Springer Nature社、学術界の外におけるゴールドOAコンテンツの利用について調査したホワイトペーパーを公開

2020年11月30日、Springer Nature社は、ホワイトペーパー“Open for All, Exploring the Reach of Open Access Content to Non-Academic Audiences”の公開を発表しました。

同社がオランダ大学協会(VSNU)及びオランダ大学図書館・王立図書館コンソーシアム(UKB)と実施している共同プロジェクトの最新成果であり、ゴールドOAコンテンツが学術界の外でどのように利用されているのかを探る内容となっています。

ホワイトペーパーは二つの調査に基づいています。一つ目はドキュメント(書籍の章、雑誌論文、プロシーディングを含む)の書誌計量学的分析であり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連する2017年出版のドキュメント36万点近くを対象としています。二つ目は同社の複数のウェブサイト上でのアンケート調査であり、6,000人近くが回答しました。

発表では、主な調査結果として次のような点が示されています。

・SDGsを支援しゴールドOAで公開される研究はより多く使用され、より多くの注目を集めている。ハイブリッド・モデルにおいて即時ゴールドOAで出版されたドキュメントは、購読型ドキュメントと比較して平均4.4倍のダウンロード数となっている。また、平均2.1倍のAltmetric Attention Scoreを得ている。

・OAは研究者でない読者(non-academic audiences)に大きな恩恵をもたらすとともに、学術界の外にいる相当な数のユーザーグループに到達している。同社ウェブサイトでのアンケート調査によれば、回答者の概ね40%は研究者でない読者に分類される。15%が“Halo”(職務上の目的で研究を読んでいる可能性が高いが、研究の実施・出版はしていない読者)、28%が“General”(個人的または職務上の関心から研究を読んでいる可能性が高いが、研究の実施・出版・引用を行うような職務にない読者)であった。

・研究者でない読者は、(コンテンツで示された)研究結果を共有する傾向が強い。研究者は読んだコンテンツを引用・参照する傾向が強いのに対して、“Halo”や“General”は他者と共有する傾向が強い。研究者でない読者はコンテンツへのアクセス制限に直面しているため、コンテンツがOAの場合は(共有が)著しく容易になる。

Gold Open Access research has greater societal impact as used more outside of academia(Springer Nature Group, 2020/11/30)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/springer-nature-gold-oa-vsnu/18639932

Open for all: exploring the reach of open access content to non-academic audiences(Zenodo, 2020/11/30)
https://doi.org/10.5281/zenodo.4143312

参考:
Springer Nature社、OA単行書の利用状況を分析したホワイトペーパーを公開:ダウンロード数は非OA単行書の10倍、被引用数は2.4倍
Posted 2020年9月15日
https://current.ndl.go.jp/node/42001

シュプリンガー・ネイチャー、2021年1月よりNature誌のオープンアクセス(OA)オプション提供と提案型OAの試験的運用を開始
Posted 2020年11月26日
https://current.ndl.go.jp/node/42618

オープンアクセスジャーナルに掲載された論文は引用されやすいのか(文献紹介)
Posted 2020年10月21日
https://current.ndl.go.jp/node/42322