ハンブルク州立・大学図書館(ドイツ)、1597年にハンブルクで初めて印刷された高地ドイツ語版のルター訳聖書を新規受入

2020年11月4日、ドイツのハンブルク州立・大学図書館(Staats- und Universitätsbibliothek Hamburg)は、1597年にハンブルクで初めて印刷された高地ドイツ語(Hochdeutsch)によるマルティン・ルターのドイツ語訳『新約聖書』を、新規に受入したことを発表しました。

同館が受入したルター訳聖書は高さ10センチメートル程度の小冊子で、ハンブルクで印刷された中では最も古い高地ドイツ語による新約聖書です。ザクセン・アンハルト州のヴィッテンベルクをはじめとする他地域では、1522年から高地ドイツ語による新約聖書が普及していましたが、ハンブルクでは盛んに用いられていた低地ドイツ語(Niederdeutsch)版のみ印刷されることが数十年続いていました。

16世紀末頃までにハンブルクで高地ドイツ語が浸透したため、需要に応えて高地ドイツ語版の『新約聖書』が1597年に印刷されました。1598年には同じ印刷業者がハンブルクで初めてルターの『小教理問答書』の高地ドイツ語版を印刷していますが、この刷も同館の入手した高地ドイツ語版『新約聖書』に合冊されています。

ハンブルクの出版史上で重要な意義を持つこれらの刷をドイツ北部の図書館はこれまで一度も受入できていませんでしたが、同館はオーストリアの古書店で販売されていたところを発見し入手しました。資料は経年劣化の範囲に収まる良好な状態を保っており、三方金や歴代の所有者の変遷を示す書き込みが多数確認できることを伝えています。

同館は入手した高地ドイツ語版『新約聖書』について、来歴情報を詳細に索引化した後に、現物資料の適切な保存や、アクセスを容易にするためのデジタル化の実施を予定しています。

Neuerwerbung: Die erste hochdeutsche Bibelausgabe Hamburgs(Staats- und Universitätsbibliothek Hamburg,2020/11/4)
https://blog.sub.uni-hamburg.de/?p=30238

参考:
E1944 – 日本聖書協会聖書図書館の閉館:開館から37年
カレントアウェアネス-E No.331 2017.08.24
https://current.ndl.go.jp/e1944

日本聖書協会聖書図書館、「ルター訳聖書と宗教改革」の特別展示を開催中(-11/30・東京)
Posted 2015年10月23日
https://current.ndl.go.jp/node/29748

青山学院大学が「宗教改革500年記念聖書展」を開催(10/18~11/1)
Posted 2017年10月19日
https://current.ndl.go.jp/node/34860