OA)出版に携わるUbiquity Press社のブログに、2021年4月9日付けで記事“CC BY: A (Somewhat) Cautionary Licensing Tale”が掲載されています。

同社ではこれまで、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BYライセンスの下で単行書を刊行してきました。本記事では、同社が2020年の年末に直面した、別の企業による単行書再販売の問題が紹介されています。

当該企業は、これまでUbiquity Press社を含む複数社がCC BYで刊行した単行書を取得し、それらを自社の名義で販売していました。法的な問題はないものの、これら複製版の単行書によりいくつかの問題が生じたと述べています。記事では複数の問題を挙げており、その例としては次のような内容が含まれています。

・多くのオンライン小売サイトでの検索結果において、これら複製版のほうがより「新しい」ためにオリジナル版よりも上の順位で表示され、読者がオリジナル版を探しづらくなった。
・単行書内の画像等のコンテンツがCC BYより厳しい利用条件で提供されている場合、複製版ではぼかしが入れられたり削除されたりしていた。表紙画像も異なるデザインになるなど、品質上の問題がみられた。

このような問題への対応として、同社では2021年初頭から、単行書の著者にCC BYでなくCC BY-NC(非営利目的での利用に限定)で刊行できるオプションの提供を開始しました。

CC BY: A (Somewhat) Cautionary Licensing Tale(Ubiquity Press, 2021/4/9)
https://blog.ubiquitypress.com/cc-by-a-somewcautionary-licensing-tale-127e407b3da5

参考:
CA1973 – 動向レビュー:Rights Statementsと日本における権利表記の動向 / 数藤雅彦
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1973