国際図書館連盟(IFLA)及びEIFL、TRIPS協定における後発開発途上国向け特例措置の延長を求める共同声明を発表

2021年3月9日、国際図書館連盟(IFLA)は、世界貿易機関(WTO)の加盟国に宛てたEIFLとの共同声明(2021年3月8日付け)に署名したことを発表しました。「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)における後発開発途上国(LDC)向け特例措置の延長を求める内容となっています。

TRIPS協定には、LDCに対し、遵守困難な可能性のある義務を負わせ開発投資に用いる資源を奪うリスクや、図書館とその利用者支援のための法律制定の余地を狭める恐れがあることから、LDCの義務免除に係る条項(第66条第1項)が含まれています。ただし、この条項が定める特例措置の適用期間は永続的なものではなく、定期的に更新する必要があります。

現在、WTOにおいて特例措置の延長に関する議論が行われていることから、延長によってLDC、そしてLDCの図書館とその利用者への支援継続を求める共同声明が作成されました。共同声明では、TRIPS協定第66条第1項の重要性は永続的なものであるとしつつ、とりわけ新型コロナウイルス感染症によりLDCの直面する課題が深刻度を増している現在においては特例措置の延長が適切であると指摘しています。

Access not Administrative Burdens: IFLA signs letter on special trade provisions for least developed countries(IFLA, 2021/3/9)
https://www.ifla.org/node/93740

STATEMENT In support of the request by Least Developed Countries (LDCs) to extend the LDC TRIPS exemption for as long as a country remains an LDC [PDF:3ページ]
https://www.ifla.org/files/assets/hq/topics/exceptions-limitations/documents/library_statement_ldc_extension_request.pdf

EIFL, IFLA issue call on World Trade Organization(EIFL, 2021/3/10)
https://www.eifl.net/news/eifl-ifla-issue-call-world-trade-organization

参考:
E465 – アジアの発展途上国の著作権法と知識へのアクセスの保障状況
カレントアウェアネス-E No.79 2006.03.22
https://current.ndl.go.jp/e465

CA1800 – EIFL:その組織と活動 / 井上奈智
カレントアウェアネス No.317 2013年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1800