米・オレゴン大学、同大学ナイト図書館内に備え付けられた4点の壁面アートについて人種差別的な内容を含むため遮蔽することを決定

米・オレゴン大学が運営する同大学の情報提供サイト“Around the O”に2020年8月12日付で、同大学ナイト図書館内の4点の壁面アート(murals)について、人種差別・排外主義的な内容を含むことを理由に、同大学が遮蔽を決定したことが報じられています。

ナイト図書館の壁面アートは1937年の図書館建設当時から、同館の東西の主要な階段の正面に設置されています。「大学の使命」と題された壁面アートでは、白人に言及しながら「我々の人種的遺産の保存」という内容の文言があること、「芸術の発展」「科学の発展」と題された壁面アートでは、芸術・研究活動に従事する白人と原始的な道具を使う先住民族が上下に対比して描かれていることなどの理由で、人種的偏見に関する苦情が以前から学生・教職員によって寄せられており、損壊事件もしばしば発生していました。過去の議論においては、大学コミュニティ内の複雑な感情を考慮しながらも、歴史的な意義の観点から壁面アートを保存する決定がなされましたが、2020年夏に発生した黒人男性ジョージ・フロイド氏の殺害事件とその後の“Black Lives Matter”運動により、改めて公共空間における人種差別的なモニュメントに対する関心が高まった結果、大学により遮蔽の決定が下されました。

壁面アートの撤去は建物等へ損傷を与える危険があることから、取り外し可能なアルミニウムパネルにより壁面アートの遮蔽が行われます。遮蔽のための作業は2020年10月1日までに完了する予定です。

UO moves to cover controversial murals in Knight Library(Around the O,2020/8/12)
https://around.uoregon.edu/content/uo-moves-cover-controversial-murals-knight-library

参考:
米・アイオワ大学、“Black Lives Matter”に関する大学構内のスプレーペイントの写真を保存
Posted 2020年7月15日
https://current.ndl.go.jp/node/41505

米国図書館協会(ALA)黒人コーカス、「黒人及び有色人種への暴力と差別の増大に対する非難声明」を発表
Posted 2020年6月3日
https://current.ndl.go.jp/node/41124

米・ヤングアダルト図書館サービス協会(YALSA)、人種差別に対する声明を発表
Posted 2020年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/41204