オープンアクセスジャーナルに掲載された論文は引用されやすいのか(文献紹介)

2020年10月17日付で、オープンアクセス(OA)ジャーナル掲載論文の被引用状況について分析結果をまとめた論文“Do open access journal articles experience a citation advantage? Results and methodological reflections of an application of multiple measures to an analysis by WoS subject areas”が、Springer社が提供する電子ジャーナル・電子書籍等のプラットフォーム“Springer Link”上で公開されました。

Web of Scienceのメタデータ項目であるOAラベル等を利用し、DOAJ(Directory of Open Access Journals)で公開されたOAジャーナル掲載論文は購読誌掲載論文と比べて、引用されやすいのか分析されています。加えて、英語での公開とOAジャーナルでの出版の間に関係があるかについても、調査が行われています。対象となっているのは、2013年から2015年にかけて公開された論文約390万件です。

結果の箇所では、OAジャーナル掲載論文は購読誌掲載論文よりも英語以外の言語で執筆されている割合が高いとされています。

被引用状況については、言語による影響を排除するために、英語で執筆された論文約367万件を対象に分析が行われました。そのうち87.3%が購読誌、12.7%がOAジャーナルに掲載された論文です。250の分野ごとに分析を行った結果として、芸術、建築学をはじめとした6分野では、OAジャーナル掲載論文の方が引用されていますが、OAか否かは被引用数にあまり影響を及ぼしていないと考えられると述べられています。

Do open access journal articles experience a citation advantage? Results and methodological reflections of an application of multiple measures to an analysis by WoS subject areas(Springer Link, 2020/10/17)
https://doi.org/10.1007/s11192-020-03734-9

参考:
論文をオープンアクセスにすると被引用数は増えるか?(文献紹介)
Posted 2011年4月14日
https://current.ndl.go.jp/node/18001

Springer Nature社、OA単行書の利用状況を分析したホワイトペーパーを公開:ダウンロード数は非OA単行書の10倍、被引用数は2.4倍
Posted 2020年9月15日
https://current.ndl.go.jp/node/42001

Figshareで公開されたオープンな研究データの利用傾向に関する調査(文献紹介)
Posted 2020年10月19日
https://current.ndl.go.jp/node/42294

CA1693 – 動向レビュー:オープンアクセスは被引用数を増加させるのか? / 三根慎二
カレントアウェアネス No.301 2009年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1693

※本文の一部を修正しました。(2020/10/23)