学術論文に対する自動的な「引用論文推薦」で用いられる手法とデータセット(文献紹介)

2020年8月11日付で、グローバルネットワークを介したデジタル情報等の話題を扱うSpringer Nature社の査読誌“International Journal on Digital Libraries”に、「引用論文推薦(Citation recommendation)」をテーマとした論文“Citation recommendation: approaches and datasets”がオープンアクセスで公開されています。

同論文は、ドイツ・カールスルーエ工科大学の博士研究員であるフェルバー(Michael Färber)氏と京都大学大学院情報学研究科のヤトフト(Adam Jatowt)特定准教授による共著論文です。近年の学術論文の出版点数の爆発的な増加と学術論文の執筆において適切の文献を引用する必要性から、与えられたテキストに対して適切な引用論文を自動的に推薦する「引用論文推薦」について、いくつかの手法や推薦のためのデータセットの発案が行われており、重要な研究トピックとなりつつあります。

同論文では、「引用論文推薦」に関する研究の概要の紹介、手法や使用されるデータセットの種類の概要及び様々な尺度から見た相違点・共通点の比較、推薦された引用論文に対する評価手法の分類と評価における課題などが解説されています。

Färber, M.; Jatowt, A. Citation recommendation: approaches and datasets. International Journal on Digital Libraries. 2020.
https://doi.org/10.1007/s00799-020-00288-2

参考:
論文における「引用のハッキング」のサイン(記事紹介)
Posted 2020年8月20日
https://current.ndl.go.jp/node/41789

Elsevier社、科学論文の引用に関わる不正行為の検出と防止のためオランダ・ヴァーへニンゲン大学と提携
Posted 2019年9月12日
https://current.ndl.go.jp/node/39012