オーストラリア国立公文書館(NAA)、2025年までに再生できなくなる可能性が高い視聴覚記録のデジタル化保存のため300万ドルを拠出すると発表

2020年10月27日、オーストラリア国立公文書館(NAA)が、視聴覚記録のデジタル化保存のため300万オーストラリアドルを拠出すると発表しました。5年計画の最初の1年分の作業の資金となります。

予算が逼迫するなかでも、今後5年間で、技術や機器の入手が困難となり、また、媒体自体も劣化することで、再生できなくなる可能性が高い磁気メディアの記録の保存を重視して決定したもので、この拠出により、同館のデジタル化された視聴覚資料は12万アイテムを超えるまで増加し、最も重大な危機にさらされている資料のほぼ半分がデジタル化保存されることになります。

NAAが所蔵する視聴覚記録には、先住民(アボリジニとトレス海峡諸島民)の言語・物語・オーラルヒストリー、同国の南極観測基地への遠征隊、オーストラリア郵便公社の広告、ウーメラ試験場から発射されたロケット、スノーウィーマウンテンズ水力発電計画による建設に関する記録があると紹介されています。

National Archives to invest $3 million to save at-risk audiovisual records(NAA,2020/10/27)
https://www.naa.gov.au/about-us/media-and-publications/media-releases/national-archives-invest-3-million-save-risk-audiovisual-records

Deadline 2025: the race to future-proof our audiovisual collection(NAA,2002/10/27)
https://www.naa.gov.au/blog/deadline-2025-race-future-proof-our-audiovisual-collection

参考:
E2267 – 英国図書館が進める音声記録の保存事業
カレントアウェアネス-E No.392 2020.06.11
https://current.ndl.go.jp/e2267