米国著作権局、オンラインのみで出版された電子書籍に対する法定納本の最終規則を公表:2020年12月14日発効

2020年11月12日、米国著作権局は、オンラインのみで出版された電子書籍(Electronic-Only Books)を法定納本の対象とすることを規定した最終規則(final rule)を公表しました。発効日は2020年12月14日です。

米国著作権法第407条は、米国内で発行された著作物の著作権者に対して、米国議会図書館(LC)における利用に供するため、2部納本することを定めていますが、著作権局長は特定の種類の著作物の納本義務を免除する権限を有しています。オンライン出版物については、電子逐次刊行物を除いて、法定納本の対象に含めない暫定規則(interim rule)が2010年に定められました。

その後、米国著作権局は、暫定規則の最終規則化に向けて、オンラインのみで出版された電子書籍も電子逐次刊行物同様に納本対象とする内容で、2018年に規則案を作成しました。なお、納本対象となる電子書籍は、「1巻または特定の巻数の下、米国内で発行され、オンライン上でのみ利用可能な電子フォーマットによる言語の著作物」と定義されており、電子メール・ブログ・ウェブサイト・オーディオブック等は対象に含まれません。

さらに、2018年の規則案に対するパブリックコメントの結果を受けて、米国著作権局は2020年6月に更新版の規則案を発表しました。更新版では、対象となる著作物の範囲の明確化、納本された著作物への技術的保護措置の適用に関する規定の調整、LCのデジタルコレクション戦略と情報技術の実践に関する追加情報の提供などが行われています。

公表された最終規則は、2020年6月の規則案をほぼ踏襲しつつ、プリント・オンデマンド書籍についても規則が適用可能であることを明記した文言の追加が行われています。同規則の全文は2020年11月12日付の連邦政府の官報(Federal Register)第85巻第219号に掲載されています。

Copyright Office Issues Final Rule Regarding Mandatory Deposit of Electronic-Only Books(Copyright Office,2020/11/12)
https://www.copyright.gov/newsnet/2020/864.html

Mandatory Deposit of Electronic-Only Books(Copyright Office,2020/11/12)
https://www.copyright.gov/rulemaking/ebookdeposit/

Mandatory Deposit of Electronic-Only Books [PDF:5ページ](Federal Register,2020/11/12)
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2020-11-12/pdf/2020-23101.pdf

参考:
E1032 – 米国でオンライン出版物の納本制度が開始される
カレントアウェアネス-E No.168 2010.03.24
http://current.ndl.go.jp/e1032

E1594 – 電子書籍を長期保存するために:論点整理
カレントアウェアネス-E No.264 2014.08.07
http://current.ndl.go.jp/e1594

米国著作権局、米国議会図書館の納本対象資料にオンラインの電子書籍・録音資料を含めるための「調査の告示」(Notice of Inquiry)を発出
Posted 2016年5月17日
https://current.ndl.go.jp/node/31606