スペインのロイヤル・スコッツ・カレッジでシェイクスピアの戯曲『二人の貴公子』の1634年版が発見される:スペインに残る最古のシェイクスピア作品と推定(記事紹介)

BBC Scotlandが2020年9月19日付で、スペイン・サラマンカの神学校ロイヤル・スコッツ・カレッジ(Royal Scots College)の図書館で、ウィリアム・シェイクスピアが1613年から1614年頃に合作で執筆したとされる戯曲『二人の貴公子(The Two Noble Kinsmen)』の1634年印刷版が発見されたことを報じています。

報道によると、今回確認された『二人の貴公子』は、スコットランドの経済学者アダム・スミスの著作を調査していた研究者が発見したもので、1630年から1635年に印刷された英語による戯曲集の中に含まれていたことを確認しました。17世紀から18世紀のスペインでは教会による検閲が行われていたため、英語の著作物の流通は極めて限られていましたが、ロイヤル・スコッツ・カレッジは希望する図書を全て入手することが認められており、発見された戯曲集は1635年頃にイングランドまたはスコットランドの旅行者によって、教会の検閲を回避して持ち込まれたと推定されています。これまでスペインに残る最古のシェイクスピア作品はバリャドリードの神学校で発見された戯曲集と考えられていましたが、発見された『二人の貴公子』を含む戯曲集は約10年古く成立したものである、と説明されています。

『二人の貴公子』はジェフリー・チョーサーの『騎士物語(The Knight’s Tale)』に基づいて、ウィリアム・シェイクスピアがジョン・フレッチャーとの合作で執筆したとされる戯曲です。シェイクスピアが引退前に執筆した最後の戯曲と推定されています。

Edition of Shakespeare’s last play found in Scots college in Spain(BBC Scotland,2020/9/19)
https://www.bbc.com/news/uk-scotland-54209767

参考:
シェイクスピアの遺書、サイン(記事紹介)
Posted 2012年4月24日
https://current.ndl.go.jp/node/20706

図書館の書架でシェイクスピアのファースト・フォリオが見つかる(フランス)
Posted 2014年12月2日
https://current.ndl.go.jp/node/27554