文化遺産保全のための知識を学ぶ教育用カードゲーム“The Game of Heritage Destruction”(記事紹介)

英国文化財保存修復学会(The Institute of Conservation:ICON)による2020年10月2日付けの記事で、文化遺産保全のための知識を学ぶ教育用カードゲーム“The Game of Heritage Destruction”が紹介されています。

“The Game of Heritage Destruction”は、英・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の「芸術・遺産・考古学における科学と工学」課程で講師を務めるJosep Grau-Bove博士が2017年に作成したゲームであり、新型コロナウイルス感染症による英国のロックダウン期間中にさらなる改善が行われました。

同ゲームは販売もされていますが、説明書を含むベータ版のデータは無料で公開されています。説明書によれば、2組以上のチーム(又は2人以上のプレイヤー)により行うゲームであり、物体(文化遺産等)のカードセットと、その物体にダメージを与える様々な要因(化学物質、光、湿度、気温等)のカードセットを使用します。ルールの概要は以下のとおりです。

1.各チームに5枚のカードが配られる
2.一方のチームが物体を一つ選び、各チームが物体の特性を踏まえつつそれを「破壊」するための要因を選択する(複数要因の組合せも可)
3.要因が与えるダメージの大きさを文化遺産保全の知識を用いつつ説明し、より優れた説明を行ったチームが使用された物体・要因カードを総取りする
4.5ターン後又は手持ちのカードが尽きた段階で、多くのカードを保持しているチームが勝利する

説明書では、各チームによる説明の勝敗を判定するモデレーターを含める、サイコロを取り入れて要因が与えるダメージに運の要素を持たせるといったオプションも紹介しています。

Can you win the Game of Heritage Destruction?(ICON, 2020/10/2)
https://icon.org.uk/news/can-you-win-the-game-of-heritage-destruction

The Game of Heritage Destruction(The Game Crafter)
https://www.thegamecrafter.com/games/the-game-of-heritage-destruction
※ゲームの販売ページです。ベータ版のダウンロード用URLが掲載されています。

参考:
E2249 – 「ごっこ遊び」で学ぶ電子情報保存:ボードゲームレビュー
カレントアウェアネス-E No.389 2020.04.23
https://current.ndl.go.jp/e2249