台湾・教育部、学位論文の品質向上に向けた8つの取組を発表

2020年7月27日、台湾・教育部は、学位論文の品質向上に向けた8つの取組を発表しました。

これらの取組と支援の提供により、各大学が学位論文の品質保証メカニズムを積極的に強化するよう指導するとしています。取組の概要は以下のとおりです。

・学位プログラムの増設申請時に学位論文品質保証メカニズムの説明を義務付ける
・学位論文や学術倫理に関し生じた疑義に適切な対応を行っていない学部・研究所は新入生の定員枠を減らす
・学部・研究所に、学位論文に占める非公開論文の比率を明らかにさせる
・学位授与法第8条及び第10条における特殊条件(各条の第3、4項)に基づき大学側が口頭試問委員を任命する場合に、その選考基準と人数比率を明らかにさせる
・学位論文の内容に学術倫理違反等が見られた場合、指導教授や学部・研究所も責任を負うものとする
・学位論文の比較システムについて、台湾国家図書館との企画開発や、台湾・科技部との共同調達を通じて大学に提供し、学位論文の審査プロセスで使用させる
・修士・博士課程の学生に対する学術倫理教育の必修化等を引き続き奨励する
・論文の代筆状況について積極的な調査を行い、法律に基づき処罰する

台湾の聯合新聞網による2020年7月30日付けの記事もこの取組について報じており、台湾・国立交通大学の盧鴻興教授のコメントを引用しています。コメントによれば、同大学では、主に剽窃チェックツールTurnitinを使用しており、学位論文の口頭試問前に論文をツールで確認し、類似度の情報を指導教授及び試問を担当する委員に提出するよう規定しています。現在は、各大学で学位論文比較システムの調達に係る予算編成を行っているものの、将来的に教育部が公式の比較システムを構築するならば各大学にとって大いに便利なものとなり、プロセスの標準化にもなると述べています。

また、同記事では、台湾国家図書館が近ごろ学位論文の保存に関する規定を改定し、原則として館内での一般利用に供する方針を明記したことも紹介しています。

教育部將推動八項措施督導各大學積極強化學位論文品保機制(教育部, 2020/7/27)
https://www.edu.tw/News_Content.aspx?n=9E7AC85F1954DDA8&sms=169B8E91BB75571F&s=BA14A874384E8BEB

遏止論文抄襲 國圖提2新措施(聯合新聞網, 2020/7/30)
https://udn.com/news/story/6885/4741233

参考:
CA1567 – 大学における剽窃行為とその対策-英国・JISCPASを中心に- / 浅見文絵
カレントアウェアネス No.285 2005.09.20
https://current.ndl.go.jp/ca1567

剽窃判別ソフトTurnitin、英国の機関リポジトリアグリゲーターCOREとの連携を発表:テキストの類似性をチェック
Posted 2019年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/38332