Springer Nature社と米・カリフォルニア大学バークレー校図書館、同校著者の単行書のオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結

2021年3月23日、Springer Nature社は、米・カリフォルニア大学バークレー校図書館と単行書のオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結したことを発表しました。同社による機関との単行書のOA出版に関する契約締結は、今回が初めての事例となります。

同契約は2021年から少なくとも3年間の間、同校所属の著者によるあらゆる分野の単行書のOA出版に対して、出版のための資金を提供する内容です。契約の対象となる単行書はSpringer、Palgrave、Apressといった同社のインプリントから刊行され、2021年後半に同契約による最初のタイトルが出版されます。

今回の契約は、2020年にSpringer Nature社とカリフォルニア大学システムが締結した転換契約を補完する位置づけとして説明されています。同大学の著者は転換契約の締結によって2,700タイトル以上の同社の学術雑誌で研究成果のOA化が可能となった一方、研究成果の発表を単行書で行うことが一般的な分野が存在することから、バークレー校図書館はこうした分野の研究者を直接支援するために新たな契約を締結しました。

同契約によってOA出版された単行書は、クリエイティブ・コモンズ(CC)のCC BYライセンスが付与され、同社の電子リソース提供プラットフォームSpringerLink上で公開されます。

Springer Nature and UC Berkeley Library sign new open access book partnership(Springer Nature,2021/3/23)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/new-open-access-book-partnership-with-uc-berkeley-library/18993926

Springer Nature and UC Berkeley Library sign new open access book partnership(Berkeley Library Update,2021/3/23)
https://update.lib.berkeley.edu/tag/springer-nature/

参考:
Springer Nature社と米・カリフォルニア大学が転換契約を締結
Posted 2020年6月18日
https://current.ndl.go.jp/node/41261

Springer Nature社、OA単行書の利用状況を分析したホワイトペーパーを公開:ダウンロード数は非OA単行書の10倍、被引用数は2.4倍
Posted 2020年9月15日
https://current.ndl.go.jp/node/42001

米・マサチューセッツ工科大学出版局、図書館の共同出資により学術単行書の持続可能なオープンアクセス(OA)化を実現するためのプログラム“Direct to Open”(D2O)を開始
Posted 2021年3月9日
https://current.ndl.go.jp/node/43494

英・リバプール大学図書館と英・リバプール大学出版局による単行書のオープンアクセス出版プロジェクト(文献紹介)
Posted 2021年1月25日
https://current.ndl.go.jp/node/43067

CA1907 – 動向レビュー:欧州における単行書のオープンアクセス / 天野絵里子
カレントアウェアネス No.333 2017年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1907